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あれから50年後、レイドが天寿を全うして現実世界を離れる時がきた。
「レイド!行かないで!目を覚まして!ねえ!レイドったら!」
(ああ……エイル、俺はここにいるよ。大丈夫だ。だから泣かないでくれ……。)
そしてレイドが現実世界から離れる目を覚ますと、レイドの目の前にアンジーがいた。
「久しぶりだね、レイド。さぁ、今日からここが君の世界だよ。大丈夫、君はちゃんと自分に与えられていた役割を果たした。だから心配しないで。この世界は君を歓迎しているよ。この世界ではどんな争いも無くどんな事でも自分のイメージした通りになるんだ。だから心配しないで楽しみにしていてね。さぁ行こう、レイド。君の世界が待ってるよ。」
「あ、ああ……行くのは良いんだが一体どこに行くんだ?俺が行かなきゃいけない場所があるのか?や
「ううん、違うよ。君が自分で世界を作り上げるんだ。……あ、そうだ。君達が来たら呼んで欲しいって人がいたんだ。行ってみる?」
「……ああ……別に構わないけど……。」
レイドがアンジーに連れられてその人物の所へ行くと、そこは大きな王国で城の中でレイラが待っていた。
「おお、レイドか⁉︎久しぶりじゃなー……元気じゃったか?まだエイルとジェンドは来てないみたいじゃな。」
「おお……レイラか?……ああ、エイルはさっきまで俺と一緒にいたよ。見届けてもらった……。」
「……そうか……まぁ色々大変だったであろうが2人が一緒になって何よりじゃったな……。まぁ2人が来るまでここで一緒に待つとするかの……そなたとは色々あったがそれも今では良い思い出じゃな。この世界は良いぞ。全てが思いのままじゃ。そなたも試してみると良い。まぁ何でも思い通りになるからちと物足りなくもあるがな。」
「ああ、そうか……分かった。じゃあ後で試してみるよ。」
「おお、そうじゃな。それよりそなた達の話を聞かせてはくれぬか?……いやー、何でも思い通りになるというのは自分の思った通りになるという事じゃろ?だからもう退屈で、退屈で……。」
「俺達の話?一体何を聞こうってんだ……?」
「何でも良いんじゃ……!ほれ、レイド。もっと近う寄れ。今日はそなたと2人で語り明かそうではないか!」
「あ、ああ……しょうがねーな……じゃあちょっと付き合ってやるとするか。」
そしてレイドがレイラの下を後にすると、いよいよレイドにも自分の望んだ世界へ行く時がきた。
「さぁ良いよ、レイド。目を閉じてみて。次に目を開けた時君の望んだ世界が君の前にあるはずだよ。」
「……ああ、分かった。じゃあやってみるよ。」
レイドがアンジーに言われた通り目を閉じて、その後レイドが目を開けてみるとそこにはレイドには見慣れた光景が広がっていた。
「……ここは昔の俺の家?」
すると部屋の外からレイドを呼ぶ声が聞こえた。
「レイド、何やってるの?朝ご飯よ。早く来なさい。」
「……そうか……俺はずっとこの場所で立ち止まっちまってたんだな……250年も生きてずっとこの場所の事を考えて生きてたのか……。」
「レイド、何やってるの?早く食べないと冷めちゃうわよ。早く来なさい。」
「……ああ、分かった!今行くよ!」
(……違うんだよ、レイド。君の本心の世界はここから始まるんだ。下界で学んだ事は決して無駄じゃなかったんだよ。だからこれからこの世界でそれを生かして頑張ってね。)
こうしてレイドの新しい世界が幕を開けた。
下界での生活を終えたレイドに果たしてこの先どんな事が待ち受けているのだろうか?




