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エイル達はレイドを連れてサラマンダーがいる場所の近くにまでやって来ていた。

サラマンダーは火山の中に住んでいたので、エイル達は火山の中に入ってレイドをサラマンダーの所へと届けに行った。

エイル達が火山の中の奥の方まで歩いて行くと、どこからともなくエイル達に対してこえが聞こえてきた。

「レイドを連れて来てくれてありがとう。もう大丈夫だよ。彼の縄を解いてあげて。」

サラマンダーに言われた通りエイル達がレイドの縄を解くと、再びサラマンダーが語りかけてきた。

「ありがとう……ここから先はレイドと2人にしてくれないかな?レイドはこれから試練を受けなくちゃいけないんだ。僕が君達の前に姿を見せるのはレイドが試練を乗り越えた後みたいだ……その時を楽しみにしているよ。」

エイル達はサラマンダーの言葉にうなづいた後、レイドを置いて火山の中を後にした。

エイル達が出て行ってしばらく経った頃、レイドが意識を取り戻したのか目を覚ました。

「……⁉︎……何だ……どこだここは……?」

レイドが見た事が無い場所に連れて来られていたので呆然としていると、突然レイドにサラマンダーが語りかけてきた。

「……レイド、目は覚めた?ゴメンね……本当は君を傷付けたくはなかったんだけど今の君にはああするしかなかったんだ……。」

「……何だと!誰だお前⁉︎一体どこから話しかけてきてやがる⁉︎姿を見せろ!」

「……僕の名前はサラマンダー。君のパートナーの火の精霊だ。さぁレイド、今度は君が試練を受ける番だよ。準備が出来たら教えて。君を試練を受ける場所まで案内するから。」

だがサラマンダーにそう言われたレイドは呆れた様子で返事をした。

「……はっ!何が準備だ?俺は試練なんて受けねーよ。俺はお前等の思い通りになる気なんてない。そう言う事だったら帰らせてもらうぜ。じゃあな。」

「……。」

レイドは立ち上がってサラマンダーの下を後にしようとしたが、突然レイドの周りを溶岩が包み込んだ。

「……な⁉︎何だ一体⁉︎おい!一体どうなってるんだ⁉︎」

「……ダメだよ、レイド。これは君の使命なんだ。逃げちゃいけない。……これから君を試練を受ける場所まで案内するよ。大丈夫、君なら必ず乗り越えて戻って来るって信じてるから。」

「な⁉︎おい!何言ってやがる⁉︎くっ!何だこれは⁉︎身動きが取れない……!」

レイドは身の回りを溶岩に包み込まれると意識を失った。

しばらく経ってレイドが目を覚ますと目の前に見覚えのない草原が広がっていた。

「……何だここは……?……一体どこなんだ、ここは?」

レイドはその場でただじっとしている訳にもいかないと思ったのかどこか人がいる場所を見つけるまで歩いてみる事にした。

レイドがしばらく歩いていくと目の前に町と思われる場所が見えてきた。

レイドは町の中に入ると誰かから話を聞こうと思い人を探す為に町の中を歩いてみた。

しばらく歩いていると町の人々を見つけたが、その町の人々はレイドの姿を見つけるとその場から逃げようとした。

「……な⁉︎おい!あれ例の奴じゃないのか⁉︎」

「あ、ああ……どうする⁉︎他の奴等にも知らせた方が良いんじゃないのか⁉︎」

「ああ!早く皆んなに知らせてやらないと!おい!急ぐぞ!」

「ああ!」

町の人々はレイドを見つけると突然その場から立ち去ってしまった。

レイドはその様子を見ていて何が何だか分からずに呆気に取られていた。

(……何だあいつ等?一体何何だ?……でも何であいつ等俺の名前を知ってるんだ?……ていうか何で俺があんな奴等にあんな事言われなくちゃいけないんだよ!ふざけた奴等だな……ったく……。)

