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レイド達を乗せた船はアコラの港に到着した。

「なぁシルフ、ウンディーネっていうのの居場所は分かるんだよな?お前に付いて行けば良いのか?」

「うん、大丈夫。私に任せて。ちゃんとウンディーネがいる所まで案内するから。じゃあ行くよ。」

レイド達はシルフに導かれて水の洞窟へと向かった。

水の洞窟に着くとレイラを待っている従者達がいて心配そうに洞窟の中を眺めていた。

レイド達が水の洞窟の方へと近付いて行くとレイド達の存在に気付いた従者達が咄嗟に身構えながら威嚇した。

「……誰だ貴様等⁉︎どうやってこのアコラの場所が分かった⁉︎貴様等一体何者だ⁉︎」

するとレイドが従者達を落ち着かせる為にシルフを呼んだ。

「まぁ待てって。ちょっと落ち着けよ。おい、シルフ。お前が行って説明した方が良いんじゃないのか?」

「そうだね、じゃあちょっとそこで待ってて。私が行って説明してくる。」

そう言うとシルフは従者達の前まで飛んで行った。

「初めまして、風の精霊のシルフです。この水の洞窟の中にいるウンディーネの仲間だよ。あそこにいるのは私のパートナーの風の精霊の使い手とその仲間達だよ。ちょっと話を聞いてもらえないかな?」

するとシルフの存在に驚いた従者達の態度が一変した。

「……風の精霊……?そんなまさか……じゃあレイラ様の仲間って事になるんだよな……?」

「……ああ、そういう事になるんじゃないか……?」

すると従者達の顔がどんどん青ざめていき、突然シルフに対して謝り出した。

「……申し訳ありません!我々は精霊というものに会った事が無かったものですから!もしご無礼があったとすれば何卒お許し下さい!」

従者達は全員しばらくの間頭を下げたまま黙ってしまった。

その様子を見たシルフは首を横に振りながら優しく従者達に語りかけた。

「……違うよ、君達は何も悪くない。私達はただウンディーネの事を聞きたかっただけだから……早く頭を上げて。あそこにいるのは君達の仲間と同じ精霊の使い手なの。良かったら助けてあげて欲しいんだ。」

シルフのその言葉を聞いて従者達は恐る恐る頭を上げるとシルフの方を見て聞いた。

「……あの……我々に出来る事であれば何でもお手伝いしますが……。それで助けると仰いましたが一体どのようにして助ければよろしいのでしょうか……?」

「うん、ちょっと待って。皆んなー、この人達が水の精霊の使い手の事を教えてくれるよー。早くこっちに来てー。」

シルフの言葉を聞いてレイド達は従者達の下へと近付いて行った。

従者達の前まで行くとレイドが従者達に話しかけた。

「なぁ、あんた達。俺達はノートっていう化物を倒す為に仲間を集めているんだ。どうやら4人の精霊の使い手がいないとノートは倒せないらしくてな……俺達は水の精霊の使い手の事を探してる。あんた達、水の精霊の使い手がどこにいるか知らないか?」

すると従者達がお互いの顔を見回した後うなずき、従者の1人が説明し出した。

「レイラ様でしたら今水の洞窟の中に入って試練を受けられている最中です。……ですが我々にもその後がどうなっているか分からないんです……何せ2カ月前に水の洞窟に入ったきり姿が見えなくなってしまったものですから……。」

「!姿が見えなくなった⁉︎おい!一体何があったっていうんだ⁉︎」

「いえ……あの……我々も試練を受けている間は誰も中に入れないように言われていたのでここで待っていたのですが……。数日経った後もレイラ様が戻られなかったのであまりにも遅いと思い我々の独断で水の洞窟の中へと向かいレイラ様の事を探しに行きました。……ですがいくら探しても水の洞窟の中にはレイラ様の姿はどこにもなかったんです……。」

「……姿がないだと?一体どうなってる?……そのレイラっていうのはこの洞窟の中からは出て来ていないのか?」

「ええ……見張りを始めてからこの場所から誰もいなくなったという事はありません。我々は休憩する時も交代でしていましたから誰かは必ずこの場所にいる状態でした。ですからレイラ様がこの洞窟の中から出て来たという事は無いと思われます……。」

「……そうか……じゃあまだこの洞窟の中にいるっていう事だよな……?一体どうなってる?1人でもかけたらノートを倒す事は出来ないんだろ……。」

全員が黙り込んでいるとシルフが何か閃いたのか話し始めた。

「……ああ、そっか。分かった。私が水の洞窟の中に入ってウンディーネから話を聞いてくるよ。私ならウンディーネも姿を見せてくれるから大丈夫。皆んなはここで待ってて。話を聞いたらすぐに戻って来るから。」

