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レイド達を乗せた船はアコラを出発した後順調に海を渡り大陸に辿り着こうとしていた。
大陸が近付くと港がある町を探して船を進め、レイド達は港がある町を発見した。
しかし港に船を停めようとしたその時レイドが異変に気付いた。
「……待て……様子が何か変だ……。ちょっと俺が町の中を見て来る。お前達はここで待ってろ?良いか?勝手に動くんじゃないぞ。」
「ええ……あなたは1人で大丈夫なの……?」
「ああ、問題無いさ。お前達がいても邪魔になるだけだ。良いか?ここから動くなよ。」
船を港に付けるとレイドは船から降りて町の中の様子を観察しに行った。
しかしレイドが町の中を歩いてみても人の気配を全く感じなかった。
そして町を出て森の中に入ってみるとノートに怪物に変えられた者を見つけた。
「ちっ!やっぱりか……何か嫌な予感がしてたんだよな……。そういえばミッドガルドにいた時もこんな感じがしたな……近くにこいつ等がいたら分かるのか?……まぁ良い、とにかくここから離れよう。こいつ等の相手をしていてもキリが無さそうだ。」
そうしてレイドが船に戻ろうとしたその時、船の方から突然悲鳴のような声が聞こえた。
「キャー‼︎」
その悲鳴は確かにエイル達が乗っている船から聞こえてきているようだった。
「ちっ!もしかしてあいつ等の所か⁉︎待てよ……この怪物共にあいつ等を始末させれば……。いや、もう1人いたな……そいつを見つけ出すまでは始末出来ないな……まぁとりあえずここは助けておいてやるか?」
レイドは特に急ぐ事無く船の方に向けてゆっくりと走って行った。
レイドが船の近くに到着するとエイル達が怪物と戦っていた。
すると思ってもいなかった光景がレイドの目に飛び込んできた。
「おのれ……どうすれば良いというのじゃ⁉︎こんな化物!」
「レイラ!私の力を使って下さい!目を閉じて祈れば良いだけです!今のあなたなら出来ます!さぁ、早く!」
「……力を使う⁉︎……うむ、分かった……ではやってみよう!」
レイラはウンディーネに言われた通り目を瞑って祈りを捧げた。
するとレイラの周りにある海から大きな波が押し寄せて来て怪物を吹き飛ばした。
「何じゃこの力は⁉︎一体どうなっておる⁉︎」
「それがあなたの力です。あなたは水の精霊の使い手。あなたが私といればあなたの周りにある水を自在に操る事が出来るのですよ。」
「何と⁉︎まことかそれは⁉︎そうか……この力があればノートを倒す事が出来るかもしれんな……。」
レイドは怪物を倒したレイラをただじっと見つめていた。
(……くっ!失敗だった!さっさと1人ずつ片ずけておくべきだった!……水の精霊の使い手か……奴は周りの水を自在に操ると言っていたな……。じゃああのエイルとかいう奴は周りに風があれば自在に操れるって事だよな……?厄介だな、思ったより……ここは一緒に行動しているように見せて相手の隙を伺った方が良いな……。)
レイドは考えがまとまると船の中へと戻って行った。
「いやぁ、悪い悪い。遅くなっちまった。お前等は大丈夫そうだな。良かったよ。安心した。」
「うむ、わらわがいれば何の問題も無いぞ。そなたはどうであった?町の様子を見てきたのであろう?」
「ああ、町の中にはもう人はいなかったよ。ただ森の中にノートに怪物に変えられた奴がいた。ここはさっさと離れた方が良さそうだ。」
「そうか……では早く船を出した方が良さそうじゃな。」
「ああ、そうだな。ゼックス、船を出す準備をするからちょっと手伝ってくれ、」
「ああ、分かった。今行く。」
レイド達は船を出す準備をした後町の港から出航した
そしてレイド達は新たな精霊の使い手を見つける為にまた海を渡り出した。
一方その頃ノートはとある場所へと辿り着いていた。
「まだこんな場所か残っていたのだな……良し、ここもとりあえず片ずけておこうか?」
その場所は森の中にある王国ドグール。
土の精霊の一族が独自に築き上げた森の中にそびえ立つ要塞のような王国だ。




