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ノートが眠りから目覚めて数時間の時が過ぎようとしていた。

ロートはノートに言われたようにジェダを信じて良いのかという言葉がずっと気になってしまっていた。

しかしノートを本当に信用出来なかったのでリオーネの下に向かうのを頼めないでいた。

ただどうしてもリオーネの事が気になるロートは何とかリオーネの状況だけでも確認したかったが、後一歩のところで思い留まっていた。

(……ノート……。)

(……?)

ロートはノートには決して聞こえないようにノートの名前を呼んだ。

しかしそこから先に踏み出す事が出来ず、ただただ時間だけが過ぎていった。


一方その頃リオーネは数時間の時間はかかったがミッドガルドに到着した。

ミッドガルドに到着するとリオーネは下の町を目指した。

ミッドガルドの町はあちこちに怪物達がうごめいていて、リオーネは怪物達に見つからないように隠れながら下の町を目指していた。

リオーネは怪物達に見つからないように建物の影に隠れながら何とか下の町へと向かう階段に辿り着いた。

リオーネは階段を降りて行く間怪物に出会う事無く何とか鉄の門の前まで辿り着いた。

鉄の門の前に辿り着いたリオーネは行き止まりになっていたので状況が読めず、慌てて辺りを見回していた。

するとリオーネは門の横にある呼び鈴を見つけたので急いで呼び鈴を鳴らした。

「……ジェダ!私よ!リオーネよ!聞こえているならここを開けて!あなたに助けて欲しいの!」

リオーネは呼び鈴を鳴らした後必死にジェダに訴えかけた。

一方その頃ジェダは呼び鈴が鳴った事の報告を部下から受けていた。

「……何だと?じゃあその訪ねて来た女はリオーネだと言っているのか?」

「……はい……もしかしたら本当にあのリオーネ王女かもしれません……。どうなされますか、ジェダ様?我々はもうデトワールとは関係の無い身……今我々が仕えているのはジェダ様です。ジェダ様がどうなさるかお決めになって下さい。」

「……。」

ジェダはしばらく考えた後重い口を開いた。

「……そうか、分かった。ではとりあえずその者の姿を確認しよう。本当にその者がリオーネ王女かどうか確認してからでないと対策も立てられまい。」

「はっ!かしこまりました!」

ジェダは門の前にいるリオーネの姿を確認する為に監視カメラの映像を確認出来る部屋に向かった。

ジェダが監視カメラの映像を見てみるとそこには確かに見覚えのあるリオーネの姿が映っていた。

(……まずいな……こいつはおそらく本物のリオーネ王女かもしれん……。いなくなった当時は幼かったとはいえ王女の姿を見たら思い出す者もいるかもしれんな……ここは無下に扱う事は得策ではないか……。)

ジェダはしばらく考えた後部下達の方を見て指示を出した。

「……当時は幼かったとはいえどこか面影があるな。本物のリオーネ王女かもしれん……おい、皆でお迎えに行って差し上げろ。デトワールが滅びたといっても我々のかつての主君である事に変わりはない。丁重に扱うようにな。」

「はっ!かしこまりました!」

部下達はジェダから指示を受けると門の前までリオーネを迎えに行った。

ジェダは部下達がいなくなった後しばらく監視カメラの映像を眺めていた。

(……こいつが本物のリオーネ王女だとしたら厄介な事になりそうだな。奴等元はデトワールの兵士達だ。王女が言えば私の代わりに王女を新しい主君にするかもしれん……。仕方ない、始末するしかないか。)

