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アニメの世界じゃなんとやら  作者: 終匠 竜
アニメ:闇と光の世界地図 編
37/52

第37話「『閻魔』の恐怖!」


閑話的なものです。

本編の戦闘ではありません



とある設定が、この世界には存在する。


こと『陰陽のカード』とは。この世界のど真ん中に生まれ落ちた、光の力と闇の力を両方手にしたものである。


して、ここで問題だ。

ただ偶然にも、ど真ん中ではなく、ちょ〜〜っと闇の方面に近い状態で作り出されたカードがあったとしたら。

そのカードは、果たして光と闇、平等に半々でその力を手に入れられるだろうか?


答えは否だ。


不完全な存在として、『陰陽のカード』と呼ばれておきながら半分以上、それこそ三分の二くらい闇の力に沿った能力が出来上がった。


それが、『閻魔』


大半は『闇』の『破壊』の力で、ほんの少し『光』の『創造』の力が入った、ある意味、世界最恐(狂・凶)の名をほしいままにする最低最悪を一人歩く天上天下唯我独尊の能力だ。


そして、我々アニオタ・ゲーオタの心を折って折って、また無理矢理直してまた折りまくった『地獄』のカードである。


◇◆◇


「それが今……俺の目の前に……ははっ……俺、終了のお知らせ……キンコンカンコーン」

「お、おい! スター! しっかりしろ! おい!」

「もう無理ですあれに勝てとか本当どんな鬼畜かつ無理ゲーかって話ですマジでもう勘弁願いたいですあー泣きたいあーあーそんなことよくないと思うよ僕はそもそもあんな能力知ってるやつが目の前にしたら取り敢えず土下座でしょうもう土下座しかないよねだって仕方が」

「えぇい! 帰ってこーーーーーい!!!」

「ぶぶぶぶぶぶぶぶふぶ」


ダイヤモンド並みの硬さの槍の平べったい所で往復ビンタされる。いたたた


「って何すんじゃボケーーー!!」

「冷静になれバカ! ここでぱーになっても本当に終わるだけだぞ! どうしたんだ! いつもならどうするか悩むぐらいはするだろうに!」

「お、おお。悪い、ちょっと余りの絶望に自暴自棄なってた。……でもマジであのカードはやばいんだって。うん。本当。トラウマになるくらい」

「そ、そんなに、ヤバイのか……」


加賀瑠璃がゴクリと息を飲む。

うむ。凄いんだよもう。


少し前の話になるが、俺はこの世界のゲームをプレイしていたわけだが

その前に熱中していた、ゲームがあるんだ。


〜〜〜〜〜〜


それはネットのオンラインゲーム。名前は『光と闇の世界地図 〜メイキング・メモリアル〜 』。

光と闇の世界地図のゲームだ。

何年もそのゲームに時間を費やし、金もけっこう投入した。


だがある時、唐突に事件は起こった。


後に、『あれは地獄なんて生ぬるいものじゃない』『俺はこれ以上の最低最悪のクソイベントを未だかつて知らない』『もっと何か恐ろしいものの片鱗を見た』『ゲームを今すぐやめろ。絶望を味わいたくなければ』『ウンエイニサツイヲオボエタ』などなど、ファンからの"ぴー"を"ぴー"するほど語られた事件。


『地獄イベント事件』


期間限定で行われたイベントで、内容は簡単なもの。

イベントクエストを一からクリアして行って、ラストのクエストのボス『閻魔大王』を倒すと、達成報酬でアニメでもとんでもない強さを見せた『陰陽のカード』 『閻魔』が手に入ると言ったものだ。


ファンは当初これに狂喜乱舞した。

俺のパーティーにもついにこんな激レアのカードを装備させることができるかと。そのカードの未知なる強さに心躍らせながら、初級のクエストに皆最速で取り組んでいった。

流石に激レアドロップのイベント。初級からでも中々に強く、途中からはボスクラスの鬼もでてきた。

だが欲望に燃えるプレイヤーはそんなものでは止まらない。

そう、そんな所では止まらないのだ。止まれないのだ。後に止まっておけばよかったと心から思うようになるというのに。


進み進み進み続け、ついにプレイヤーたちはその動きを停止する。

最後のイベントボス『閻魔大王』のところでだ。

確かにラストイベントだ。多少手強くなければ話にならないのはわかる。

だが、重度の課金厨すらクリアできないとなると話は別だ。

何故コンテ出来まくれる奴らすらクリアできないのか。その全貌はこうだ。


まず、『閻魔』の奥義『地獄判決』により、即死。

防御力がいかに高かろうと、即死。

回避能力がいかに高かろうと、即死。

どんな能力を使おうと、即死。

そもそも能力、技を使う前に、即死。


何故技を使う前に即死するかというと、AGI 即ち敏捷力が99999というカンスト状態で、絶対に先手を取られるからだ。


それでもそれに抗おうと、『先手必勝の勾玉』という必ず先手を取れるアイテムを9999個、持てるだけ買い込んでいざ対戦。


最高五人でパーティーを作って連れて行ける設定なのだが。まぁ取り敢えず一番最初に出した奴にアイテムを使って先手を取って、攻撃!


