主にB級洋画に学ぶタイトルのお話
基本、ネタエッセイです。読み専の人も笑い話にどうぞ!
みなさん、小説のタイトルに悩んでいませんか?
小説が、どれほど読んでもらえるか?
それはタイトルで決まると言っても過言ではないでしょう。
とても重要なだけに悩みますよね……。
そんな悩みのヒントにお勧めしたいのが、洋画の”邦題”です!
邦題とは、外国映画のタイトル(原題)を日本向けに変えたものです。
ただ翻訳しただけの、いわゆる直訳ではありません。
少しでもヒットするよう創意工夫して、日本オリジナルのタイトルとして付けられるのが邦題なのです。
例えば大ヒット作『アナと雪の女王』
この映画の原題は『FROZEN』直訳だと『凍る』です。
このまま日本でもタイトルを変えなかったとすると……。
この感動は、終わらない。
ディズニー史上最高の記録的No.1大ヒット! 『凍る』
こんな微妙な感じになります……。
これでは、あれほどの大ヒットは無理だったでしょうね。
素晴らしいセンスの邦題が大ヒットを支えたのです。
どうです? 小説と映画の違いはあれど、参考になりそうな事例でしょ?
例になるタイトルも豊富ですからね。ご紹介していきます!
【お見事! 名邦題】
まずは有名な作品から。
原題:修道女の行動→『天使にラブソングを』
原題:死体→『スタンドバイミー』
原題:ノート→『きみに読む物語』
原題:上がる→『カールじいさんの空飛ぶ家』
シンプル過ぎる原題を上手く変更しています。
このセンス見習いたいですね。逆にシンプルに変えた邦題もあります。
原題:何事もいつまでも続くものではない→『ダイ・ハード』
原題:ボニーとクライド→『俺たちに明日はない』
ポニーとクライドは、アナ雪の逆バージョンですね。
あえてシンプルにするのも場合によっては正解のようです。
【言葉選びの妙】
次は、言葉選びを変えただけで、センスのあるタイトルになった例です。
原題:風と一緒に行った→『風と共に去りぬ』
原題:それは素晴らしい生活だ→『素晴らしき哉、人生!』
原題:誰のためにベルが鳴る→『誰が為に鐘は鳴る』
どれも直訳の言い方を換えただけですが、明らかに邦題の方が良いですよね。
日本語を上手く使いこなしている感があります。こんなセンスも参考にしましょう。
いかがでしょうか? 心が洗われる素晴らしいタイトルばかりですよね……。
――――――警報! ここからB級エリア――――――
……さて、長々と紹介してきましたが……今までのは前振りです。
あんなお洒落タイトルが使えるのは、大規模な宣伝ができる大作名作だけに許された特権です。残念ながら、web小説では使えません!
その点、B級映画では宣伝なんて贅沢は敵です。
もっとタイトルで目立つ必要があります。
タイトルで釣るしかない! タイトル詐欺するしかないのです!
あれ、何かに似ていませんか? そうです。本当に参考になるのはこっちです!
【目立てば正義ヤァ!ヤァ!ヤァ!】
とにかく目立たなければ始まらないB級映画の邦題。
その中でも選りすぐりの作品をご紹介します。
原題:有毒の復讐者→『悪魔の毒々モンスター』
原題:グリーンキーパー→『殺戮職人芝刈男』
原題:死霊の乱痴気騒ぎ→『死霊の盆踊』
原題:ハード・デイズ・ナイト→『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』
どうです? 素晴らしい邦題でしょう!?
批判もありますが、原題のままでは話題にもならなかったと断言しましょう!
インパクト命のB級界では、こちらが正しいタイトルなのです。
これを参考にして小説タイトルの目立たないワードは改変しましょう。
聖剣→『聖なる武器武器』
勇者→『殺戮職人魔物狩男』
ハーレム→『盆踊』
こんな感じで! 最後にヤァ!ヤァ!ヤァ!を付けるのも忘れずに!
……ただ何物にも限度があります。
原題:苦境に陥る→『史上最悪のボートレース ウハウハザブーン』
これはやり過ぎ!
【有名作品に便乗しちゃえ!】
ここからは詐欺に近いです。読者の方も騙された経験があるのでは?
映画がヒットすると必ず現れるのが……便乗タイトル作品です。
紛らわしい名前をつけて「あれ借りてきてよ」と頼まれた人を騙す。
非常に悪質なやつです!
原題:正義のスティール→『ランボー者』便乗元:ランボー
原題:テロリストを捕まえろ→『コマンドー者』便乗元:コマンドー
原題:地獄のトム→『トゥーム・ソルジャー』便乗元:トゥームレイダー
原題:訪問→『悪魔と天使』便乗元:天使と悪魔
原題:ディレクター→『トランスシューター』便乗元:トランス・シューター
どれも酷い便乗ですね。最後のなんて『・』抜いただけ……。
ご覧の通り原題は違い、内容も全く別物です。
邦題をつける配給会社が、勝手に便乗作品に変更しているのです!
