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これはノートが奪われる数時間前の話。

エポルタ修道院の前に怪しげな2人の男の姿があった。

2人の男の名はロートとゼックスと言い、彼等はかつて存在していたデトワール王国という国の人間だった。

ロートはデトワール王国のかつての王子であり、王国が滅びた後生き残った兵士のゼックスと行動を供にしていた。

ノートが奪われる数時間前、ロートとゼックスはエポルタ修道院の前で何やら密談をしているようだった。

「ここか?エポルタ修道院ってのは?……随分と分かりずらい場所にあるんだな。まぁそんな事は良いや。……なぁゼックス!そのノートって奴はこの中にいるんだよな?ここで間違いないんだな?」

「……ああ……俺も来た事は無いからはっきりとした事は言えんが地図の通りだとすればこの場所のはずだ。問題はこの中にどう気付かれないようにして入るかだな……良いかロート。こっちは2人しかいないんだ。決して無茶はするなよ。もし修道院の人間に見つかったとしても俺から離れるんじゃないぞ。見つかったら戦闘になるからその事だけは覚悟しておけよ。良いな?」

「ああ、分かってる……良し!それじゃあ早速そのノートとやらがいる所まで行くとするか?無駄な戦闘は避けたいから見つからないようにしないとな。慎重に行くぞ。良いな?」

「ああ、分かってる。じゃあ中に入るぞ。」

ロートとゼックスは辺りの様子を慎重に確認しながらエポルタ修道院の中へと入って行った。

エポルタ修道院の中に入るとロート達は中の人々に気付かれないように建物の影に隠れながらノートの居場所を探し始めた。

そしてロート達は修道院の地下へと繋がる階段を発見した。

「妙だなこの階段……なぁ、ゼックス。どう思う?この階段何か怪しいと思わないか?」

「ああ、そうだな……だがこの階段を下りれば地下になるからおそらく逃げ場も無くなるぞ。この先を行くんだったら慎重にな……。」

「ああ、分かってる。……まぁ迷っていても仕方ないさ。あてはないんだ。とりあえず先に進んでみよう。準備は良いか?」

「……ああ、俺はいつでも良いぞ。」

「そうか……それじゃあ行くぞ!」

ロート達は辺りの気配を伺いながら地下へと続く階段を降りて行った。

階段を降りた様子地下の中を歩いていると、ある部屋の前に見張りのような男が立っていた。

その男を見つけるとロート達は咄嗟に物陰に隠れて気付かれないように小さな声で話し合いを始めた。

「……おい、ゼックス。あいつどう思う?部屋の前に見張りを付けるなんて怪しいと思わないか?……もしかしてあの部屋の中にノートがいるんじゃないのか?」

「……ああ、そうかもな。だとすればあの見張りの男は殺すしかないだろうな。……俺が先に行ってあいつを始末する。お前は俺が呼ぶまでここから動くんじゃないぞ。出来ればあいつに気付かれないうちにあいつを始末したい。お前はここで物音を立てず大人しく待ってろ。良いな?」

