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ここは要塞都市ミッドガルド。世界の中心でもあり最も文明が発達した町。
ミッドガルドは世界中から多くの人々や様々か文化が集まり、人々の手によって巨大な要塞都市が作られていた。
この町には最先端の技術が取り入れられ巨大な機械都市としても有名だった。
ミッドガルドには大きく分けて2つの町があった。
上の町には主に普通の人々が住んでいた。
その町の最上部には世界を司る政府やそれらを守る為の組織が置かれていた。
下の町は文化も発達しておらず荒廃していて、住んでいる人々はただ無気力な生活を送っているだけだった。
上の町と下の町を行き来する事は元来禁じられていて、上の町の人々は下の町の人々を蔑みながら生活していた。
エイルと修道院長はミッドガルドに着くと中央政府の建物を目指して歩いていた。
ミッドガルドの町の奥に行くと中央政府の建物へと通じる長いエスカレーターがあり、エスカレーターの前には多くの兵士が護衛の為に立っていた。
エスカレーターの前に着くと修道院長が兵士の方に歩いて行ってパスポートのような物を渡した。
「……エポルタ修道院から来たマリーと言います。先日連絡してこちらに伺うという事を伝えていたのですが……ダヴィー司令官にお会いする約束になっています。お繋ぎ頂けないでしょうか?」
マリーからパスポートを受け取った兵士はパスポートの中身を確認した後マリーの方を見て言った。
「お話は伺っております。今ダヴィー司令官にお繋ぎ致します。少々お待ちください。」
「はい、よろしくお願いします。」
兵士はマリーのパスポートを確認した後、近くにある電話を取ってダヴィー司令官に繋いだ。
「司令官、エポルタ修道院からマリー様が伺っております。お通ししてもよろしいでしょうか?…………はい、はい分かりました。では早速お通し致します。」
司令官との話を終えると兵士はマリーの方へと近付いて来て言った。
「どうぞお通り下さい。司令官が中でお待ちになっております。建物の中に入られますと受付の者がおりますので詳しい話はそちらでお聞きになって下さい。」
「分かりました、ありがとうございます。」
マリーは兵士との話を終えるとエイルを連れてエスカレーターに乗った。
エスカレーターを登り終えると目の前に天にも届きそうな高いビルが姿を現した。
そのビルの中に入ると入ってすぐの場所に先程の兵士が言っていた受付があった。
マリーはエイルを連れて受付まで行くと受付に用件を伝え出した。
「すみません……エポルタ修道院から来たマリーと言います。ダヴィー司令官とのお約束でこちらに伺ったのですが……お繋ぎして頂けないでしょうか?」
「マリー様ですね?少々お待ちください。」
受付は電話をかけてダヴィーに内容を確認した後マリーの方を見て言った。
「お待たせしました。中でダヴィー司令官がお待ちです。エレベーターに乗って24階へお進み下さい。」
「分かりました。ありがとうございます。」
受付での用を済ませるとマリーはエイルを連れてエレベーターに乗った。
エレベーターの中でのマリーは考え事をしているのか何やら浮かない顔だった。
そして考え事が終わったのかマリーはエイルの方を見て言った。
「……これから大変ねエイル。……お互い頑張りましょうね……。」
「……院長様……はい、私は大丈夫です。」
「……そう……そうね……。私も頑張らなきゃね……。」
エレベーターはダヴィー司令官が待つ24階に辿り着いた。




