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二話 勇者も大変なんだなぁ

 突然だが俺は勇者だ。それも転生勇者。勇者とは魔法を使える者のことで、その中でも転生勇者は魔力が多い。精神が熟している分、他の子どもよりも早く魔力が増えるらしい。

 しかも転生勇者にも二つあり、一つは前世の記憶を有していない勇者、もう一つは前世の記憶を有する勇者だ。基本的に前世の記憶がある方が魔力は多いと言われている。

 前世の記憶を有していない勇者は学者になることが多く、数々の賞を獲ったり、宮廷勇者になったりと、天才が多い。

 比べて前世の記憶を有する勇者は、色々な奴がいるがほとんどが勇者団というところに入り戦争で活躍したりする。特に前世でそういう事をしてきた奴は眠ることも許されず使われるらしい。


 俺は記憶持ちの勇者で、魔力も多く、貴族の三男として生まれたので将来は国にたくさん苛められながら人を殺す兵器になる運命だ。食べることも、眠ることも、遊ぶことも全て国のためだと思うと気が滅入るし、何回か死んでやろうかなぁと考えたこともある。

 またそれで転生勇者になって扱き使われるのだと思ったら、来世の自分さえ嫌になって考えるのをやめたが。

 まあそんなことはどうでもいい。

 勇者とは本来勇気のある人のことだったり、魔王とか倒す使命を背負った者の名称であるはずなのだが――少なくとも俺の前世ではそういうものだった――この世界ではそうではないのだ。

 魔王を倒すとかしないし、魔王様一回見たことあるけどスゲェかっこ良かったし、人間と魔族は争っていないし。魔王様スゲェかっこいいし。

 この世界で勇者と言えば、“兵器”、平民勇者だったら“玩具”、“高い奴隷”、貴族勇者だったら“国の財産”とかだろうか。他にもいっぱいあるがいちいち覚えてられないぐらいには多いし、日々増えている。

 勇者であって良いことなんて一つもないのだ。幸いなことに俺は良心的な貴族の、使用人に勇者が多い、変人が集まる家に生まれたので今まで酷いことは受けてきてはいないが、将来どうなるかなんて分かりきっている。


 だったらその前に少しはっちゃけてもいいんじゃないか?と思い始めたのが今から一ヶ月前の肉体年齢十五歳の冬だった。思春期とは怖いものだと思うよ。

 それから俺は度々家を抜け出し、家族や使用人を困らせ続けた。今日の初めての市場も中々楽しかったが、お土産を渡したら殴られたのだけは解せなかった。

 おかげで夜まで意識が戻らなかったよ。ははっ。


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