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ゆーくん、町の住人と会うみたい

書き足すかも。


「うっはあ! やっぱ、改めて見ると凄いな……」


 俺はそう嘆息する。


「そうでしょう?」


 アリシアが気持ち自慢気に応える。


「ああ。とても綺麗で、神秘的で、実用的だ」


 湖に面するようにつくられた町。自然が豊かで、ログハウスがきれいに並んでいる。

 全く。本当に綺麗だな……


 それからは、アリシアに案内してもらって、ユーヤの住む屋敷まで移動する。



 いやぁ、なんか、凄いね。

 何が凄いって、この町の住人達だよ。

 この町にはコボルトの進化系の獣人と人族の中間のようなハイコボルトと吸血鬼と人族が主に住んでいる。


 リアルで犬耳犬尻尾の人達。コウモリの羽根の生えた、八重歯の目立つ人達。

 それが普通に町中を歩いてるんだよ?

 しかも、揃いも揃って美男美女。

 この町、というか、異世界の美形率の高さよ。


 この中だったら、俺も平均か、それ以下だ。

 まぁ、人の美しさなんて時代や地域で全然違うけどね?

 一般的な日本人視点での話な?



「おやおや? アリシアさんです! どうかしたです?」


 なんか、ちっこい女の子が。


 赤い髪のツインテールをフリフリしながら走りよってくる。


「ああ、エミリーですか。この人を主殿のもとまで案内しているところです」


「へぇ! そうなんですか!」


 エミリーは俺に向き直り、


「初めまして! 私はエミリーと言うです! ヨロシクです!」


 にぱっ! と笑って言ってくる。

 

 おおっふ、

 ふ、不覚にもドキッとしてしまった。


 このエミリーも、元の世界では、学校の一番とか、アイドルとか余裕でなれるくらい可愛い。

 しかも、純粋な感じで、嫌味なところもない。


「あ、うん、よ、ヨロシクネ? 俺はユークンデス」


 くそ、軽く声が裏返った。


 アリシアは成り行きで、なんとかなったけど、こうして面と向かって美少女と話すとか、なんという無理ゲー。


「?」


 エミリーがハテナマークを浮かべてる。


「それでは行きますよ。ユークン」


 アリシアが助け船を出してくれた。

 助かった。これ以上は照れてまともに話せないかもだった。


「そ、それじゃまた」


「あ、はい、さよならです」







「アリシアお姉ちゃん? その人、だれ?」


 !?!? な、ななななな、なにぃ!?


 こ、この美少女は!? もしかしてぇ!?


「おや? 今度はアリスですか」


 あーーーりすーーーー!!! 


 か・わ・い・い!!

 

 ちょっとくせっ毛な金色のショートヘアーに、大きい赤い瞳。


 俺の方を向いて、ちょっと警戒してる。


「こちらは、私が主殿のもとまで案内しているユークンです」


 アリシアが紹介してくれる。


「えっ、えっと、は、初めまして。ユークンと言います。

 …………一応、アリシア姉さんの弟みたいなもんになりました」


 アリスが、俺の自己紹介中に、俺とアリシアとを見比べて無言で「どうゆうかんけー?」と目で訴えてきてたから補足しといた。


「!!」


 なにやら衝撃を受けている。


「おとうと?

 …………なら、アリスも、おねーさん?」


「えっ!? い、いやー、アリシア姉さんの弟だけど、アリスの弟では……」


 なんか、話が思わぬ方向に。


「なんで? 私も、おとうと、欲しい」


 こ、これは、


「えーっと、だからね? 俺とアリスとじゃ、年齢も……」


 …………うん? 年齢……は、どうなんだ?

 アリスって、もしかして、俺より年上説ある?


 俺は17歳だが、もしかしたらアリスは十代前半かもしれないし、十代後半の可能性も。

 いや、確か見た目よりも年齢は高いから……


 俺は思考の泥沼に嵌まりつつあると、


「おとーと! ユークンは、アリスのおとーとなの!」


 なんか、もうアリスのなかでは決定事項みたいです。


 背伸びして、頬っぺたをぷくーっと膨らませて、言いつのる。


「は、はい。おとうとです」


 思わず頷いてしまった。そうすると、アリスは、


「ん! えへへ~、おとうと♪」


 上機嫌で俺の頭を撫でてきた。少しばかり、背伸びしてるところがまた可愛らしい。


 どうやら、俺はアリスの弟でもあるらしい。


 まあなんというか、異世界初日で割りと受け入れられてるらしい。まだ、この世界に来たばかりなので、コネや人との繋がりが、という打算も心の中にあるが、それでもかなり嬉しい。

 

 正直なところ、見知らぬ地でたった独り、不安で仕方無かった。


「うん。弟だね。アリスお姉ちゃん?」


 取りあえず、もっと仲良くなりたいのでお姉ちゃんで呼んでみる。

 アリスはお姉さんという感じがしないので、お姉ちゃんだ。


「んゆ!?!? 

 ………こ、これは、とても、ぐー」


 顔に驚きの表情をを浮かべた後に、にぱっ! と笑って親指を立てての、ぐーサインをくれた。


 おおう! 笑顔の破壊力!



「あ、姉が増えてしまいました……」


 アリシアが何か言っているが、聞こえなかった。

 俺って割りと耳が悪いんだよね。まあ、この世界に来てからは治ったみたいだけど。

 それでも聞こえなかったね。



「ん! 私も、いっしょに行く」


 アリスが俺の手を繋いで言ってくる。

 どうやら、ついてきてくれるらしい。


「うん。じゃあ、行こうか

 アリシア姉さんも、行こう?」


「え? ああ、うん。わかったわ。行きましょう」


 そして、また歩き出した。


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