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レイド達が海の上を航海していると、突然シルフが何かに気付いて皆の方を振り返って言った。

「……ノームの近くに精霊の使い手がいるみたいだ……ノームがその場所まで早く来て欲しいって……行こう!もう1人の精霊の使い手が見つかったんだ!急いで迎えに行ってあげなきゃ!」

「そうか……これで精霊の使い手はわらわとエイルを含めて3人見つかったという事になるな。残りの比の精霊の使い手を見つければいよいよノートとの戦いになるという事か……。」

「もたもたしていても始まらないわ。早く最後の1人も見つけて世界に平和を取り戻しましょう!エイル、頑張ってね。あなたにしかこれは出来ない事だわ。私も全力でサポートするから一緒にノートを倒しましょう!」

「はい、分かりました……やってみます、院長様。」

「……ええ、頑張ってね。これは本当にあなたにしか出来ない事なのよ。期待しているからね。」

「……はい、分かりました。頑張ります。」

シルフの言葉を聞いて皆新しい精霊の使い手が見つかった事に色めき立っていたが、レイドだけはその様子を静観して見ていた。

(……これで精霊の使い手は全部揃った訳だ……後はこいつ等を始末するだけだな……さぁ、気合入れていくか!)

レイドが不穏な動きを見せる中、一同を乗せた船はジェンド達がいる所に向かってゆっくりと進んで行った。


レイド達を乗せた船はそれから半日程度の時間をかけてドグール王国の近くの港に到着した。

船から降りるとシルフの案内でレイド達はジェンドがいる土のほこらへと向かった。

レイド達が土のほこらへ辿り着くとジェンドが土のほこらの前でまだ眠っていた。

シルフはジェンドの周りにいたノームを見つけると急いでノームの近くまで飛んで行った。

「ノーム!久しぶり、元気だった?……もしかしてそこで眠っている人が土の精霊の使い手なの?」

「……ああ、そうだ。少し訳があってな……だがもうしばらく待てば分かってくれるかもしれん。もうしばらくの間だけ少し待ってはくれぬか?ジェンドが自らの意思で行動する事が何よりも重要なのでな。」

「……分かった。じゃあ待つよ。その彼との話が済んだら私達と話をしよう。これからどうするかを皆んなちゃんと話し合いたいみたいだよ。」

「……分かった。ジェンドが目を覚ましたらそう伝えよう。すまぬな。」

皆がジェンドが目覚めるのを待っていると突然レイドがゆっくりと動き出し、ジェンドの方に向かって走って行った。

全員が呆気に取られているとレイドは刀を抜いてジェンドに斬りかかろうとした。

その状況を察したウンディーネが慌ててレイラに声をかけた。

「レイラ!早く私の力を使って下さい!今彼を助けられるのはあなたしかいません!早く!」

「……わ、分かった……ではいくぞ!」

レイラはウンディーネの力を使う為に目を閉じて祈りを捧げた。

するとジェンドの周りにあった植物達から小さな水滴が集まり出し、やがて大きな水の塊になった。

「さぁ早く!レイドにそれをぶつけて下さい!」

「うむ……分かった!」

レイラがレイドの方を指差すと水の塊はレイドに向かって飛んで行った。

「ぐわぁ!くっ!テメー邪魔しやがって!はっ……この場所じゃせっかくの精霊の力もそんなもんか⁉︎……って事はそこで寝てるこいつの方が今は危険って事か?……ん?」

「誰なんだお前は一体⁉︎そこで一体何をしているんだ⁉︎」

辺りが騒がしくてようやく目を覚ましたジェンドは事態が良く飲み込めておらず、突然自分の周りに多くの人間がいた事に動揺していた。

「まずいな、起きやがったか……こいつに今目を覚まされると厄介だな。じゃあお前から片ずけるとするか!」

「うわぁ!来るなこっちに!止めろ!誰か助けてくれー!」

レイドが斬りかかってきたのでジェンドは急いでその場から立ち上がって逃げようとした。

ウンディーネはその様子を見てジェンドが祈りを捧げる為の時間を稼がなければいけないと思いレイラに言った。

「レイラ!早く祈りを捧げてレイドを止めて下さい!早く!」

「うむ、分かった!ではもう1度いくぞ!」

レイラがウンディーネに言われた通り祈りを捧げると、先程と同じように植物達の周りから小さな水滴が集まった後大きな水の塊が出来た。

「早くレイドにぶつけて下さい!早く!」

「うむ、分かった!ほれっ!」

「バシャーン‼︎」

大きな水の塊をぶつけられたレイドは動きが止まってしまい、その隙を付いたジェンドがレイド達から見えなくなる場所まで逃げて行った。

ジェンドの姿が見えなくなるとレイドは追うのを諦め、今度はレイラ達の方にゆっくりと近付いてきた。

「……そうだな……じゃあお前達から先に片ずけるとするか?……せっかくの精霊の力もこの地形じゃほとんど役に立たないな⁉︎後はそのエイルとかいうガキがどんな力を持っているかだな……なぁ⁉︎勿体つけずにお前の力を見せてみろよ⁉︎お前は一体どんな力を使うんだ⁉︎」