1しか効かない。どんなに攻撃力が高い奥義を使おうと、1しか効かない。どんなにコストが重い奥義を使おうと、1しか効かない。


何故かというと、DEF 即ち防御力が99999というカンスト状態で、カッカチカチすぎて攻撃が通らないのだ。

これには参った。それまでの最強のキャラの最強の奥義に強化のアイテムを使おうと99999には遠く及ばず、結局どんな攻撃も1しかとおらないのだ。


それでもそれに抗おうと、『神の涙』というキャラを一人全開状態で復活させるというアイテムを9999個持てるだけ買い込んでいざ対戦


そして終いには、HP二万。


どんな攻撃も1しか通らず、相手の攻撃は即死必須。先手を取るアイテムを使わなければ何もできずに即死し、使っても最高9999回まで。アイテムが切れる。そして同時に、耐え抜けていた理由である『神の涙』も在庫が切れる。

それ以降どんだけコンテしても繰り返されるのは蹂躙劇。

場に出す→即死する 場に出す→即死する 場に出す→即死する 場に出す→即死する 場に出す→即死する。コンテする。

場に出す→即死する 場に出す→即死する 場に出す→即死する……コンテする。

場に出す→即死……コンテ


ただのクソゲーである。

どうせいっちゅうねん。


そして数日経った後、アプデでコンテの回数制限が入った。


どうせいっちゅうねん。


それでも我らプレイヤーは諦めなかった。諦めればよかったものを。名は体を表す、まさしく地獄やで……などとほざけていたぶんまだマシだ。

最初、どうにかこの防御を突破できないかと防御低下アイテムなどを使って検証してみたが、失敗。挫折。

次に、素早さを下げられないかと敏捷力以下同文、失敗。挫折。

次に、なんとか自分たちの攻撃で相手の守りを突破できないかと検証し、失敗。挫折。

次に、このクエストに穴がないか検証。例えば画面には見えていないが、奥に出現しているモンスターを先に討伐するとボスのステータスが減少する、など。失敗。挫折。

次に、奥義封印のアイテムを使用すれば即死しなくて済む。という考えが浮上。だがそのアイテム、最近実装されたばかりのクエストのレアドロップで、とても数を集めることができず検証の前に打ち切り。挫折。


そして少しづつ少しづつ、戦う者が途絶え消えていく中、遂に遂に、満を持して希望が見えた。

希望と書いて、オワタと読む、どす黒い光が。


初期の方の余り人気のなかったクエストのドロップ報酬『アイテム調合機』を使えばクリアできるかもという案が浮上したのだ。

このアイテム、クエスト中にアイテムを生産できるというアイテムなのだが、その調合時に通常の調合の10倍金がかかるのであまり人気がなかったのだ。

だが、今回に限ってクエスト中にアイテムを生産できるというのは望んでたものでしかなかった。


だが、9999個復活アイテムと先手アイテムを作っても、調合素材が9999個しか持てないため、二個足りない。

これにも『アイテム調合機』が役に立つ。調合機に調合が成功しない組み合わせを入れると、『失敗作』というアイテムになる。

その『失敗作』と『失敗作』を調合すると、なんと50%の確率で何かのアイテムにランダムで変化するのだ。

勿論金は死ぬほど消費するが、それを繰り返して復活アイテムと先手アイテムが二個出来れば、なんと勝てるではないか!


期待に胸を膨らませて、いざ対戦!



そして、数時間後クリア動画がネットにアップされた。



『ドロップしねぇ!』という題名で。



なんとそのクリア動画の最後に映し出されたクリア報酬に、『閻魔』のカードが存在しなかったのだ。

たった一つ。されど一つ。そもそもそれがないと話にならんではないか。

と言うわけでほぼ全プレイヤーの怒りのバッシングコールが運営に殺到し。

詫び石がジャラジャラ入り、お詫び報酬も豪華。しっかりと報酬に追加するとアプデが行われることが決定した。


そして、死ぬほど金を使ってカードがドロップしなかった勇者のプレイヤーには、全国のプレイヤーから応援コメントとプレイヤーズギフトが殺到し、金が使用した倍になったという。


とまぁここまでは温かいお話。

だが、浮かれに浮かれていたプレイヤー達は、今度こそ真の地獄を味わうこととなる。

なぁに。こんなに大げさに言おうと、所詮は一言で済む。


勿論詫び石も入ったさ。お詫び報酬も受け取りましたとも。それにドロップ報酬もね。アプデもなんの誤差もなく無事行われた。



ボスのHPが四万に膨れ上がるという、アプデが。



どうやら運営。このままだとアイテムだけでクリアされてしまって、コンテ、果ては課金をしてくれなくなると考えたらしく、何を血迷ったのかボスのHPを丁度倍にふっくらさせてきた。

運営がそんな軽いノリに対し、プレイヤーは発狂した。

ついに、ついに長いトンネルから抜け、希望を見たと思った瞬間からのドロップアウト。

抜け出したトンネルの先は、どうやら地獄につながる崖になっていたらしい。


その時、初めて全プレイヤーが『本当』の地獄を見たのだ。


そして、『閻魔』というキーワードを聞いただけで頭を抱え泣きだすものが続出し、プレイするプレイヤーがいなくなったこのゲームは配信中止となり運営はそれ以降どんなゲームからも見ることはなくなった。


俺?

勿論笑顔でデータを消したよ?

俺はついでにパソコンをぶち壊した。


〜〜〜〜〜


「―――ということがあって、そのゲームの元プレイヤーにとって、『閻魔』というカードはトラウマそのものなのだよ。な、わかるだろ?」


本当はもっと壮絶なあれこれが繰り広げられたのだが、取り敢えずできるだけ短時間で済ませられるよう、かなり省略して話した。

それだけでも禁断症状が出そうだ。


「うむ。全然わからんが、ようするにその話。『閻魔』が強いんじゃなくて、『閻魔大王』が強かったのではないか?」

「同じじゃボゲェ!」



ガチな戦闘に疲れたのでちょっと休憩


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