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レイドは火山の中から出て、サラマンダーの案内で外で待っているエイル達の所へと向かった。

レイドがエイル達の所へ姿を現わすと、エイル達は先程の事があったからなのか、皆レイドの姿を見た瞬間に身構えた。

しかしシルフがレイドの後ろにいるサラマンダーの姿を見つけてエイル達に言った。

「……皆んな!大丈夫だよ!レイドの後ろにサラマンダーがいる!レイドは試練を乗り越えたんだ!安心して!もうレイドは皆んなの事は襲ってこない!皆んなの仲間になったんだ!」

すると、その言葉を聞いたレイドが少し言いにくそうにしながらもエイル達に向けて言った。

「……さっきはすまなかったな……ずっと長い間1人で生きてきたからもう全てがどうでも良くなっちまってたんだ……。……でもそれじゃダメなんだよな……俺もお前達と一緒にノートを倒すよ。俺も精霊の使い手だ。お前達と一緒にノートを倒して今度こそ元の人間に戻ってみせる。俺を仲間にしてくれ。」

レイドのその言葉に皆すぐには返事は出来なかったが、しばらくするとレイラが口を開いた。

「……やれやれ、仕方ないのぉ……まぁこやつがおらんと先へは進めんからな。しょうがない……許してやるとするか。お前達はどうじゃ?わらわはそれしかないと思うんじゃが……。」

するとエイルがレイラの言った事に対して返事をした。

「……私もそれが良いと思います。レイドさんにも色々と事情があったんでしょうから……それに私は何度もレイラさんに命を救ってもらいました。レイドさんは私の恩人ですから本当は感謝している位です。」

「……そうね……私も彼には命を救われたわ。それに彼の状況になったと考えたら私だってそうしてしまうかもしれないもの……レイド、私はもう気にしてないわよ。」

「ああ、俺もだ。俺もレイドには色々と世話になったしな。これ位の事どうって事ないさ。……レイド、おかえり。」

「ゼックス……ああ、ただいま。」

エイル達のほとんどが皆レイドの事を受け入れたが、レイドが試練を受けている間に目を覚ましたジェンドだけはレイドの事を受け入れようとはしなかった。

「……僕は許してないぞ……そいつは僕の事を殺そうとしてきたんだ!……それに何がノートを倒すだ。そんなにノートを倒したいならお前達だけでいけよ!僕には何の関係もないだろ⁉︎」

ジェンドの様子を見かねたサラマンダーは意を決したかのようにジェンドに語りかけた。

「……ジェンドよ、もしそなたが本当にそう思っているのだとしたら私はそなたにもう1度試練を受けさせねばならん……私はそなたが試練を乗り越えたのだと勘違いしていたみたいだ……これはそなたを戻してしまった私にも責任がある。皆には私から断りを入れる。どうだ、ジェンド?もう1度試練を受けさせねばならんか?」

「……くっ……。」

ジェンドは試練という言葉を聞いた途端、土の試練での辛かった事を思い出して余計な事を言うのを止めた。

そしてジェンドはついにレイドの事を受け入れると言い出した。

「……分かった、やるよ……僕もお前達と一緒にノートを倒しに行く。……さっきはすまなかったな。まだノートの所に行く覚悟が出来てなかったんだ。……でももう大丈夫だ。僕もお前達と一緒にノートし倒しに行く。」

「あ、ああ……俺の方こそさっきはすまなかったな。謝るよ。……じゃあ俺達はこれで仲間になったんだな。一緒にノートを倒そうぜ。……それで?これで精霊は全員揃った訳だが早速ノートを倒しに行くのか?」