レイドはふてくされながらも、とりあえず町の中を歩いてみた。

しかし町の中には人の気配が無く、おかしいと思ったレイドは民家の扉をノックして中の人に話を聞いてみる事にした。

「コンッ!コンッ!」

「すまない、ちょっと話を聞きたいんだが……おい!誰かいないのか⁉︎誰か⁉︎」

しかし誰からも応答は無く、レイドはその場で立ち尽くすしかなかった。

「何だ?誰もいないのか……?仕方ない、他の場所に行って聞いてみるか。」

その後レイドは他の民家も訪ねてみたがどの家からも応答は無く、最初にあった町の人間以外とは会う事が出来なかった。

「何何だ一体ここは……?誰も住んでいないのか⁉︎……まぁそれなら逆に好都合だな。じゃあここで一晩ゆっくり休んで明日別の場所に向かう事にするか。」

レイドは宿を見つける為に町中の民家の扉を開けていった。

しかしどの民家の扉も閉まっていて家の中に入る事は出来なかった。

「くそっ……!何だよ、閉まってるじゃねーか……仕方ない。ドアを壊すしかないか……。」

レイドが民家の扉を壊そうかとしていると、突然先程逃げた男達が1人の老人を連れて戻って来た。

「いました!ゾイ様!あの男です!あの男が最近この町をずっと襲っている男です!どうかゾイ様の力であの男を始末して下さい!」

「うむ、分かった。安心して良い。私が何とかしよう。……ん?……あれは!」

レイドの目の前に現れた老人はレイドの姿を見ると突然固まってしまった。

レイドもその老人の名前を聞いて驚き、老人に話を聞いてみる事にした。

「……驚いたな。お前もしかしてゾイか?随分と変わったじゃねーか。」

「……。」

しかし老人はレイドの質問に答えようとはせず、ただ黙っていた。

町の男達はその光景を見て心配そうな様子で老人に質問をした。

「……あの、ゾイ様……もしかして知り合いなんでしょうか……?」

しかし老人はとぼけた様子で男達の質問に答えた。

「……いや……私にこんな知り合い等おらぬ。誰かと間違えておるのじゃろうて。……それで?始末せねばならぬというのはこの男で間違いないな?」

「は、はい!この男が町を襲うようになってから町中の人間が恐怖にさいなまれています……どうかゾイ様の力でこの町を救って下さい!」

「……そうか。ではこの場所から離れていなさい。君達がいたらあの男から人質に取られてしまうかもしれん。そうなっては私も戦いに集中出来んからな。急いでこの場所から離れなさい。」

「は、はい!分かりました!……あの……ゾイ様……どうかよろしくお願いします。」

「……うむ、分かった。後の事は私に任せなさい。君達は早くこの場所から離れなさい。」

「……はい!ではよろしくお願いします!」

ゾイとの話を終えると男達はその場から走り去って行ってしまった。

その様子を見ていたレイドは男達がいなくなったのを確認した後、ゾイに話しかけた。

「……驚いたな……お前もしかして本当にゾイか?何だか本当にそんな感じがするな……なぁ?どうなんだ?」

「……ええ……ご無沙汰してます、レイドさん。……またあなたに会う事が出来て本当に嬉しく思っています。」

「……そうか……やっぱり本当にゾイなんだな……。それで?お前は俺を始末するって言ってたが俺達は戦わなくちゃならないのか?」

「……出来ればそんな事はしたくないのですが……私はあなたにだけはそんな事は絶対にしたくない……レイドさん……この場所をもう襲わないと約束して頂けませんか?そうすれば私があの者達を説得してこの場をやり過ごすようにします。……どうかそのようにして頂けないでしょうか?」

「……はっ……まぁ別にそれならそれでも構わないんだがよ……それよりもまさかお前俺に勝てると思っているのか?どうなんだ?お前さっきからずっとそんな感じで話してるよな?」

「……。」

「……ははっ……面白いじゃないか……。本当にそう思ってる訳だ。……まぁ俺もお前とは戦いたくはないがお前がどれだけ成長したかは気になる。良いぜ、ゾイ。かかって来な。お前どれ位成長したか俺の目で確かめてやる。安心しな。殺す事は無い。お前の腕を確かめる為だ。」

「……本気でいってもよろしいのでしょうか?」

「……本気でか……?もちろんだ。そうじゃなければお前がどれ位成長したか分からないだろ?良いか?遠慮したら許さないからな。さぁお前がどれ位成長したかを俺に見せてくれ!」

「……分かりました。では本気でいかせてもらいます。レイドさんも手加減の無いようにお願いします!」

「……はっ……何だ、随分と自信があるみたいじゃないか?……良いぜ。いつでもかかって来いよ。」

「……分かりました。では行きますよ!」

「ああ、良いぜ。来いよ。」

話を終えるとゾイが一気にレイドに斬りかかった。

レイドはいつものようにゾイの剣を受け止めてゾイをいなそうとしたが、何とゾイの剣がレイドの体に直撃した。

「ぐはっ……!くっ……やるじゃねーか。その自信もまんざら嘘では無さそうだ。随分と腕を上げたみたいだな?」

「……早く構えて下さい。次いきますよ。」

「……何だと⁉︎人か優しくしてやってたらいい気になりやがって……!良いぜ。じゃあ俺もここかは先は全力でいかせてもらう。」

「……分かりました。ではもう1度いかせてもらいますよ。」

「……はっ……どうやらお前は本当に俺に勝てると思ってるみたいだな?良いぜ……じゃあここから先は真剣勝負だ!来い、ゾイ!いつでもかかって来な!」

「……分かりました……では……。」

するとゾイがまたレイドに斬りかかってきた。

レイドはゾイの剣を受け止めようとしたが受け止めきれず先程と同じようとゾイの剣を受けてしまった。

「ぐはっ!くっ……この野郎!」

レイドは怒りのあまりゾイに思い切り斬りかかった。

しかしレイドの剣はゾイに受け止められ、そしてまたしてもゾイの剣を食らってレイドは倒れた。

「ぐあっ!くっ……待て!まだ終わってないぞ!勝負はここからだ!」

「……無駄ですよ、レイドさん。あなたの剣では私は倒せません。あなたは自らの怒りにとらわれて大事なものが見えなくなっている。その怒りに満ちた感情では本当の剣が見える事は無いでしょう。それが分からない限りあなたが私に勝つ事は出来ないでしょう。もう剣を収めて下さい。今のあなたでは何度やっても同じです。」

