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エレベーターが着くとマリーはダヴィー司令官が待つ部屋のドアをノックした。

マリーがその部屋の中に入ると部屋の中にはとても凛々しく少し体のがっしりとした男がソファーに座りながらこちらを見ていた。

「……来たかマリー……こちらに来て座れ。」

「……はい、分かりました。」

マリー達がソファーに座ってもダヴィーは難しい顔をしたまますぐには話しかけてこなかった。

ダヴィーはしばらく黙っていたが少し時間が経つとマリーの方を見て話を始めた。

「……やってくれたな、マリー。この責任はどう取るつもりだ?ノートがいなくなった事が世間に知られたらお前も私もただでは済まないぞ……。」

「……分かっています。私はどんな罰でも受けるつもりでいます……ただ今なノートを早く取り戻す事が私は先決だと考えています。」

「……簡単に言ってくれるな。それが出来れば苦労はせんさ……奴の力は巨大過ぎる……1度表に出した以上並大抵の事では奴を抑える事は出来ないだろう……。何かノートを盗んだ奴の手がかりはないのか?それが無ければこちらとしても探しようがないぞ?」

「……いえ……何も……。ですからダヴィー様のお力をお貸し頂きたくこちらに伺いました……。」

「話にならんな……盗んだ者の手がかりが無いとなると私でもどうしようもないぞ……。こうしている間にもノートは人間を怪物へと変えていっている……世間はもう異変に気付き始めているのだ。泣き言を言っている暇があったら手がかりの1つでも思い出したらどうだ?」

「……はい……ですが本当に何も見ていないのです……。……我々が気付いた時にはもうノートはいなくなっていたものですから……。」

「……厄介な事になったな……ノートは次々と各地で怪物を生み出している……。気付かれるのも時間の問題か……。」

ダヴィーが考え事をしているとマリーがためらいながら話しかけた。

「ダヴィー様……この件は私が全ての責任を負います。ですがノートを封じ込めるまでの間少し時間を頂けないでしょうか?ノートが表に出てきた以上最早エイルだけで太刀打ち出来るとは思えません。ノートを封じ込める事が出来るという4人の精霊の使い手……他の3人を見つける為に私にお時間を頂けないでしょうか?必ず私が他の3人も見つけて参ります。」

ダヴィーは1つ大きなため息を吐くとエイルの方を見て言った。

「はーっ……分かった。しかし今はその話は後だ。この件が表に出れば私もお前も自由に動けなくなるかもしれん……お前も一応覚悟だけはしておけ。良いな?」

「……分かりました。」

ダヴィー達の話を聞いていたエイルは納得がいかなかったのか突然立ち上がった後ダヴィーに対して言った。

「……あの!院長様は何も悪くありません!私が点検に行った時にはノートはもう……。」

「……エイル、良いのよ。座りなさい。」

マリーはエイルを制止した後状況を察してダヴィーに部屋から出る許可を取ろうとした。

「あの……ダヴィー様。どこかエイルと2人で話せる場所はないでしょうか?私達はダヴィー様の監視下に置いてもらって構いませんので……ひとまずここは……。」

「ああ……今兵を呼ぼう。部屋を取ってあるからその兵にそこまで案内してもらえ。」

そう言うとダヴィーは電話をかけて兵士に用件を伝えるとマリー達の方には戻って来ずそのまま部屋を出ようとした。

部屋を出る前にダヴィーは立ち止まるとマリーの方を振り向いて神妙な面持ちで言った。

「……すまんな、マリー……その時が来れば誰かが責任を取らねばならんのだ……。もしその時が来たら後の事は私に任せておけ。その娘の事も含めてノートの事も必ずケリをつける。」

「……はい……分かりました……。」

ダヴィーは話を終えるとそのまますぐに部屋から出て行った。

エイルは不安そうな表情を浮かべるマリーにためらいながら質問した。

「……あの……院長様……?私達これからどうなるのでしょうか?」

「……心配しなくて良いのよ……あなたは大丈夫だから……。」

それからダヴィーが手配した兵士がやって来るまでマリーが口を開く事は無く、酷く落胆しているようだった。

しばらくするとダヴィーが手配した兵士がやって来て部屋のドアを開けるとマリー達に言った。

「お待たせしました。今お部屋までご案内致します。どうぞこちらへ。」

「……はい。」

部屋まで歩いている間もマリーの表情はずっと浮かないままだった。

これから自分に起こる事に恐怖を感じているのかその様子には正気が無く、ただ呆然と前を見て歩いていた。

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