第10話 「開幕!フロンティア フェスティバル」
「うーむ」
「どうした?」
「いやな。ちーっと思ってたのと違うなァーと」
「意外だったか?」
「まぁ『王国』って聞いてたからなぁ」
「まさか、めくるめくコンクリートジャングルとは思わなんだ」
巨大ビルが大半を支配し、歩く人々は忙しなく、クラクションが鳴り響いているそこは、まぎれもなく『東京』だった。発見といえば、現代ではなかったであろう見知らぬ機会が幾つも空中にフヨフヨ浮いていることくらいであろうか。
「まっ。俺にとっちゃあ気持ちのいいところではあるかな」
そう言って今鶴はフッと笑う。勿論、加賀瑠璃にその意味はわからない。
「さてどうする。開催場所がわからんのだろう」
「まぁ、まかしときなって。取り敢えず〜あの店で休憩&情報収集といこうぜ」
〈〈マルキース王国 南西部 『カードショップ』〉〉
「えっ!『カードショップ』って。カード売ってんの?」
「ええ、売ってますとも。しかし高額なため〜お客様ではとても手が出せる代物ではないかと。」
店長らしき人物は嫌味風にヒヒヒッと笑い、ムカッときた。
「カード以外になんか売ってんのかよ?」
「ええ〜勿論ですとも」
『何を』売っているかは自分で確かめろ。と言いたげな顔を潰れたアンパンのようにしてやりたい衝動を必死で抑える。
「最後の質問。フロンティア フェスティバルって何処でやんの?」
「えっ。ああ、はい。もうしばらくお待ちいただければ放送が入るかと」
「あっそ」
なんだよ放送が入るって。イラッとくんな〜。
「ふむ。戦闘用の道具なんかが売ってるみたいだな」
「ん?これって…………」
《あーああー。マルキース王国放送事務局長兼フロンティアフェスティバル司会『ランス』でございます。
本日から開催されますトーナメント式タッグマッチ、フロンティアフェスティバルの会場ですがぁ。
『この街全体』にしたいとおもいます! 大会に出場する権利を持っている方々には、『自分たちのナンバー』『トーナメント表』『対戦相手のナンバー』の記された『フロンティア・ラグ』が送られます。
その表を使って相手のタッグと対戦。勝利したタッグはその日は対戦はありません。
負けたタッグは、勿論その場でグッナイ。詳しいルールは『フロンティア・ラグ』に記載されております。では皆さん!本日只今より。フロンティアフェスティバル、開催です!》
ブウゥン
「うおっ!」
今鶴の目の前に、空中に浮かぶタッチパネルのようなものが出現した。
「これが『フロンティア・ラグ』ってやつか」
「なになに、《本日の対戦相手 『チーム blood』》」
「よっしゃ!いっちょやるか」




