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レイド達は堕天使達のアジトへ辿り着くとアジトの中へと乗り込んでいった。
レイド達が堕天使達のアジトへ乗り込むと大勢の堕天使達がレイド達の事を待ち構えていた。
「私達が彼等の相手をします!あなた達は天使長と一緒にノートの所へと向かって下さい!早く!」
「……ああ、分かった!おい!急ぐぞ!早くノートの所まで行くんだ!」
「おい!あいつ等をここから先へは絶対に通すな!皆、かかれ!かかれー!」
堕天使達はレイド達に襲いかかってきたが、天使達が応戦しレイド達に道を作ってくれた。
レイド達はその道を通って急いでノートの所へと向かった。
レイド達がアジトの最深部まで辿り着くとノートを持った堕天使長がいた。
「くっ……!ついにここまで来おったか……おい!そやつ等の足止めをしろ!良いか⁉︎ノートだけは絶対に奪われてはならんぞ!分かったな!」
「はっ!かしこまりました!」
堕天使長は堕天使達に足止めをさせると、自らはノートを持ったその場所から逃げて行った。
すると、それを見ていたアンジーがレイド達に言った。
「ここは私達が引き受ける!君達は天使長と一緒に彼等を追って!早く!」
アンジー達は堕天使達に戦いを挑みそのせいで堕天使達の動きが止まったので、その隙をついたレイド達は堕天使達の包囲網をくぐり抜けて堕天使長を追った。
レイド達が堕天使長を追いかけていると行き止まりになっている場所で堕天使長が立ち止まっていた。
「くっ……よもやこんな事になろうとはな!仕方ない!では本気で行かせてもらうぞ!」
そう言うと堕天使長は目を閉じて祈りを捧げ、そして堕天使長が祈りを捧げ終えると堕天使長の目の前に魔獣が現れた。
「どうだ⁉︎これでそなた達はどうする事も出来まい!ではさらばだ!」
堕天使長は魔獣にレイド達の事を任せるとその場所から逃げて行った。
天使長は慌ててレイド達に言った。
「くっ……私は奴を追いかける!この魔獣は今のそなたたなら倒す事が出来るはずだ!ここは頼んだぞ!」
そう言うと天使長は急いで堕天使長を追いかけた。
レイド達が魔獣と対峙しているとシルフが優しくレイド達に語りかけた。
「……大丈夫、これは幻想だよ。君達がこの魔獣はここにはいないと思えばそうなるんだ。……さぁ、ゆっくり目を閉じて。この場所に魔獣はいないんだとイメージしてみて。意識を集中させて……。」
レイド達はシルフに言われた通り目を閉じて、この場所に魔獣はいないのだとイメージした。
そしてイメージを終えてレイド達がゆっくり目を開けると魔獣がレイド達の前から姿を消していた。
「さぁ、早くノートの所へ行こう!ノートを封印するのはもうすぐそこだよ!」
「ああ、分かった!行くぞ、皆んな!早くノートの所へ向かうんだ!」
レイド達は堕天使長の後を追って行った。
そしてレイド達が走っていると堕天使長に追いついた天使長が堕天使長と戦っていた。
「くっ……追いついてきおったか……!おのれ!」
「くっ……そなた達はそこで待っていろ!私がこの男からノートを奪ってそなた達に渡す!ノートが渡ったらそなた達の手でノートを封印してくれ!良いな⁉︎」
「あ、ああ……分かった。」
天使長はノートを堕天使長から奪う為に必死に戦っていた。
そして一瞬の隙をついて天使長が堕天使長からノートを奪ってレイド達の方へ投げた。
「早くノートを封印するのだ!早く!」
「あ、ああ!分かった!……シルフ!どうすれば良いんだ⁉︎教えてくれ⁉︎」
するとシルフが優しく微笑んでレイド達に言った。
「皆んな、今までありがとう。皆んなと会えて本当に良かった。ゆっくり目を閉じて。それだけで良いんだ。後は何も考えずに意識を集中させて。」
「……ああ、分かった……。」
レイド達がゆっくり目を閉じると、シルフが他の精霊達に呼びかけた。
