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エイルとマリーが中央政府の建物の中で暮らし始めて1カ月の時が過ぎようとしていた。

その間世界各地にノートに怪物に変えられた人々が現れて世界は恐怖に包まれていた。

世間ではノートの仕業だと言われるようになり、修道院からノートが奪われたこれからを隠し通す事が難しくなったダヴィーは窮地に立たされていた。

そしてダヴィーはついにマリーに責任を取らせる決意を固めた。

ダヴィーはマリー自身にノートを奪われた事を公表させる事でマリーに責任を押し付けたいと考えていた。

そして世間にはマリーを牢に繋ぐ事で責任を取らせたように見せて、自身はノートの捕獲に全力を尽くすと宣言する事で世間の信頼を得ようと考えていた。

マリーに世界中に会見する事を伝えると、自身もマリーの後に会見する為の準備を着々と進めていった。

そしてついに世界中にノートが奪われた事を伝える為の会見の日がやって来た。

マリーとダヴィーは中央政府のビルの中にある会見場で会見の時間が来るのを待っていた。

会見は全世界に中継され、会見場には中継用のカメラが何台も用意されていた。

マリーとダヴィーは会見の時刻の3時になるまで自分の席に座りながらその時が来るのを待っていた。

そして時刻は3時に近付きいよいよその時が訪れようとしていた。

会見の時刻の3時になると会見場の中のカメラが作動し始め、ダヴィーがそれを確認した後会見を始めた。

「本日皆様にこの会見をご覧頂きたいのは他でもありません。最近各地に現れた怪物達についての話です。世間ではノートの復活が噂されているようですが私共が調査を進めたところエポルタ修道院からノートが奪われたという事実が判明致しました。誠に残念ですが皆様が考えられている通りノートは復活致しました……しかしご安心下さい!我々はノートを抑え込んでいた少女の確保に成功致しました!また我々はノートを封じ込める手段を分かっております!ですから皆様どうぞご安心下さい!我々が迅速に問題を解決し皆様の平穏な生活を取り戻してみせます!」

そしてダヴィーは会見を一旦止めるとマリーの方を見て再び会見を始めた。

「……そこで……今私の横にいる方から皆様に御報告したい事があるそうです。彼女はエポルタ修道院で責任者をしておりました。彼女の口から皆様にお伝えしたい事があるそうなので皆様に聞いて頂けないかと思っております。」

ダヴィーがマリーの方を見るとマリーは1度軽く深呼吸した後マイクに顔を近付けた。

「……初めまして……先程ダヴィー司令官からご紹介されたようにエポルタ修道院で責任者を務めているマリーという者です。今日皆様にお伝えしたいのは……ノートを奪われた責任は私にあるという事です。私共の仕事はノートを管理する事でノートの復活を阻止する事でした。しかしノートが奪われた日……私達は日々の業務をやっているだけでそれ以外は何もやっておらずもしかしたら危機管理が欠如していたのかもしれません……。全ての責任はエポルタ修道院の管理をしていた私にあります。しかし私共の使命はノートを封印してこの世に安定を取り戻す事……ですから……皆様ノートの封印を見届けるまでの間私に一刻の猶予を頂けないでしょうか?勝手な言い分だとは承知しておりますが各地で怪物達の被害に遭う方々が後を絶ちません。今は一刻の猶予も無いのです……お願いします!私に少し時間を下さい!ノートを封印し終えた後は私はどんな罰でも受けるつもりです!」

話を終えたのかマリーはダヴィーの方を見て合図を送った。

マリーから合図を受け取ったダヴィーはマイクに顔を近付けて再び話を始めた。

「皆様、私からもどうかマリーの願いを聞いて頂けるよう皆様にお願いしたいと思っております……彼女はノートの管理をし続けてきたのでノートをもう1度封印する為には必要な人材だと私は考えております。……それにマリーの言う通り今は一刻の猶予も無いのです!我々に不備があった事はノートを封印した後に聞きたいと思っております!我々の手で必ずノートを封印し皆様の平穏な生活を取り戻す事をお約束致します!ですから我々に今一時の時間を与えて下さらないでしょうか⁉︎お願い致します!……⁉︎」

「ガチャ。」

ダヴィーが話をしている時、突然兵士が外から会見場に入って来た。

「……司令官!大変です!このビルの中にノートに姿を変えられた怪物と思わしき者が入って来ています!おそらくこの会見場に近付いて来ていると思われます!早く逃げて下さい!」

「何だと⁉︎くっ……!この会見をした事が仇となったのか……⁉︎……おい!カメラを止めろ!何をしているんだマリー!行くぞ!もたもたするな!」

するとマリーはあおざめさ表情をしながダヴィーの方を見て言った。

「……大変だわ……敵の狙いはエイルよ……。エイルがいなくなったらノートを封印する事が出来なくなる……ダヴィー様!私の事は良いですから早くエイルを助けに行って下さい!あの娘がいなくなったら全てが終わりです!」

「くっ……!分かっている!おい!聞いていたか⁉︎全ての兵に伝えろ!エイルを助ける事が最優先だ!良いか⁉︎絶対に彼女を死なせるなよ!我々の威信に懸けて彼女を守り通すんだ!良いな⁉︎」

「はっ!」

兵士達はダヴィーから指示を受けると一斉にエイルの下へと走って行った。

兵士達は散り散りになると手分けしてエイルの事を探し始めた。

1人の兵士だけはダヴィーの指示で放送室に行き、ダヴィーの指示を聞いていない兵士達に状況を伝えた。

「全兵に告ぐ。この建物の中にいるエイルという少女を見つける事を最優先にせよ。これはダヴィー司令官の命令である。その少女が捕まればノートを封印する事が出来なくなる。繰り返す。全兵に告ぐ。エイルという少女を見つける事を最優先にせよ。」

ビルの中にはノートに姿を変えられたと思われる怪物達の多くがすでにうごめいていた。

兵士達は怪物達を払いのけながら未来に望みを繋ぐ為にエイルの事を必死に探しだそうとしていた。








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