「……分かった。じゃあ頼んだぞ。」

「ああ、任せておけ……。」

ゼックスは見張りの男に気付かれないように物陰に隠れながら慎重に近付いて行った。

そして見張りの男の近くまで行き建物の影に隠れながら襲撃する瞬間を待っていると見張りの男がゼックスがいる方とは反対の方向に向かって歩き出した。

すると次の瞬間ゼックスは見張りの男に斬りかかり、見張りの男がゼックスの気配に気付いた時ゼックスは男の目の前まで迫っていた。

「……‼︎ぐわぁ‼︎くっ……何だ貴様?おい!まさか⁉︎……止めろ……止めてくれー‼︎」

ゼックスは抵抗する間を与えず見張りの男に何度も斬りかかった。

そして見張りの男が死んだのを確認するとゼックスは急いでロートの下へと走って行った。

「ロート!急げ!あれだけ騒がれたんだ!他の者達にも気付かれたかもしれん!早くあの部屋の中を確認しに行くぞ!行くぞ!」

「……ああ、分かった。……良し、じゃあさっさとあの部屋の中を確かめようぜ。早くノートを奪ってこんな場所からはずらかろうぜ。」

「ああ、そうだな。じゃあ行くぞ。」

ロートとゼックスは見張りの男が立っていた部屋の中に入って行くとノートの居場所を急いで探し始めた。

ロート達が部屋の中に入ってノートの事を探しているとロートが箱を見つけ、その箱を開けてみると箱の中に透明の容器のような物が入っていた。

その透明の容器を箱から出して容器の中を確認すると、透明の容器の中にひし形の形をした緑色の物質のような物が入っていた。

「……何だこれ……?水晶みたいだな……?おいゼックス!ちょっと来てくれ!」

「……何か見つかったのか?今行く。」

ゼックスがロートの方に向かうと、ロートが手に持っている緑色の物質が入った容器をゼックスに手渡してきた。

ゼックスが渡された様子の中の物質を観察しているとロートがその物質を不審そうな目で見ながら言った。

「……どう思うゼックス?何か怪しいと思わないか、それ?大体部屋の前に見張りを付けている時点で何かあるのは間違いないんだ。……それがあのノートって奴じゃないのか?」

「……ああ、俺も確かな事が分からんからはっきりとした事は言えんがその可能性はあるな……。良し、じゃあとりあえずこいつは持って行くぞ。この部屋の中をもう少し探して他にそれらしい物が見つからなかったらさっさとこの部屋から出よう。良いな?」

「ああ、分かった。じゃあさっさと探そうぜ。」

ロートとゼックスが部屋の中を確かめようとした瞬間、突然緑色の物質がロート達に話しかけてきた。

「……オマエタチハダレダ……?イッタイワタシニナンノヨウダ……?」

突然緑色の物質から声が聞こえてきたのでロート達は驚いて立ち止まると、目を疑いながら緑色の物質の方を見た。

すると緑色の物質から何も聞こえてこなかったのでロートが思い切って緑色の物質に話しかけた。

「……なぁ……もしかしてお前がノートなのか?俺達はノートって奴を探しに来たんだ!お前がそうなんだろ⁉︎」

するとロートが声をかけて少し経った後、また緑色の物質から声のようなものが聞こえてきた。

「……アア……ソウダ……。オマエタチハダレダ……?イッタイワタシニナンノヨウガアッテココニキタ……?」

緑色の物質が返事をした事に対してロートとゼックスは驚きのあまりお互いの顔を見合わせた。

そしてロートは緑色の物質の方に視線をやると、生唾を飲み込んだ後もう1度恐る恐る話しかけてみた。

「……あの……俺はロートでこいつはゼックスって言うんだ。俺達は昔デトワールっていう国に住んでいて俺は王子でこいつは兵士をしていた。……だがデトワールは敵対国から滅ぼされて無くなってしまったんだ……。……それで俺達はお前の力を借りてデトワールを復活させたいんだ!頼む!俺達に力を貸してくれないか⁉︎この通りだ!」

「……。」

ロートが話した後しばらく経ってまたノートが話し始めた。

「……イイダロウ……オマエタチノネガイヲカナエテヤロウ……。タダシハヤクコノバショカラワタシヲツレテイケ……ワタシハコノバショガキライナンダ……。」

「……あ、ああ。分かった。じゃあ早くこの場所から出よう!ゼックス!さっさとここから出発しようぜ!」

「……ああ……じゃあ行くぞ。」

ロートとゼックスは部屋から出るとノートを連れて地上へ向かう階段を登って行った。

地上まで辿り着くと辺りの様子を確認しながらロート達はエポルタ修道院から脱出し、誰にも気付かれないようにエポルタ修道院から出来るだけ遠くへと走って行った。


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