「……何だと⁉︎お前本当に俺にそれを言っているのか⁉︎良いぜ……じゃあお前の言っている事がどれだけ的を得てないか俺がお前に教えてやるよ!」

レイドはゾイを倒す為に本気で斬りかかった。

しかしまたしてもゾイはレイドの剣を受け止め、ゾイの反撃を喰らったレイドはその場に倒れ込んでしまった。

「ぐはっ!……バカな⁉︎何故俺がゾイに勝てない⁉︎一体どうなってるんだ⁉︎」

するとゾイはレイドの様子を見て諭すように語りかけた。

「……私は間近でいつもあなたの事を見ていたがあなたの剣はいつも怒りに満ちていた。それでは気付けないのです。本当に大切な事は。私に勝ちたいのであれば自分自身を見つめ直す事だ。あなたが本当の意味で自分自身と向き合わない限り私に勝つ事は出来ない。」

「……くっ……何だと⁉︎……ぐっ……!」

起き上がろうとするレイドを見てゾイが言った。

「……私の剣ではまだあなたを殺す事が出来ないみたいだ……私もあれからノートの行方を探したが見つからなかった……。あなたは生きるのに疲れたと言っていた。孤児だった私をちゃんとした道に導いてくれたのは他でもないあなただった。……レイドさん、私に1年時間を頂けませんか?……ノートを見つけ出す事が出来なかった今、あなたの願いを叶えられるとしたらあなたを殺す事しかない。……また1年後この場所で会いましょう。その時はあなたの心からの願いを叶えさせてもらいます。それが私を育てて下さったあなたへのせめてもの感謝の印です。」

「……。」

ゾイはそう言うと刀を収めた。

「……私がさっきの者達の下に行って話をしてきます。その間にレイドさんはこの場所から離れていて下さい。……良いですか?1年後のこの日にまたこの場所に来て下さい。……約束しましたよ。」

ゾイが立ち去ろうとするとレイドはしばらく黙って見ていたが、途中で怒りを感じたのかゾイを呼び止めた。

「……待てよ、ゾイ!お前は1年後必ずこの場所に来るんだろうな⁉︎」

レイドの言葉を聞くとゾイは振り返って返事をした。

「……はい、必ず……。」

「……そうか……呼び止めて悪かったな。じゃあ俺も1年後のこの日、この場所に戻って来るよ。その日を楽しみにしてるぜ。」

「……はい、分かりました。」

話を終えるとレイドは立ち上がってそのままその場所から立ち去って行った。

ゾイは町の男達の所に行って事態を報告しに行った。

するとゾイ達が戦っているのを遠くで見ていた男達は、ゾイがやって来ると突然お礼を言い出した。

「ありがとうございます、ゾイさま!あなたのおかげで無事あの男を追い払う事が出来ました!本当に何とお礼を言ったら良いのか……。」

「……いや、なに、当然の事をしたまで。……それでは私はこれで失礼する。」

「……はい!……あの、ゾイ様?ですが我々はあの男を始末して欲しいと頼んだはずですが……?あの男は生きたままどこかへ行ってしまったのですが……?」

「……なに、あの男はもうこの場所には近寄らないと言っていた。命までは取る必要はなかろう。……それにあの男がまたこの場所にやって来るというのなら今度こそ私が始末しよう。そなた達の事は私が必ず守ってみせる。約束する。」

「そ、そうですか!……いやー、その言葉を聞いて安心しました。ゾイ様がそう言ってくださるのであれば我々も安心して生活が出来るというものです。」

「……うむ。私はこの近くにいるのでな。何かあったら伝えに来てくれ。では私は失礼する。」

「分かりました。あの、ゾイ様……また何かありましたらその時はよろしくお願い致します!」

「……うむ、では……。」

ゾイは話を終えると町から立ち去って行った。

一方レイドは町から離れて行きながら、ただひたすら怒りに満ちていた。

「……何が1年後に会おうだ……あの野郎……。俺は200年も生きてあんな奴にすら敵わないっていうのか⁉︎……じゃあ1年後にあいつに会うヒまで出来る限りの人間を殺して強くなってやろうじゃねーか!どれだけの人間を殺せばあいつを倒す事が出来るようになるんだろうな!……待ってろよ、ゾイ!その時まで!」

そしてレイドはゾイに再び会うその日まで旅に出る事になった。

怒りに満ちつレイドはその旅で多くの人間にと戦う事になっていくのだった。

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