ゆーくん、アウェイを味わう
なんだろうか。このアウェイ感は。
右側を見てみる。美形ばっか。
左側を見てみる。美形ばっか。
…………俺、ここに居ていいんでしょうか?
今俺はこの館の中の食堂とでも呼ぶべき場所にいる。
なっがい、貴族のいえにあるようなテーブルの、上座にユーヤ……さんが、下座に俺が座っている訳だが、ああ、上座下座って長方形の短い辺ってことね。長い辺のところには配下の人とかが座ってる。
今ざっと見ただけでも、アリシア姉さんとアリスお姉ちゃんを見つけられた。
…………ん? あれって、ウルかな? サクラとアッシュとソフィアもいる。初めて本物見たけど多分そうだよね。
スゲー美形だなー。ユーヤとかアリシア見てなかったら硬直まってたかも。
あれ? 天使の羽が生えてんのはハルネシアかな?
他にもバルザックとかラオウがいる。
感動するなー。
ウルはユーヤと同じ銀髪金眼の超絶美人。ユークンの恋人。
サクラはアッシュの姉で、白狼というオンリーワンな種族。普段は獣人の姿で、ウルフカットの白髪と紫眼の、かっこいい系の美人。ユーヤの恋人。
ソフィアは人族で赤髪青眼、色気のある知的美人でメチャクチャ頭がいい。ユーヤの秘書。
ハルネシア、バルザック、ラオウはアリスと同じ元奴隷。
ハルネシアが天族で天使みたいな姿。黄色のセミロングの髪、青い眼。巨乳のアリシアの更に上をいく巨乳。
バルザックは悪魔族と人族とのハーフ。インテリな見た目。ただ、今は変身で人族の姿をしているだけで、本来はもう少し悪魔っぽい。
ラオウは獅子の獣人で、ワイルド。髪も鬣かというくらいワシャワシャしてる。
っと、これが主要人物かな。
他にも俺の知らないような人もいる。
なんだろうか? この、友達の家に遊びに行ったらその友達の親戚大集合して飯食ってたみたいな。そんな感じがするよ。
俺の後ろには何故かサシャが控えている。
…………落ち着かないな。後ろに人が居るなんて。
「普段は皆別々に食べたりするんだがな。今日は特別だ」
ユーヤさんが喋り始める。皆の注目がユーヤに向く。
よ、よかった。なんとなく視線を感じてたんだよね。
この面子でそんなあからさまにジロジロ見るようなぶしつけな真似はされなかったけど。
「今日から暫く、この家に人が増える。俺の知り合いだ」
ユーヤさんが俺に視線を向ける。皆の視線も俺に向く。
ヒィイイ!? や、止めてー! 見ないでぇ!
こ、これは自己紹介が必要か? 必要なのか?
アリシア姉さんが口パクで何か言ってるし。多分そうなんだろうなぁ。
アリスお姉ちゃんは親指を立ててるし。
俺は立ち上がる。
「えーっと、どうも。ご紹介に預かりました。ゆーくんと申します。よ、よろしく」
及第点だろ。
声が多少裏返った気がするけども。
皆からよろしくーと返される。
「うむ。馴染めそうだな。それじゃあそう言うことで頼んだぞ。
さあ、ご飯にしよう」
そうユーヤさんが締めくくり、食事が始められた。
正直なんも味を感じなかったよ……
後で聞いたけど、あれって魔物の肉らしい。
牛肉でもないし豚でも鳥でもないなーと思ってたけど。
虫とかがでなくてよかったと思っとく。
「ユーヤさん!」
食事の後、それぞれが部屋へ戻るなか、俺はユーヤさんを呼び止める。
「うん?」
足を止めてくれる。
「え、えと……相談が、ありまして」
「ああ。ちなみにそれはここで直ぐに終わる話かな? 俺の部屋に行くか?」
優しく聞いてくれる。助かる。
「えーっと、ここで大丈夫です。
………………仕事が、したいな、って。なんか、このままお世話になるのは、忍びないというか」
俺はどもりながらも、なんとか伝える。
「仕事、か……。なら、そうだな。明日からパトロールと狩りに参加してみるってのはどうだろう? この世界に居る以上、レベルも上げるべきだろうしな。だったら安全に上げられるように参加してみるべきだと思う」
そう提案してくれる。
「は、はい。望むところです」
俺はそう答えた。