聖剣との出会い(ノエル目線)
あたしがこの聖剣と契約することになったのは……あたしが冒険者学校を卒業してすぐだから、十七、八歳ぐらいの時かな。
新人冒険者の恒例行事と言ってもいいゴブリン狩りをするために、森へ行ったんだが……
迷った。ふらふら森をさまよって居ると……
「ガアアアアアアアアア!」
熊が出た。
「ふん。クマ風情が、あたしに勝てるとでも?」
自慢じゃないけど、腕っ節には自信があった。
「ハァッッ!」
剣を振りかざし、クマに突っ込んで行く。が、
「ガァアァアァアァアァアァア!」
「!? ……何ッ」
クマは全身が鉄のように硬く、持っていた剣が、真っ二つに折れてしまった。
呆然としていると、目の前にはクマが大きな口を開けて居た。
「ッ」
間一髪のところで避けれたが、武器を持っていないあたしは逃げるしかなかった。
花畑を猛ダッシュで無我夢中に走り続けた。
「……ここまで来れば……大丈夫か?」
気付けば森の奥の奥にまで来ていた。
ここで思い出したんだけど、あのクマは数々の村や町を荒らして回った最強最悪のクマだ。……と思う。今のあたしじゃとても勝ち目は無い。
歩いていたら、洞窟が見えて来た。……森の奥に来すぎて、また道が分からなくなっていたから、ひとまず入ってみた。
しばらく歩いていると、洞窟の奥に着いた。そこには怪しい剣が一本、石段に突き刺さっていた。
(こんな所に何で剣が? ……まあいいや。あたしの剣折れちゃったし、使おう)
あたしはその剣を抜いた。ら、頭の中に声が響いた。
『汝、我と契約せよ』と。