「……さぁ、皆んな。後は私達の番だよ。彼等に何か言っておく事はない?」
「……うむ、私は言いたい事は山々あるのだがな……後はジェンドに任せるしかないのかの……ジェンド、達者でやれよ。」
「……レイラ、ありがとうございました。どうかお元気で。そして試練で得た事を忘れないで下さいね。それはこれから先きっとあなたの為になるはずですから……。これからも頑張って下さいね。」
「……レイド、これでようやく君の願いは叶うよ。ゴメンね、ずっと助けてあげられなくて。でも大丈夫。君はこれで自由だ。これから先色々な事が待ち受けていると思うけど頑張ってね、レイド。」
「……最後は私だね。……エイル、頑張れー。大丈夫、エイルならこれから先きっとどんな事があったって乗り越えられるよ。今回の事だって乗り越えたんだ。だから自信を持って、エイル……楽しかったよ。エイル、ありがとう。私達の事を忘れないでね。それじゃあ私達はもう行くね。」
そしてシルフ達は話を終えるとノートの上空へと飛んで行った。
するとノートの周りに紫色をした空間が現れてノートの事を吸い込もうとした。
「愚かな人間共よ……また同じ過ちを繰り返そうというのか……?……受け入れられるか?この世界がもし本当は全て幻想なのだとしたら。お前達が望んでいたもの、欲していたものは全て神が見せていた幻想なのだ。神にはお前達の本心など全て筒抜けという訳だ。そんな中で綺麗事など本当に言っていられるか?」
そしてノートはしばらく黙った後また話しを始めた。
「……私がいなくなって本当にあの地球は大丈夫なのか?……私には分からない……だが今はお前達の行く末を見守る事しか出来ないな……また会える日を楽しみにしているぞ。」
ノートが話し終えると紫色の空間がノートの事を吸い込んでいった。
そしてノートの姿が完全に見えなくなった。
ノートが封印されるとすぐに堕天使長の周りにも紫色の空間が現れた。
「くっ……!このままでは絶対にすまさんぞ!見ていろ!必ずまたここへ戻って来る!その時を楽しみにしていろ!分かったな⁉︎」
堕天使長が話し終えると紫色の空間は堕天使長の事も吸い込んでしまった。
そしてレイド達が天使長と一緒に天使達の所へ戻ってみると、天使達の前からも堕天使達が姿を消していた。
そしてレイド達が天使達の下に行くとアンジーがレイド達に語りかけた。
「ありがとう。君達のおかげで天界は無事元通りになる事が出来ました。君達には何てお礼を言ったら良いのか分からないな……でもゴメンね。これからすぐに君達を元いた世界に送り届けなきゃいけないんだ……君達はまだこの世界に来ちゃいけない存在だから……。」
「……どういう事だ?何で俺達は天界にいちゃいけない存在なんだ……?」
「うん、それはね……いずれ君達にもその意味がちゃんと分かる時が来るよ。でも今は教えてあげられない。ゴメンね……。」
「……ああ、まぁ別に良いんだけどな……。」
「さぁ、早く馬車に乗って!君達をクララがいる場所まで送り届けるよ。後はクララが君達を元いた世界まで連れて行ってくれるはずだよ。」
「ああ、分かった……。馬車に乗れば良いのか……?」
「うん、そうだよ。早く乗って。」
レイド達がアンジーに言われるまま馬車に乗り込むと、馬車はクララがいる場所へと向かって飛び立った。
馬車がしばらく飛んだ後降り立つと、その場所でクララがレイド達の事を待っていた。
「……ありがとうございます……本当にあなた達には何とお礼を申し上げれば良いのか……ですが今はあなた達を元いた世界まで送り届けねばなりません。準備は良いですか?行きますよ?」
「……ああ、大丈夫だ。いつでも良いぜ。」
「分かりました。では皆さん、目を閉じて下さい。あなた達が次目を開けた時元いた世界へ戻っているはずです。」
「……ああ、分かった。」
レイド達はクララに言われた通りゆっくりと目を閉じた。
するとレイド達の周りを大きな光が包み込んだ。