パッケージも似せた物に作り替えているので完全に狙ってますよ。
他にも、有名タイトルを混ぜて多方面に喧嘩を売る暴挙に出た。
『アルマゲドン・コード』や『ダ・ヴィンチトレジャー』などもあります。
ここまでふっ切ると清々しくて詐欺感が減った気もする?
そう、あなたも有名作にタイトルを似せてしまえば……。
【数字のマジック! 続編詐欺】
手抜きだけど、さらに効果的な便乗があります。
原題:地獄の雨→『ディープ・インパクト2008』便乗元:ディープ・インパクト
原題:ロットワイラー→『ターミネーター2018』便乗元:ターミネーター
原題:侵略→『バイオハザード2034』便乗元:バイオハザード
数字をつけただけですが、これが効果的なんです。
「あの映画の続編だ! 見てみよう!」こんな被害者が続出!?
かなり悪質ですが上手いやり方ですよね……。
バイオハザード2034がそこそこ売れたので、さらに二年後に……。
原題:ミレニアム危機→『バイオハザード3077』
偽続編の偽続編まで現れました!
もちろん、どの作品も話の繋がりはありません。
このやり口で気をつけるべきは、2や3などの本当に出てしまいそうな数字は避けることです。なんとなく意味ありげな数字にするのが常套手段ですね。
そう、あなたも有名タイトルに意味ありげな数字をつけてしまえば……。
【困ったら対決させろ! VSシリーズ】
元はヒット映画『エイリアンVSプレデター』の便乗タイトルですが、B級業界は、すぐに対決させる傾向があります。
いろんなものが戦わされています。もちろん原題ではVS付いてません。
タイトルに困ったらVS!
『エイリアンVSエイリアン』
『エイリア VSエイリアン インベージョン』
『エイリアンVSエイリアン ジャッジメント・デイ』
『ニンジャ VSミュータント・ゾンビーズ』
『ゾンビVSチアガール』
『ゾンビVSゾンビ』
『ゾンビVSスナイパー』
『ストリッパーVSゾンビ』
こんな対戦カードで大丈夫なの? と心配したくなる組み合わせもありますね……。
チアガールとストリッパーに勝ち目があるのかな?
さらにミステリーファンが混乱するタイトルがこちら。
『シャーロック・ホームズ VS ヴァンパイア』
『シャーロック・ホームズVSモンスター』
ホームズって、そんなキャラだっけ? 推理はどうしたの?
これを見習って、小説家になろうでの人気キャラ同士を対戦させてみましょう。
『転生者VS悪役令嬢』あれ? 意外にいけそう……誰か書いてみてください!
【誰も損しない嘘タイトル! 沈黙シリーズ】
最後に癒しの便乗シリーズを紹介します。その名も沈黙シリーズ!
沈黙の要塞、沈黙の断崖、沈黙のテロリスト、沈黙の標的、沈黙の聖戦、沈黙の追撃、沈黙の脱獄、沈黙の傭兵、沈黙の奪還、沈黙のステルス、沈黙の激突、沈黙の報復、沈黙の逆襲、沈黙の鎮魂歌、沈黙の鉄拳、沈黙の復讐、沈黙の宿命、沈黙の啓示、沈黙の背信、沈黙の弾痕、沈黙の挽歌、沈黙の神拳、沈黙の嵐、沈黙の掟、沈黙の牙、沈黙の炎、沈黙の刻、沈黙の魂、沈黙の監獄、沈黙のSHINGEKI/進撃、沈黙の制裁、沈黙のアフガン、沈黙の包囲網 アジアン・コネクション、沈黙の帝王、エンド・オブ・ア・ガン 沈黙の銃弾。
すごい数ですね。しかし、この沈黙シリーズ、本来はシリーズではないのです。
全て、原題は『沈黙』ではない別タイトルの作品です。話の関連性はなく、監督も別で、日本の配給会社が独自にシリーズ化してしまった『偽シリーズ』なのです!
騙された被害者は怒り心頭かと思えば……何も問題はないのです。
沈黙シリーズの共通点は、主演のスティーヴン・セガールです。
ストーリーも細かい設定は違っていますが、なんやかんやでセガールが大暴れして、おなじみのセガール拳が炸裂する、セガール無双映画なのです!
実際に見ていても同一シリーズとしか思えませんし、ファンが望んでいる内容です。
むしろ、わかりやすくなって助かってます。ありがとう!
これは誰も損をしない『偽シリーズ』です。優しい嘘シリーズとも言えますね!
そう、あなたもタイトルだけでなく、中身も似せてしまえば……。
最後まで読んでいただき誠にありがとうございます!
用量用”法”を守ってお使いください……。