「ああ……大丈夫なのか?俺達はここで待っていれば良いのか?」

「うん、そうだよ。じゃあちょっと待っててね。今ウンディーネから事情を聞いてくるからさ。」

そう言うとシルフは水の洞窟の中へと入って行った。

シルフは水の洞窟の中を飛び回りながらウンディーネの事を探したがいなかったので大声で呼びかけた。

「ウンディーネー!どこにいるのー?シルフだよー。いたら返事をしてー。」

すると洞窟のどこからかシルフに対して語りかけてくる者がいた。

「シルフ?……お久しぶりですね。どうしたのですか一体?あなたがこの場所に来るなんて驚きました。」

「うん、私も嫌だったんだけどクララに頼まれてねー。精霊の使い手達を引き合わせなくちゃいけないんだー。それで?水の精霊の使い手はどこにいるの?」

するとウンディーネは少し黙り込んだ後シルフに説明し出した。

「……レイラは今試練を受けています。この試練を乗り越えない限り私は彼女の下に姿を現す事は出来ないですから……申し訳ありませんがもう少しだけ待っててもらえませんか?彼女ならきっとこの試練を乗り越えられると私は信じてますから。」

「うん、分かった。じゃあ外の皆んなには私からそう伝えておくよ。皆んな中の事が分からなくて心配してたみたいだからさ。何も無くてホッとしたよ。」

「……そうですか……私がちゃんと説明してなかったからいけなかったんですね……シルフ、そちらをお願いして良いですか?私はレイラが試練を終えるまでこの場所を離れる事は出来ませんから……。私が謝っていたとシルフからその方達に伝えてくれませんか?」

「うん、良いよ。じゃあ私の方から説明しておくね。ウンディーネは気にせず試練の事だけ考えておけば良いよ。じゃあ行くねー。君達の試練が終わったらまた会おうねー。」

「分かりました……よろしくお願いしますね、シルフ。」

「うん、分かった。じゃあまたねー。」

ウンディーネから事情を聞いたシルフは水の洞窟を出てレイド達の下へと向かった。

レイド達の下へと着くとシルフはウンディーネから聞いた事を説明し出した。

「大丈夫だよ、レイラは今この中で試練を受けているって。でもレイラが試練を乗り越えられるまでウンディーネはここから離れる事が出来ないみたいなんだ。どうするの?ここで試練が終わるまで待っとくの?」

するとシルフの言葉を聞いた従者の1人が取り乱しながら聞いた。

「本当に、本当にレイラ様はご無事なんですか⁉︎」

「うん……ウンディーネがちゃんとそう言ってたよ。安心して、ウンディーネは嘘をついたりする事は絶対にないから。それよりもウンディーネは何も伝えずに皆んなに心配かけた事を謝っといて欲しいって。ちゃんと伝えたよ。」

「そうですか……良かった……。」

レイドは話を聞いていて疑問に思う事があったのかシルフに聞いた。

「なぁ、シルフ。それでその試練っていうのはいつ終わるんだ?どの位この場所で待ってれば良いんだ?」

「さぁ……私は試練が終わるまで待ってるようにしか言われてないから……そんな事聞かれても分からないよ。」

「さぁってお前……世界がどうなっているのか分かっているのか⁉︎一刻を争う状態なんだぞ!」

「もうー、怒らないでよ……何なのこいつ……?エイルー、どうにかしなよー。」

レイドの事が嫌だったのかシルフはさっさとエイルの後ろへと隠れてしまった。

そのシルフの様子を見てレイドがマリー達に聞いた。

「おい、本当にこのまま待っていて大丈夫なのか⁉︎今も世界中の人間がノートに怪物にされているんだぞ⁉︎こんなにのんびりしていて本当に良いのか⁉︎」

「……ええ、でも他の精霊の使い手達は精霊と一緒にいないんでしょ?じゃあとりあえずここで待っておくしかないんじゃないの?水の精霊の使い手を仲間にしてから他を探して方が私は良いと思うわ。」

「……私もそう思います。ここは水の精霊の言う事を信じて待っていた方が良いんじゃないでしょうか?」

「……決まりみたいだな。レイド、そんなに焦っても仕方ない。そのレイラとかいう女の試練が終わるまでこの町で少しのんびりしよう。」

「……ああ、そうかよ。分かった。じゃあもう何も言わないよ。」

こうしてレイド達はレイラの試練が終わるしばらくの間アコラの町に滞在する事になった。

その日は従者達のうちの1人に案内されてアコラの町の宿に向かった。

焦るレイドを他所にノートは各地を襲っていっていた。

しかしレイラはまだ水の試練を終える事が出来ないでいた。


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