第42話「俺にできることをやろう」
「 はぁ？ やだよこいつ」
「そう言わないでぇ、ねぇ？」
「……我もお断りだ」
「あぁー、孝くんまでそんなこと言ってぇ。言っとくけどねぇ、僕は早く自由になりたいの。
手っ取り早く人が集まった方が早く済むでしょう全くぅ」
お前の事情かよ。
「それに孝くん。クレァさんに協力すれば君たちの大好きな貴重な情報がいっぱいもらえるよぉ？
なんたって僕のカードとか戦い方とか『閻魔』とか、なーんでも知ってるんだから」
そして目の色を変えて胡散臭げにジロリと睨んで来る桜田
こっち見んな
「……本当か？」
「さあどうでしょうね？」
ビキリッと桜田の額に青筋が刻まれる。
やーいやーいバーカバーカ。
「いいじゃないですかぁ。それに、『彼の研究所ならそれなりに整えられますよ』？」
「ん……ま、まぁ。レベリングの研究しているってんなら、それなりのカードもあるんだろ。桜田もいるし」
「そうそうぅ〜。それを利用すればだいぶ早く計画を終わらせられますねぇ〜」
「お前どんだけ自由になりたいんだよ……」
そんなに自由がいいなら勝負受けなきゃいいのに。
あ、でもそれだとしつこい奴らがいるのか。
大変だねぇお前も。
「ちょ、お、おい待て。我はまだ一言も」
「君に拒否権ないから。あ、でもその博士とやらが協力してくれるかわかんないか。
しょうがない。この件で協力してくれたら。僕も少しだけ君たちの研究に出てあげるよ。それでどう？」
「…………………………………………ぃぃだろぅ…………」
「うん。これで話し合い終了。んじゃ早速行きますか」
やれやれ。
こいつの口車に乗っちゃう形になっちまったけど、大丈夫かねぇ。
てか、その前に『時空』のカードでタイムトラベルしたいんだけど。
そこんとこ頼むぜ三鷹。
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「うむ。はなひはあいわはった。わたひがこの研究をしとる『穂村 渡辺』じゃ。よろしく」
「よ、よろしく」
「さてさて、世界最強様を下したのはわかりましたが、まぁそんなことはわしらには関係ないことですじゃ。
その強さのデータがとれればそれでのぅ。んで、そのデータの代わりに兵をよこせってことでよろしいか？
それなら桜田を寄こそう。あとはぁ……そうじゃのう……わしの開発した『ムテドリ ver Σ』でも投与するかの？」
「む、『ムテドリ ver Σ』？」
なんじゃその変な薬みたいなの。ヤクか？
「『ムテキドリンク』っちゅう薬の完全版じゃよ。ちょこっと気分が悪くなるだけで戦闘力が跳ね上がるぞい？」
「ただのドーピングじゃねぇか！」
なんか不可解な顔で見られたんですけど。
嫌だよ俺。ヤク中なんかになりたくないぞ
「んじゃもう桜田貸してくれるだけでいいよ」
「おい貴様！ 我を道具みたいに」
「あぁ、桜田以外にあともう一人レベル９の能力者がいるけど」
「それを早く言え爺さん！ てか、おかかえでレベル９二人とか、もしかしてあんた凄い人だったりすんのか？」
まじですか。
レベル９もレベル１０まで行かないにしろ強いからなぁ。
それに熟練してないレベル１０と熟練したレベル９とだと９の方が勝つからなぁ。
前の俺と桜田みたいなのがいい例だな。
「あー……あいつはお抱えっていうより、ちょっと事情があるっていうか」
「でもま、俺たちの力になってくれるってんなら大歓迎だ」
「それでは連絡をしてほくよ。でも、屈強なやつを想像しないでくれたまえ。ただのもやしじゃから」
安心して。俺ももやしだから。
さて、俺もやるべきことをやらなきゃな。
「んじゃ爺さん。後は頼んだぜ。三鷹、ちょっと来てくれ」
「うん？ あいあいぃ〜」
「ライ、お前らも行くぞ」
「おう」
「了解です」
「はい」
爆・カーに乗り込み連れられた研究所から距離を取る。
「んじゃ、さっき説明した通り頼むわ。あるよな？」
「ストックならあと4つほど」
「オーケー。皆んなも準備はいいな」
全員に目配せをして行き、最後にライで止める。
ライがコクリと頷いたのを確認して、準備万端。
「んじゃ、ちゃっちゃと時空をこえて、ライの覚醒 行ってみますか」