するとレイドの言葉を聞いたシルフが話しづらそうにしながらもレイド達に言った。

「……それなんだけど……エイルの試練はまだ終わっていないんだ……。エイルが試練を乗り越えないとノートの所へはまだ行けない……。」

「……何だって?……だがそいつはお前を仲間にしているじゃないか?試練を乗り越えていないのに何で仲間になってるんだ?」

「……うん、それにはちょっと訳があるんだけど……。」

シルフはしばらく黙ってしまっていたが、しばらくすると意を決したかのようにエイルに向けて語りかけた。

「……さぁ、エイル。今度は君の番だね。君も試練を乗り越えて早く私を本当の仲間にして。」

「……え?ええ……そうね……まだ私だけが試練を乗り越えてないんだもんね……。」

「うん……エイル、君の準備が出来たら試練を始めるよ。……大丈夫、焦らなくて良いよ。君が本当に準備が出来たと思ったら私に教えて。その時君を試練を受ける場所まで案内するから。」

「……。」

エイルはすぐには返事が出来なかったが、周りの目があったからなのかシルフに聞かれてから割と早く返事をした。

「……大丈夫……私はいつでも大丈夫だよ。シルフ、試練を受ける場所まで案内して。」

「……本当に良いの?周りからどう思われてるかじゃなくて君が本当はどう思っているかが大事なんだよ。エイル、それで本当に後悔はないの?」

「……大丈夫……私は大丈夫だよ。シルフ、私も皆んなと一緒に早くノートを倒したい。早く私を試練を受ける場所まで案内して!」

「……分かった。君が本当にそう望んでいるのならそうするよ。……最後にきくよ、エイル?これから試練を受ける場所まで君を案内するよ。それで本当に問題無いんだね?」

「……うん、私は大丈夫だよ。シルフ、ゴメンね。心配かけて。私も早く試練を乗り越えて皆んなと一緒になりたい……。」

「……分かった、じゃあエイル。君をこれから試練を受ける場所まで案内するよ。エイル、私の近くまで来て。皆んなは私達から離れてくれないかな?これからエイルをその場所まで連れて行くけど誰かが近くにいたらそれが出来ないんだ。」

