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レイドが上の町の端の方まで行くとそこには今は使われていないがかつて酒場だった建物があった。

その建物の中に入るとかつてロートと行動を供にしていたゼックスがいた。

「……久しぶりだな、レイド。何か有力な手がかりでも見つかったのか?……ん?何だそいつは?そいつは一体誰なんだ?」

「ああ……どうやらこいつがお前の探している女みたいだぜ。エポルタ修道院から来たらしい。こいつがいればノートを抑え込む事が出来る。お前が探していた奴はこいつだ。」

「……‼︎本当か⁉︎それで⁉︎そのノートを抑え込むっていうのは一体どうやるんだ⁉︎」

「まぁ待てよ。詳しい話はこいつから聞いてくれ。俺は偶然こいつを見つけたこら連れて来てやっただけだ。……おい!こいつゼックスって言うんだ。お前の事を探していたみたいでな。ちょっと話を聞いてやってくれないか?」

「……分かりました……。」

エイルはレイドに言われた通りゼックスの方に行くとゼックスの近くにある椅子に座った。

「……あの……それでお話しというのは一体どんな事なのでしょうか?」

「……ああ……あんたがエポルタ修道院からきたがっていうならノートが奪われた事は知っているだろう?まずはそこから話したいんだが……。」

「……その日の事は良く覚えています。あの日ノートの点検をしに行ったのは私でした。私がノートの点検をしに地下の部屋まで行くといつも部屋の前で見張っている看守の人が殺されていました。そして私が部屋に入った時には部屋の中にはもうノートの姿はありませんでした……。」

「……そうか……実を言うとそのノートを奪った犯人っていうのは俺とその……相棒なんだ……。」

「‼︎……本当ですか……?」

「……ああ……あの日俺達はノートを奪う事に成功した。だがノートの力を手に入れる為に俺の相棒はノートに自分の体を取られちまったんた……虫のいい話してかもしれないが俺はその仲間を助けたい……。頼む!力を貸してくれないか?」

「……すみません……そう言う事でしたらお受けする事は出来ません……。」

「……そうか……。」

2人が黙っているとレイドが突然エイルに対して言った。

「……受けろよ、その話。嫌だとは言わせないぞ。」

レイドを突然の言葉にエイルは驚いたがレイドが戦っているところを見ていたので逆らっていけないと思ったのか、エイルは恐る恐るレイドに理由を尋ねた。

「……あの……どうしてですか……?あなたには何の関係も無くありませんか……?」

「関係無いね……。」

レイドは少しの間黙っていたがしばらくすると口を開いた。

「……お前がノートを完全に破壊してくれないと俺が困るんだ。」

「……どうしてですか……?」

「……俺もその、ノートの分身みたいなもんだからだよ。」

「‼︎……。」

レイドの突然の告白にエイルは驚きのあまり返す言葉が見つからなかった。

レイドはエイルの状態を察したのかそのまま話を続けた。

「……俺は昔ノートの力を手に入れた人間なんだ。さっき町の中に怪物達がいただろ?あいつ等と俺は……まぁ同じようなもんだ。」

「……でも……あなたは人間の姿をしているじゃありませんか……?町の中にいたものとはその……全然違う……。」

「ああ、それな……もう200年になるかな……この姿のまま生き続けて。何故だか分からないが俺だけ怪物の姿にならなくて済んだんだがな……ノートがいると俺はこの姿のまま一生生きていかなきゃいけないみたいなんだ。」

「……。」

「だからずっと探してたんだ。お前の事を……それにノートを倒すのを一緒に手伝ってくれる奴等もな。……それにお前達もこのままノートを放っておく訳にはいかないんだろ?急にこんな事聞いて驚いているかもしれないが悪いがお前には一緒に来てもらうぞ。」

「……あの……その……ノートを完全に破壊したらあなたはどうなるんですか?」

「……さぁな……人間に戻る事が出来るのかそれともこのままなのか……どちらにしても俺はこのまま生きていく事にもう疲れた。他の人間は変わっていくっていうのに自分だけはずっとこのままなんだもんな……いい加減もう疲れた……さっさと終わらせる。こんな事は。」

「……。」

「……とにかく俺達はお前がいなきゃどうにもならないんだ。一緒に来てもらうぞ。お前がゼックスの事をどういう風に思おうと勝手だが俺にはそんなの何も関係ないからな。一緒に来てもらうぞ?良いな?」

エイルはレイドに逆らう事が出来ないので黙ってうつむくしかなかった。

しかししばらく黙っているとマリーの事を咄嗟に思い出して、慌ててレイドの方を見ながら言った。

「……あの!院長様を……!院長様を助けてあげて下さい!私があなた達と一緒に行けば院長様は関係無いんですよね⁉︎だったら院長様をここから助けてあげて下さい!そうすれば私はあなた達と一緒に行動しますから!」

「……ああ、あの女か。ちょっと待ってろ。ゼックス!そいつと一緒にここで待っておけ!……まだ下の町にいるだろ?そいつをちょっと迎えに行って来る!」

「……ああ、分かった。」

話を終えるとレイドは酒場から出てマリーを助けに下の町へと向かった。

レイドがいなくなった後ゼックスはさり気なくエイルにレイドの事を聞いた。

「……おい、お前。あいつが戦っているところを見たか?」

「……ええ、さっき……。」

「そうか……お互いとんでもない化物に目を付けられてしまったものだな……。」

それから先エイルとゼックスが言葉を交わす事は無く、レイドが戻って来るのを2人とも黙って待っていた。

レイドは上の町の中を走りながら下の町へと続く階段の方に向かっていた。

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