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ノートが奪われたその日エポルタ修道院では今後の事について話し合いが行われていた。
修道院長は大聖堂に皆を集めると今後の事について指示を出していた。
「良いですか、皆さん。ノートの力は絶大です。ノートが奪われた以上いずれこの場所を襲って来るでしょう。ノートの力を使った者はとても大きな力を手に入れると聞きます。残念ながら今の我々では立ち向かう事は難しいです。悔しいかもしれませんがここは一旦退くしかありません。ですからノートが戻って来るまでに皆さんはこの修道院から避難して下さい。」
修道院長から指示を受けたエポルタ修道院の人々は修道院を発つ準備を始めた。
修道院長は準備の為に皆が大聖堂から出ようとしている時エイルを呼び止めた。
「……エイル、ちょっと良いかしら?」
エイルは修道院長に呼び止められたのでその場に立ち止まった。
「……何でしょうか?院長様?」
エイルが不思議そうに修道院長の方を見ていると修道院長が深刻そうな顔をして言った。
「……良いエイル?ノートの力を奪った者はノートの指示でおそらくあなたを最初に狙ってくるわ。ノートにとって1番厄介なのはあなただものね……だから私はあなたを守らなければならないの……。」
「……院長様、私は一体どうすれば良いのですか?」
「私と一緒に来なさい。ミッドガルドに行けば政府があなたの事を守ってくれます。まずはそこに行って考えましょう。」
「……はい、分かりました。あの……他の人達はどうするのですか?」
「……残念だけどそう大勢で行ける場所ではないわ。彼女達には自分でどうにかしてもらうしかないの……とにかく今は私と一緒に来て下さい。ミッドガルドに着いた後今後の事についてはゆっくり考えましょう。」
「……分かりました。」
その後準備が済んだ後エポルタ修道院を出発した2人はミッドガルドへと向かった。
修道院長はノートを抑え込む為の最後の希望を政府に送り届ける為に慎重に事を運ぼうとしていた。




