表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/66

21

これは150年程前レイドがビブレストに向かおうとしていた時の話。

レイドはノートの力によって老いる事が無くいつまで経っても同じ姿のままだった。

最初はそれも良いかと思っていたが周りの人間は変わっていくのに自分だけ変わらないという事に途中から嫌気がさしてレイドは元に戻る方法を探し始めた。

そしてノートの事を調べていくうちにノートを封じ込めていた者達の存在を知った。

その者達は精霊の使い手と呼ばれ、4人の精霊の使い手が精霊と一緒にビブレストという場所に辿り着いた時ノートを倒す事が出来ると言われていた。

そのビブレストという場所を見た事があるという話はほとんど聞いた事が無く、そのビブレストに辿り着くにはマナサ高原という険しい山道を越えなければならないと言われていた。

レイドは自分の体を元に戻すヒントがビブレストにあると思い準備を済ませた後汽車に乗り込んでマナサ高原へと向かった。

マナサ高原は北の方角に位置していたのでマナサ高原全体が雪で覆われているような場所だった。

汽車はマナサ高原の近くの駅に止まるが駅から高原までは歩いて1時間程かかるという人気が無い場所に位置していた。

駅に着くとレイドは汽車から降りてマナサ高原に向かった。

雪で覆われた道を1時間程進まなければならなかったが1時間程ひたすら歩き続けるとレイドの目の前に空にも届きそうな高い山が見えてきた。

「……おいおい、本気かよ?本当にこの山を登らなきゃいけないのかよ……?」

レイドは最初高原の中に入るのをためらっていたが、じっとしていても仕方ないと思ったのか覚悟を決めて山頂へと続く山道へ足を踏み入れた。

普通の人間ならば歩いて山頂まで辿り着く事さえ難しそうだが、レイドは一歩一歩足場を確かめながら着実に頂上へと向かって行った。

「どうなってやがるんだよ、ホント⁉︎もう随分歩いたってのにまだ半分も来てないんじゃないのか⁉︎」

レイドは足場の悪い雪山をひたすら歩き続けたがその日のうちに頂上に着く事は出来なかった。

レイドは日が落ちても休む事なく頂上に向かって歩き続けた。

レイドは夜通し歩いたが日が昇ってもまだ頂上は見えてこなかった。

この頃になるとレイドは言葉を発するという事はなく、ただ黙って足だけを動かす事に集中していた。

そして辺りが明るくなってから数時間が経った頃、ようやく山の山頂と思わしき景色がレイドの視界に飛び込んできた。

「!……あれだ……あそこが頂上だろ⁉︎よーし!もう一息だ!一気に駆け上がるぞ!」

レイドは疲れた体に無理を効かせながら頂上までの残された道を勇み足で駆け上がって行った。

レイドは山頂に辿り着くとその場に座り込んで登ってきた場所と向かい側に位置する方向の景色を眺めていた。

すると山から少し離れた場所に町のようなものが見えていた。

「……あそこか⁉︎ビブレストっていうのは⁉︎本当に……どんな場所にあるんだよ!はぁ……さぁもう一息だ!さっさとここから降りてあそこまで行こう!」

レイドは山頂に着いて少しだけ休憩した後、その後すぐに立ち上がりビブレストに向けて出発した。

ビブレストへ向けて歩き続けて1日程時間が過ぎるとようやくレイドはマナサ高原を抜ける事が出来た。

マナサ高原を抜けた後ビブレストは肉眼で見える場所に位置していたのでレイドは最後の力を振り絞りそこに向かった。

レイドがマナサ高原を抜けてしばらく歩き続けた頃ビブレストに到着した。

「……やっと着いたか……本当に手間取らせてくれやがって……。はぁ……さぁ中に入るか!」

レイドはビブレストの町に足を一歩踏み入れた。

するとレイドの周りを突然深い霧が包み込んだ。

「!何だ⁉︎一体どうなってる⁉︎」

するとどこからともなくレイドの耳に声をかけてくる者がいた。

「人間よ、この町に入りたくば精霊の使い手と一緒にこの場所に来なさい。その条件を満たした者しかこの町に入る事は出来ません。あなたが正しい者である事を願っています。」

「何だ⁉︎一体誰なんだ⁉︎おい!一体どういう意味だ⁉︎姿を見せろ!」

どこからともなく聞こえてきた声が消えるとレイドの周りを包み込んでいた深い霧が消えていった。

そして辺りを見渡してみるとレイドの目の前からビブレストの町が姿を消していた。

「……町が消えた⁉︎……一体どうなってる……?……本当にこんな事があるってのか?」

レイドはビブレストの町があった場所を探してみたが辺りはただの雪景色でそれ以外のものはどこにも見当たらなかった。

「……どうなってるんだ一体……?これが本当に現実なのか……?」

レイドはその場に座り込むとしばらく起き上がる事が出来ずにただ呆然としていた。

ビブレストがあった場所を見つめながらさっき聞こえてきた声がレイドの頭をよぎった。

「……精霊の使い手と一緒に来いって言ってたな……じゃあ今度はそいつを見つけ出さないといけないのか……はぁっ……どこにいるんだよそんな奴……?」

レイドはビブレストがあった場所を見つめながらショックでしばらくの間ずっと座ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