25
覆われていた霧が消えると先程見えていたビブレストの町とはどこかへと消えてしまい、一面の雪景色の中に1人の少女が佇んでいた。
「お久しぶりです。今度はちゃんと精霊の使い手を連れて来てくれましたね。」
少女はニッコリ微笑むとゆっくりレイド達を下へと近付いてきた。
レイド達の目の前まで来ると少女は落ち着いた様子で話を始めた。
「自己紹介がまだでしたね。初めまして、私の名前はクララと言います。私の役目はこの場所で精霊の使い手達を待っている事です。」
「……!……。」
クララに何か疑問に思う事があったのかレイドがクララに質問した。
「……それで?この場所で精霊の使い手達を待った後はどうするんだ?」
するとクララはレイドの方を見ながら優しく微笑んで質問に答え出した。
「そうですね……その質問に答える前に見て欲しいものがあります。私に付いて来てくれませんか?」
「付いて行く?一体どこにだ?」
「行けば分かると思います。私が先に行きますので後を追って付いて来て下さい。」
そう言うとクララはその場から離れて別の場所へと向かって歩いて行った。
レイド達は良く意味が分からなかったがこの場は抵抗しても仕方ないと思ったのか大人しくクララの後を追った。
クララげビブレストがあった場所から離れて行って随分経った頃、雪景色の中に小さな湖が見えてきた。
するとクララが後ろを振り返りながらレイド達に言った。
「あそこです。あの場所で説明しますから付いて来て下さい。」
クララはそう言うと湖に向かって歩き出した。
湖に着くとクララはレイド達の方を見て話を始めた。
「まずあなた達に見て欲しいものがあります。私が説明するよりも何があったかを自分の目で確かめた方が良いかなと思いますので……この湖の中を見ていて下さい。」
「湖の中を見る⁉︎」
「ええ……この湖に全てが映し出されます。その光景をしっかりと見ていて下さい。」
クララにそう言われたのでレイド達は言われた通り湖の方向を見た。
するとクララが目を瞑って何か呪文のようなものを唱え出した。
やがて湖の中全体に何かの映像のようなものが映し出された。
「これからこの湖を使ってあなた達にこれまで何があったのかを説明します。準備は良いですか?しっかりと見ていて下さいね。」
クララはそう言うとまた目を瞑って呪文を唱え出した。
クララが準備を唱えると湖の中の止まっていた光景が静かに動き出した。
すると人間が自分達の為だけに機械を作り出して環境を破壊し、大きな利益を上げて喜ぶ姿が映し出された。