ジェダは映像をもう1度確認した後、部屋から出て行き自分の部屋へと戻って行った。

一方その頃兵士達はというとジェダに言われた通り門の扉を開けてリオーネを迎えようとしていた。

門の扉が開くと兵士達は門の前に佇んでいたリオーネに話しかけた。

「リオーネ様ですね……ジェダ様がお待ちです。今ご案内致します。」

「……はいっ、よろしくお願いします……。」

リオーネは突然現れた数人の兵士達の姿を見て驚いてはいたが抵抗する事は無く、大人しく兵士達の後ろを付いて行った。

リオーネがジェダの下に向かって歩いている途中、1人の兵士がリオーネに話しかけてきた。

「……あの……リオーネ様、私の事を覚えていますか?ワットです。昔良く遊びに付き合わされたんですが……。」

するとリオーネはとても驚いた顔でワットに言った。

「……ワット……?ワットなの?昔良く遊んでくれてたあのワット……?」

「……ええ、お久しぶりです。リオーネ様。」

「……ええ、私もあなたにまた会う事が出来て嬉しいわ。……でもあなたがワットだって分からなかったわ。昔はその……もっとスマートに見えたから……。」

「……ええ、あの時は随分私も細かったでしょう。いえね、私もなにぶん年を取ったものでね……昔のような体型には中々戻ろうと思っても戻れないんですよ。」

「そうなの?ごめんなさい……あなたに失礼な事を言ってしまったわ……。」

「いえいえ、お気遣い無く!リオーネ様はあの当時はまだ幼かったですから気付かないのも無理ないですよね。それに私も随分変わってしまったものですから。いや、それにしてもあのリオーネ様がこんなに大きくなられるなんて……いや、時間の流れというのは本当に早いものですなぁ……。」

「そうね……本当にそうね……。」

「……。」

リオーネは兵士達に案内されてジェダのいる部屋へと辿り着いた。

するとリオーネが部屋に着くなりジェダが出迎えてきた。

「これはこれはリオーネ様、大きくなられましたなぁ。私の事を覚えておられますか?昔あなたやロート様のお世話を良くしたのですが……。」

「ええ、覚えているわ……あなたには良く遊んでもらっていたから……。あなたの顔も良く覚えている。……あなたにも新しい生活があるというのに……突然押しかけるような真似をして本当にごめんなさい。」

「……いえいえ、とんでもない。まぁ積もる話もあるでしょうがとりあえず今日のところはひとまずゆっくり休まれてはいかがですか?何やら随分と変わり果てた姿をされて……どんな事情があったか分かりませんがお疲れのようでしたらすぐに宿を取らせますが⁉︎」

「ええ、そうね……分かったわ。それじゃあ宿に案内してくださる?」

「はい、分かりました。おい、リオーネ様を部屋まで案内して差し上げろ。今日のところはひとまずゆっくり休んでもらってまた明日ゆっくり話を聞く。リオーネ様、それで良いですかな?」

「ええ、大丈夫よ。ありがとう。」

「いえいえ、私はこの部屋にいますので何かあったら呼んで下さい。また落ち着きましたらゆっくり話しましょう。」

「ええ、分かったわ。」

「それでは今日のところはひとまずゆっくりして下さい。おい、リオーネ様を部屋までご案内して差し上げろ。」

「はっ!かしこまりました!」

リオーネはジェダのいる部屋から出ると兵士の案内でその日泊まる部屋まで案内された。

部屋の前に着くと兵士が立ち止まってリオーネに話しかけた。

「今日はこの部屋でおくつろぎ下さい。我々はこの屋敷の中にいると思いますので何かあったら遠慮なく声をかけて下さい。」

「ええ、分かったわ。あの……ありがとう。」

「いえ……我々はかつてのデトワールの兵士として当然の事をしているだけですから……さぁ、リオーネ様。今日のところはひとまずゆっくりと休まれて下さい。着替えを探してきますので部屋でくつろいでいて下さい。また明日落ち着いたらジェダ様にこれからの事をご相談下さい。我々で良ければいつでもお力になりますから。」

「本当に……?ありがとう……凄く嬉しい……ずっと長い間1人で閉じ込められていて……もうそんなに優しい言葉をかけてもらえる日が来るなんて思っていなかったから……。」

「……大変だったのですね……まぁ今日のところはひとまずゆっくり休まれて下さい。私は着替えを取ってきます。リオーネ様は部屋の中でくつろがれていて下さい。」

「……ええ、ありがとう。じゃあそうさせてもらうわ……。」

兵士はリオーネの身なりを案じて急いで代わりの着替えを取りに行った。

リオーネは案内された部屋の中に入るとベッドの上に倒れ込み、余程疲れていたのかこれから先の事を考えなければいけないのに目をつぶって眠りに就いてしまった。

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