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次の日の朝、ジェンドは医務室のベッドの上で目を覚ました。

ジェンドは昨日の事があったからなのか目を覚ましても医務室の中から出ようとはしなかった。

(……どうする?他の奴等には僕の考えている事が分かるんだ。そう簡単に外に出る事は出来ない……あっ!そういえば確か僕は試練を受けているんだったよな……待てよ……これが何か試練と関係あったりするのかな……?……クソッ!分からない!一体どうすれば良いんだ⁉︎)

答えを出せないまま医務室の中でじっとしているしかなかったジェンドの下に、突然医務室のドアをノックする音が聞こえた。

昨日の事があったので頭の中を読まれないようにする為にジェンドは何も考えないで瞬間的に返事をした。

「……何だ?一体誰だ?」

ジェンドが問いかけると部屋の外から王の使いという兵士がジェンドに用件を伝えてきた。

「ジェンド様。私、王の使いでやって参りました。王がジェンド様に自分の所に来るようにとの事です。……どうなされますか?すぐにご出発出来ますでしょうか?」

「……いや、待ってくれ。……いや、すぐに行く。」

ジェンドは何も考えずに行動しようとしていたのでどう用意して良いのか分からず、とりあえず近くにあった着替えを手に取ると怪しまれないように慌てて部屋から出た。

ジェンドは部屋から出ると息を切らしながら、何も考えないように直感で兵士に話しかけた。

「……大丈夫だ、行こう。」

「かしこまりました……あの……本当に大丈夫なのですか?」

「大丈夫だ。早く行こう。」

「……分かりました。では王の所へと向かいましょう。」

ジェンドは兵士の後を付いて行きながら王が待っている王宮へと向かった。

王宮に着くと王がそわそわしながらジェンドの事を待っていた。

そしてジェンドが王宮に入って来たのを見つけると慌ててジェンドを自分の下へ呼び寄せた。

「……おお!ジェンド!やっと来たな。さぁ早くこっちへ来るのだ!」

ジェンドが近くにやって来ると王はジェンドの目をしっかりと見て話を始めた。

「ジェンド、そなたに頼みたい事があるのだ……聞いてくれるか?」

「ええ!頼み……?……。」

ジェンドは 考えを読まれるのが嫌なので本当は嫌だが、この場をやり過ごす為に王に話を合わせる事にした。

「分かったよ……で、何なの頼みって?僕がやらなくちゃいけない事なの?」

すると王は神妙な面持ちでジェンドに語りかけた。

「……実は母さんが重い病気にかかっていてな……その病気を治す為にはある薬草が必要なのだ……我々も四方八方探し回ってはいるのだが中々見つける事が出来ておらんのだ……。そこでじゃ、そなたにもその薬草を見つける旅に出て欲しいと思っておる。そなたにこんな事はさせたくないが事態は一刻を争うのでな……良いかジェンド?薬草を見つけて無事城まで戻って来るのじゃ。行ってくれるな?」

「……。」

ジェンドはしばらく黙っていたが、頭の中を読まれない為に王に合わせるように返事をした。

「分かった、行くよ。行けば良いんだろ?」

「……そうか……では早速出発してもらう事にしよう。どこを探して良いか分からんのでなにぶん人手が裂けんのでな……1人で行ってもらう事になるぞ。それでも良いな?」

「……ええ……いや、分かった。それで良いよ。……早く出発した方が良いんだろ?じゃあ準備してくるよ。」

「……そうか、分かった。では準備が済んだらまたここに来てくれ。そなたに渡したい物がある。良いな?準備が済んだらまたここに来るのだぞ?」

「……分かった、じゃあ準備してくるよ。準備が出来たらまたここに戻って来るからさ。」

王との話を終えるとジェンドは足早に王宮を後にして自分の部屋へと向かった。

(……何だよ……何で僕が薬草なんか見つけに行かなくちゃいけないんだよ。誰が見つけに行ったって同じだろ?でも母上が苦しんでいるんだ……。仕方ない、見つけに行くしかないか……それに父上も何だか僕の事を怪しんでいるみたいだったな?とりあえず早く城から出た方が良いみたいだな……ここに残ってこのまま生活していく方が身がもたないや。)

ジェンドは旅に出るのに必要な荷物をカバンに詰め込むと再び王宮へと向かった。

王宮へと入って行ったジェンドは出来るだけ何も考えないようにしながら王の下へと近付いて行った。

ジェンドが目の前までやって来ると王は再びジェンドの目を見ながら話を始めた。

「来たか、ジェンド……もう準備は良いのか?」

「ん……ああ、良いよ。いつでも出発出来るよ。」

「そうか、分かった。ではお前が旅に出る為に必要な物を渡そう。おい、ジェンドにあれを渡しなさい。」

「ははっ、かしこまりました。」

王が近くにいた兵士に指示を出すと兵士は少し大きめの袋を持ってジェンドの下へと向かい、その袋をジェンドに手渡した。

「どうぞ、ジェンド様。この袋をお受け取り下さい。」

「ん、ああ……。」

ジェンドが袋の中を確認してみると、随分多めの金貨が袋の中にギッシリと詰まっていた。

「……これ、どうするの?持っていって良いって事なの?」

すると王は笑い声をあげながらジェンドの質問に答えた。

「ははっ、良い良い。気にするでない。それよりも早く薬草を見つけて来るのだぞ。母は苦しんでおるのだからな。そなたの手で母を助け出してやってくれ。頼んだぞ、ジェンド。」

「……ああ、分かった。」

ジェンドは王宮で金貨を受け取ると兵士達に見送られながら城を後にした。

城から出たジェンドはどこを探して良いか分からず、とりあえず城から離れるようにゆっくりと歩いて行った。

(……薬草って言ってもどこにあるか分からないんじゃどうしようもないな……仕方ない、とりあえず近くの町まで行ってみるか。)

ジェンドはあても無かったのでとりあえず近くの町に行って話を聞いてみる事にした。

果たしてジェンドをこれから待ち受けている試練とは一体どんなものなのか?

そしてジェンドはその試練を本当に乗り越える事が出来るのだろうか?

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