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ロート達はかつてデトワール王国があった場所にノートを連れて戻って来ていた。

ロートは城の奥の部屋まで行ってノートをテーブルの上に置いた。

テーブルの上にノートを置いた後ロートは緊張した様子でノートに言った。

「……さぁ、お前の力を俺に貸してくれ。俺はどうすれば良い?何かやる事があったら教えてくれ。」

「……オマエトフタリダケデハナシガシタイ……ソノオトコヲコノバショカラデテイカセロ……。」

するとノートの言葉を聞いたゼックスが慌てた様子でロートに言った。

「……ロート!罠かもしれんぞ!そいつの言っている事は本当に信用出来るのか⁉︎」

しかしロートは首を横に振ってゼックスの忠告を聞こうとはしなかった。

「……良いんだ、ゼックス。俺には失う物なんてもう何も無い。……それにリオーネはルヴァンに捕らえらたままなんだ。このまま何もしないで黙って待っているなんて俺には出来ない。悪いな、ゼックス。行ってくれ。俺はノートと2人で話がしたい。」

「……しかし……。」

ゼックスはノートを疑っていたのでロートを止めようとしたが、ロートの意思は固くロートがゼックスの方を見る事はなかった。

ロートの覚悟を察したのかゼックスは1度ロートの方を見た後無言で部屋を後にした。

ロートはゼックスがいなくなったのを確認すると恐る恐る恐るノートの方を見て言った。

「……さぁ教えてくれ?俺はどうすれば良い?俺はリオーネを助ける事が出来るならどんな事でもするつもりだ。何でも言ってくれ。」

「……ソノマエニヒトツオシエロ……ソノリオーネトイウノハイッタイオマエトドウイウカンケイナンダ……?」

「……ああ、俺の妹なんだ。昔ルヴァンと戦争があった時相手の国に連れて行かれたんだ……。……俺は何としても妹を取り返したいんだ。俺に出来る事ならどんな事でもやるよ!だから何でも言ってくれ!」

「……。」

ノートは考え事をしていたのかすぐに返事をせずにしばらく黙っていた。

しかし考えがまとまったのかしばらく経った後ロートに返事をした。

「……ワカッタ……オマエニチカラヲアタエテヤロウ……。タダシオマエニヤッテモラウコトガアル……ソレデモヨイカ……?」

「……あ、ああ。何でも言ってくれ!俺に出来る事ならどんな事でもするよ!」

「……ソウカ……デハワタシノマエニキテクレ……。」

「あ、ああ……分かった。……お前の前に行けば良いんだな……?」

「……アア……ソウダ……。」

ロートはノートに言われた通りノートの前まで移動した。

するとしばらく経った後突然ノートの周りから緑色の光が放たれ出した。

緑色の光はみるみるうちに部屋中に広がり、その光はロートとノートの周りまでも包み込んだ。

「……うわー!ちょ、ちょっと待ってくれ!一体どうなってるんだ⁉︎ちゃんと説明してくれよ⁉︎おい!」

ノートが放った光に包み込まれたロートは次第に意識が遠退いていき、やがてロートの意識は完全に無くなった。

そしてロートの意識が完全に無くなるとロートの体の中にはノートの意識が入り込んでいた。

「……ふー……久しぶりだな、人間の身体は……。」

すると先程ロートが上げた声に異変を感じたゼックスが急いで部屋の中に入って来た。

「ロート!一体何があった⁉︎おい!大丈夫か⁉︎」

(……こいつか……?)

ノートは目的を果たすまでは出来るだけ仲間は多い方が良いと思ったのかこの場はゼックスに対して取り繕う事にした。

「……ああ、別に何でもない。ただちょっと力を与えてもらう時に見た事が無い事が起きたんで驚いただけだ。」

「……そうか……それで?そのノートとやらの力は手に入ったのか……?どんな力だったんだ?」

「ああ……何でも細胞が活性化するとかで戦闘の時に大きな力を発揮するらしい……。ただ今はあまり実感がないな……何か変わった感じがする訳でもないしな。」

「……そうか。」

ゼックスはロートの様子が普段と違うように感じたのでロートにカマをかけてみる事にした。

「……それで?そのノートとやらにはもう用は無いんだろ?じゃあもう壊して良いのか?」

するとノートの顔つきがみるみる変わっていきゼックスの方を恐ろしい目つきで睨み付けた。

「……貴様……!殺されたいらしいな⁉︎」

「……やはりか……クソッ!嫌な予感が当たりやがった……!おい!ノートとか言ったな⁉︎ロートを返してもらうぞ!」

「ふっ……貴様に一体何が出来る⁉︎私の事を知ってしまったのだ。お前にはここで死んでもらうぞ。」

ノートがゼックスに攻撃しようとしたその瞬間ノートの体が突然動かなくなった。

(止めろ!ゼックスには手を出すな!)

ノートの動きが止まったのをゼックスは見逃さずに攻撃したが、ノートは多少よろめくだけでゼックスの攻撃はほとんど効いていなかった。

「くっ……まだ意識があるのか……この体に慣れるまで少し時間が必要みたいだな。運が良いな、お前。ひとまずここは見逃しておいてやる。次に会う時を楽しみにしておけ。」

ノートはテーブルの上に置いてあった元の自分の体が入った容器を手に取るとゼックスの横を横切っていった。

「ま、待て!一体どこに行く⁉︎おい!ロートを返せ!」

しかしノートの力を手に入れたロートの体は必死に追いかけるゼックスのスピードを大きく上回り、ゼックスの場所から次第にノートの姿は見えなくなった。

「……クソッ!やられた!1番恐れていた事が起きちまった……!」

ゼックスは城の外まで出てノートの事を探したがノートの姿を見つける事は出来ず、ただその場でしばらく呆然と立ち尽くした。

(……クソッ!ロートの体はあのノートとかいうのに乗っ取られたのか……?あいつのあのスピード……人間のものとはとても思えなかったな……。奴は俺を探してまたやって来るのか……?俺では敵う相手ではなさそうだな……許せロート!ここは一旦退くぞ!何かお前を助ける方法があるのかもしれない……それが見つかるまで絶対無事でいるんだぞ!)

ゼックスは城から出てノートがいないか辺りを確認しながら城から離れて行った。

そしてそのままデトワールから出来るだけ離れた場所へと向かって行った。



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