レイドから質問されてもエイルは何も答えずに、ただ黙ってレイドの方をじっと見ていた。

「はっ……話す気はないって事か⁉︎良いぜ、じゃあ自分の目で確かめてやるからよ!まずはお前からだ!いくぞ!」

レイドはエイルの方に向かって走って行くと刀を振りかぶってエイルを斬ろうとした。

するとレイドは突然激しい頭痛に襲われてその場に倒れ込んだ。

「うわぁ!……くっ……一体何だこれは⁉︎……ぐぅっ!……くっ……。」

レイドが激しい頭痛で身動きが取れなくなると、突然レイドの頭の中に誰だか分からないが声をかけてきた。

(……ダメだよ、レイド。彼女達は皆んな君の仲間なんだよ。君は僕がいる限りもう彼女達に攻撃する事は出来ないよ。)

「……くっ!誰だお前は⁉︎一体どこから声をかけてきてやがる⁉︎」

(……僕の名前はサラマンダー。君のパートナーの火の精霊だ。今僕と君は離れた場所にいるけど僕と君は元々繋がっているんだ。だから僕は君を動けなくする事が出来る。……さぁ、レイド。今度は君が試練を受ける番だよ。早く来て。一緒に使命を果たそう。)

「……ふざけるな!何が使命だ!俺には何も関係無い!……お前に何が分かる⁉︎俺が200年生きてきた中で見てきた苦しみが!何が使命だ!俺はこいつ等を全員殺して永遠に生き続けてやるんだ!」

(……。)

「……⁉︎くっ……。」

するとサラマンダーの力なのか突然レイドは気を失いその場に倒れ込んでしまった。

(彼が最後の精霊の使い手だよ、皆んな。彼の名前はレイド。火の精霊の使い手だ。……皆んな悪いんだけどレイドを僕の所へ連れて来てくれないかな?レイドは長い時間1人で生きてきたから自分を見失っているみたいなんだ。レイドが自分自身を取り戻す事が出来ない限りノートは倒せない。お願いだ。皆んなレイドを僕の下へ連れて来て。)

サラマンダーの声が聞こえなくなると、シルフがサラマンダーの声が聞こえてなかったエイル達に事情を説明し出した。

「……皆んな、聞いて。今最後の精霊のサラマンダーの声が聞こえてきたんだけどどうやらレイドが最後の精霊の使い手みたいなんだ。サラマンダーがレイドを自分の所へ連れて来て欲しいんだって。まぁ色々あったけどレイドが助けてくれなきゃ私達はノートを倒せないみたいだよ。……でも安心して。また何かレイドがしようとしたらサラマンダーが止めてくれるはずだから。精霊の使い手と精霊は意識の中で繋がっているからサラマンダーはレイドの動きを止める事が出来るんだ。……さぁ皆んな、仲間が見つかったんだ!早くサラマンダーの所へ行こう!」

「……最後の精霊の下へ行くのは良いがその男、起きたらまた突然暴れ出すのではないか?何か縄か何かで縛って動けなくしておいた方が良いのではないか?」

「……うん、そうだね。念の為そうしておいた方が良いかもね。……あ!そうだ!ノームがこの場所からいなくなってたんだね。ちょっと待って。いませんノームに話しかけてみるから。」

そう言うとシルフは目を閉じて離れた場所にいるノームに語りかけた。

(……ノーム、聞こえる?最後の精霊の使い手が見つかったみたいだ。これからサラマンダーの所へ向かおうと思ってる。皆んなで向かおうと思うんだ。悪いんだけど彼をここに連れて来てくれないかな?)

(……うむ、分かった。すまぬ、苦労をかけるな。今ジェンドをそこまで連れて行く。)

(大丈夫だよ。気にしないで。さぁ、早くサラマンダーの所へ行ってあげようよ。レイドが試練を乗り越えればノートに会うのはもうすぐだよ。)

(ああ、分かっている。今そちらに向かう。待っていてくれ。)

(うん、分かった。)

ノームとの話を終えるとシルフは話の内容を皆に説明し出した。

「ノームがジェンドを今からここまで連れて来るって。少し彼を説得するのに時間がかかるかもしれないからここで待っていようよ。」

「……うむ、分かった。ではそのジェンドという男が来るまで少しゆっくりしておこうかの。」

「……うん、そうだね。じゃあエイル達もジェンド達がここに来るまで少しゆっくりしてなよ。」

「……うん、分かった。」

ノームがジェンドを連れて来るまでの間、一同はその場でしばし待つ事にした。

ようやく見つかった最後の精霊の使い手はレイドだった。

何故精霊の使い手であるにも関わらずレイドはエイル達の事を襲ったのか?

果たして200年の間1人で生きてきたというレイドの身に一体どんな事があったのだろうか?



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