第21話「この世界最凶?『陰陽のカード』!!」
「陰陽の、カード」
「知ってるんか? いやー凄いんだなお前。この国のほんの一握りしか知らない情報らしいのに」
「今鶴殿、それを何処で?」
「薄々感じてたんだけど、弄月ってもしかしてカード所有」
「今鶴殿!」
ドンッと床を殴り声を荒げる弄月に、今鶴が黙らされる。
「頼む。答えて下され」
「おぉお! わかったよ。ちょっと落ち着けって。俺が悪かった。ちゃんと話すよでもその話なら加賀瑠璃達も呼んでからにしてくれ」
「すっ、すまない。つい大きな声を出してしまったでござる」
「いや、なんかこっちこそ、ごめん。『それ』についてなんかあるのか?」
「いや、その、まぁ。その話は後で。まずは加賀瑠璃殿達を呼んでくるでござるよ」
弄月が手を「パンパンッ」と叩くと、使用人? の方が1人、素早く加賀瑠璃達の部屋に向かっっていった。
……15分後。
「何だぁ? 今鶴?」
「ああ。お前が知りたがっていた『何でこの国に来たのか』という事について、その他もろもろを話そうと思ってな」
「ズバリ。単刀直入に言うと『陰陽のカード』と呼ばれるカードを求めてだ」
「いんようのカード?」
可愛らしく首をかしげるマリンに、今鶴が頷く。
「アズはもう「意思疎通」「思考共有」の力でおおよそはわかってると思うが。
正直言うと、この情報はこの国の全てだ。だからこそ全力で隠蔽する。弄月もそこそこ知っているようだが、何処まで知っているものやら」
「で。その陰陽のカードってのは具体的に何なんだ? お前は知ってるんだろ? 今鶴」
「いや知ってますけどもね。加賀瑠璃さん。ちょっと考えてもみなさいよ。言ったろ?この情報はこの国の全てだって。そうホイホイと広めるようなことはできないだろうよ」
「いや。今鶴殿。大丈夫でござるよ。というか今更でござろう。今鶴殿が知っている時点で手遅れでござるよ」
「えっ、そう?」
「拙者も聞きたいでござるからな」
「あぁ〜。そういやそうだったな。わかった。弄月がそう言うならまぁいいんだろう。んじゃぁ。まずはそのカードについて話そうか」
そしてゆっくりと息を吸った今鶴は、ゆったりとそれでいて丁寧に、話し始めた。
「この世界は大きく分けて、『闇の世界』『光の世界』に分かれている事は知っているよな。レベル10の『白』のカードを極め、『光』という色のカードに進化させた『竜』。レベル10の『黒』のカードを極め、『闇』という色のカードに進化させた『鷹』。
この2人は双子の兄弟で、超絶仲が悪かったらしい。何をやっても『あいこ』『同点』『引き分け』ばかり。
誰よりも頭の良かった『竜』。誰よりも力の強かった『鷹』。お互いに持っていないものを持っている相手に勝ち越したい。
そう思っていた2人は、この「世界」というとんでも無くでかい舞台で、どちらが優れているかを決めるため、世界を2つに分けた。
ここからが重要。世界を半分に切った時、ちょうど日本、じゃなかった『和の国』がまっぷたつに分けられちまったんだよ。
そして、半分からは光のカードの力を、もう半分からは闇のカードの力を受けたこの国の何処かに、『突然変異』とでもいうべきだろうか。
それぞれたった1枚ずつしかない『光のカード』と『闇のカード』。2つの特性を持つ『最凶のカード』が出来たんだ」
「それが、『陰陽のカード』」
そう締めくくられた今鶴の話に、(アズ以外)誰1人理解が及んでいないのか、ポカーンとした顔をしている。
「おいおい今鶴。そんな話聞いたことねぇぞ」
「だ〜か〜ら〜〜! 重要な『秘密』だっつってんだろうがぁぁ!!!知ってるわきゃあねぇだろアホか!」
「今鶴殿」
「えっ? 何!」
ハアハアッと息が荒い今鶴に、弄月が問う。
「それは真か?」
その確認の言葉に、今鶴がキッパリと、それはもうはっきりと答えた。
「ああ、絶対。100%違うなんてことはありえないちょっと前の歴史というのもおこがましい位何年くらいしか経っていない時間の真実オールオーケーアンダスタ〜ン?」
「では今鶴殿。再び問おう。何故それほどまでのことを知っているのでござるか?」
「あ? ああ。理由は簡単。『俺はこの世界の外側から、この世界の全てを見たから』」
「は?」
語弊を生む確率100%のセリフに、気の抜けた声を出す弄月。
「ダーカーラ。俺はこ〜んなに詳しく知ってる、わ・け」
「今鶴殿は神様なのでござるか?」
…………………………………………へ?