シルフにそう言われてエイルだけがシルフの近くまで行き、他の者達はシルフの所から離れて行った。

エイル以外の全員が自分の近くから離れて行ったのをすると、シルフはもう1度エイルに先程と同じ事を聞いた。

「……もう1度聞くよ、エイル。これから君を試練を受ける場所まで案内するよ。それで大丈夫?」

「……うん、大丈夫。早く連れて行って、シルフ。」

「……分かった、それじゃあ行くよ。」

シルフが目を閉じて祈りを捧げると、エイルとシルフの周りに突然突風が吹いて大きな竜巻のようなものがエイル達の周りに出来た。

その竜巻はエイル達を包み込んだ後上空に向かって浮かんでいくと、竜巻は風に流されてエイル達を連れてどこかへと向けて飛んで行ってしまった。

エイルが入っている竜巻は凄いスピードで進んでいき、エイルは目を瞑って竜巻が止まるのを待っていた。

そして、しばらくして竜巻が止まるとエイルは目を開けた。

エイルが目を開けて辺りの様子を確認してみると、辺りは真っ暗で何もない場所だった。

「……何なのここ……?……何も見えない……。」

エイルが何かないか必死に探していると、遠くの方にうっすらと一ヶ所だけ光のようなものが差し込んでいる場所があった。

「……あそこだけ何故か光ってる……あそこに行けって事なの……?」

エイルがその場所に行こうかどうか迷っていたが、シルフがエイルに何かを言ってくる事は無かった。

エイルは仕方なく光のある場所を目指して歩き出した。

エイルがその場所に向かってひたすら歩いていたが、光がある場所は全然近付いて来ずエイルは困り果てていた。

その場所は光がある所以外は全てが真っ暗で何も見えず音さえ全くしなかった。

僅かな光が見える以外何も無い場所で1人でいる事がエイルはだんだんと怖くなってきた。

そして歩き出して2時間あまりの時間が過ぎた頃、エイルは我慢出来なくなりシルフに話しかけた。

「……何でなの?私を1人にしないで!もう1人は嫌なの!」

しかしシルフから返事が来る事は無く、エイルはその光が見える場所を目指して歩き続けるしかなかった。

エイルが光が見える場所を目指して5時間あまりの時間が過ぎた。

しかし光が僅かに大きく見えるようになっただけでその場所に辿り着くまでにはまだ多くの時間を必要としていた。

「……そんな……一体いつになったら着くっていうの……ここで休みたいけど真っ暗だから怖くて休めないよ……一体どうすれば良いの……?」

エイルは休憩を取りたくても辺りが何も見えないので怖くて休む事が出来ず、光が見える場所を目指してひたすら歩き続けるしかなかった。

エイルが光が見える場所を目指して歩き出して10時間あまりの時間が過ぎた。

エイルがいる場所から見える光は先程に比べると随分と大きくはなったが、まだその場所に辿り着くには随分と時間がかかりそうだった。

「……ダメ……もう限界……脚が痛くて歩けない。……ここで休んでも大丈夫かな……?ねぇ、シルフ!いるんでしょ?いたら返事をして!」

しかしシルフからの返事は無く、エイルは自分でその場所で休憩するかを決めるしかなかった。

「……何でシルフは返事をしてくれないのかな……?……大丈夫、この場所はシルフが連れて来たんだからシルフはきっとこの場所のどこかにいるはずだ。何かあったらシルフが助けてくれるよね……?大丈夫だよね、きっと……。」

エイルは足の痛みが限界にきていたので、この場はシルフの事を信じてその場所で休む事にした。

エイルは休憩すると疲れていたのでそのまま眠ってしまったが、その後目を覚ますと辺りは真っ暗なままだった。

エイルは目を覚ますと急いで光が見える場所を探したが、光が見える場所は眠る前と変わらず同じ場所にあった。

「……良かった……変わってない。急いであの場所まで行かなきゃ……!」

エイルは光が見える場所を目指してまたひたすら歩き始めた。

エイルが目を覚ましてから歩き始めて2時間あまりの時間が過ぎた。

光が見える場所は確かにエイルのいる場所から近くなっているように感じた。

「……良かった……近付いてる。このまま歩き続ければきっと辿り着けるはずだわ。頑張らなきゃ。」

その後、エイルが再び歩き始めてから5時間あまりの時間が過ぎた。

光が見える場所は随分と大きく見えるようになり、エイルはその場所を目指してまだひたすら歩き続けていた。

「……大丈夫……きっと辿り着ける……早くあの場所まで行かなきゃ!」

エイルが再び歩き始めて10時間あまりの時間が過ぎようとしていた。

光が見える場所はエイルがいる場所からもうすぐの所まで迫っていた。

「……あと少しだ……もうちょっとであそこまで行けるんだ……頑張らなきゃ……。」

エイルは光が見える場所が近付くと、休む事無くその場所を目指してひたすら歩き続けた。

そして、ついに光が見えていた場所がエイルの目の前にまでやって来た。

その光は目の前で見てみるととても大きく、辺り一面に光が広がっているようだった。

「……凄い……それでこれからどうすれば良いんだろう……?このままここで待っていれば良いの……?」

エイルはしばらく光の前で立ち止まっていたが何か起きる事は無かった。

「……何で何も起きないの……?……まさかこの中に入るとか……?」

エイルは一瞬別の答えが浮かんだが、ためらって動き出せずその場で立ち止まっていた。

しかしいくら待っても何も起きなかったので意を決して光の中に入る事に決めた。

「……やっぱりここで待ってても何も起きない……仕方ない……この中に飛び込むしかないのね?……そうだよね、きっと……これだけ待ったんだもの……ここで考えてたって仕方ない。何も変わらなかったんだもの。いいや、もう……思い切って飛び込んじゃえ!」

そしてエイルが光の中へ入って行くと、光はエイルが中に入った後その場所から消えていった。

そしてエイルが光の中に入るとエイルの目の前にある光景が見えてきた。

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