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ロート達はノートを連れ出した後エポルタ修道院から随分離れた森の中に辿り着いていた。
ロートは追っ手が追いかけて来てないのを確認した後その場に座り込み、ゼックスが座ったのを確認すると話を始めた。
「……ゼックス、ここら返で少し休憩しよう。少し休んだらすぐに出発するからさ……。ちょっと疲れちまった。」
「……ああ、だがあまり長居は出来ないぞ。いつ追っ手が追いかけて来るかも分からんからな。今は出来るだけここから遠くまで離れた方が良いだろう。」
「分かってる。少し休んだらすぐに出発するからさ。ちょっと待ってくれ。」
ロートが体力を回復するのを待っている間ふと手に持っているノートの事が目に映った。
ロートはノートの事が気になったのでいくつか質問してみる事にした。
「……なあ、お前の力って一体何なんだ?俺達は本を読んでお前の事を知ったけど詳しい事は書かれてなかった。なぁ、もし良かったら……その……お前の事を教えてくれないか?」
すると少し間を置いた後ノートがロートに語りかけてきた。
「……アア……イイダロウ……。ワタシノチカラハニンゲンヲベツノブッシツヘトヘンカサセルコトダ……ワタシノチカラヲツカエバニンゲンハオオキナチカラヲテニイレルカワリニベツノブッシツヘトヘンカスル……。」
「……別の物質っていう事は……人間じゃ無くなるっていう事か?」
「……スガタカタチハソノママダ……ダガナイブノコウゾウガベツノブッシツヘトヘンカスル……。ツマリニンゲンデハナクナルノダ……。」
「……それはどんな人間でも使えるものなのか……?」
「……アア……モンダイナイ……。スベテノニンゲンガツカウコトガデキル……。」
「そうか……それを聞いて安心したよ。じゃあ俺でも大丈夫みたいだな。」
「……ロート、話は後だ。とにかく今はここから出来るだけ離れるのが先だ。今は身を隠すのが先だ。」
「ああ、そうだな。……分かった。じゃあ出発しようぜ。」
ロート達は話を終えるとまたエポルタ修道院とは反対側の方向に向かって走って行った。