全く思いもしなかった弄月の解釈の仕方に今鶴は目を丸くした。
「あは! あははっ! あっはっはっはっはっはっは!!! ヒーヒー!!! まっさか〜。俺みたいなやつが神なんてあるわけないっしょ?」
「じゃ、じゃあ。何なのでござるか!?」
「俺はこの世界の住人じゃない。『ザ・異世界人』〜〜」
「は? いせかい?」
そこからか?
加賀瑠璃やマリンに説明した時のことを思い出し、頭を押さえる今鶴は、大きなため息をつくと同時に涙するのだった。
……その後。
「なるほど。異世界。そんなところがあるのでござるね」
思いのほか吸収&飲み込みの早い弄月により今鶴は
嗚呼……神よ……ハレルヤ
などと空を仰いでいた。
まぁしかし今は夜で、この辺は闇の世界の方面のため星も出ておらず、真っ暗な空に向かって涙している少年の図など、ホラー以外の何者でもなかった。
正直みんな引いてた。ドン引きだった。
その後自分のあまりの『イタさ』に気が付き体育座りで涙することになるのは、ちょうどこの30分後である。
「今鶴殿」
「ん?」
自分の世界から再び舞い戻ってきた今鶴は、弄月の言葉にキレイに相槌を打つ。
「ありがとう。とても良い話を聞かせてもらったでござる。正直、知らないことばかりでござった」
「そうか」
「今鶴殿。最後にもう1つ。聞かせてはもらえぬか?」
「何だ?」
「何故。今鶴殿はそれほどに強力なカードを集めているのでござるかな?」
「俺がこの世界に来た時に決めた『俺の目標のため』、かな」
「それは?」
「いやぁ〜。そればっかりは」
「そうでござるか、残念。今鶴殿がそれを教えてくれたのであれば、『陰陽のカード』のありかを教えようと思ったのでござるがなぁ。本当に残念でござる」
その言葉に今鶴の目が見開かれ、口元が不敵に歪んだ。
「弄月。あんた実は割と腹黒? まぁいいや。教えたら教えてくれるんだな?」
「勿論。約束は守るでござるよ」
「いいだろう。交渉成立だ。俺の目標、それは…………」
その後続けられた言葉に全員が(アズ除く)、驚愕に言葉を失うのだった。
どうも『終匠竜』デス。
第3回プロフィール発表〜。
今回は『アズ』って事で。
名前:アズ
年齢:自由自在
所有カード:無し。インストールコピー『追撃者』劣化版
使用可能技:『追撃者』劣化版・『ブースト』『?』『?』『?』『?』
キャラ設定:茶色の髪色にクリクリとした黒色の目。髪をまとめている大きな黄色のリボンがチャームポイント。少女の姿をしているが、どんな年の姿にもなれるらしい(今鶴の好みの姿だとかそうでないとか)。今鶴の使い魔で、いろいろ便利な能力を持っている。
って感じですかね。
なんか名前が『アズ』ってだけなのがちょっと寂しいですね。持ってるカードもないですし。なんかカード作ってアズに持たせようかなぁ




