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第四章 ・・・ 4

 稔さん、比絽、麻衣、亜衣、そして京香をずっと支えながら動かしている玲華。最後に俺が後ろからついて走った。

 体力の差だろう。前二人から徐々に距離があく。だけど稔さんは時折振り返り、スピードを調節しているようだった。必然的にそれで比絽も抑えるから俺たちはまとまって移動できた。

 誰ひとり欠けたくない。そう思うから、稔さんの心遣いには素直に感謝できた。

(大人なんだ)

 大人の優しさに焦がれることがあることは、最近自覚しつつある。

 そしてちゃんと周囲を見渡すと、本当に優しい人が多いのに気づいて、たまに驚く。それから、自己嫌悪に陥る。自分の不甲斐なさがより際立つような気がして。

 ふと玲華が京香を麻衣に頼んで、ひとりで前に出た。比絽を追い越し稔さんに話しかける。

「控え室に戻りましょ。遠回りだけどサンルームから行くべきだと思うわ」

「おれもそれがベターだと考えていたところだよ」

「どこへ行くつもりなんだよ!」

 つい我慢出来なくて、後ろから怒鳴ってしまった。いい加減教えてほしい。

「噴水よ!中庭を回り込むの!」

「そんなところに何の用?外に出るんじゃないんだ?」

 比絽もなにも知らないようで、納得いかないといった顔で口を挟む。

「どこから出れるっていうのよ」

「壁、よじ登れば?」

「簡単に言うわね、悠汰。いまはセキュリティが生きてるから駄目よ。正式な手順をふんで正面の門を開く以外は、本来は仕掛けが作動するようになってるの。だけどひとつだけセキュリティの穴があるわ。外に繋がってる場所がね」

「噴水ドボン事件だね」

「そうそう。あれよ」

 玲華と稔さんだけが解りあっていて、そしてなぜだかすごく楽しそうに笑いあってる……。

「あの時は本当に驚いたよ。彼が上がってくるところを待ち構えていたのに、全然浮かび上がってこなくて。深いからもう沈んで死んだのかと思っちゃったわけよ」

「ああ。それで、いないことには変わりないからと思って、あたしに脅しをかけたのね」

「そうなんだ。カマをかけてみたら、やっぱり帰ってないみたいだったしね。でも生きてるんだもん。一瞬ゾンビかと思ったよ」

「まあゾンビ並みの精神力ではあるわね」

「ちょっと待て。ちゃんと俺らにも解るように会話しようぜ」

 頼むから……。

 そんな恐ろしい単語だけ聞いていたら余計に怖いだろ。しかも笑ってるし。

「久保田さんが稔叔父様にその銃を突きつけられたことがあったの。そのときに稔叔父様の部屋から飛び降りたのよ、噴水に。で、底に穴があって泳いでいったら外の川に出たんだって」

「まさか……」

 嫌な予感が俺の中を駆け巡る。

「そうよ。これから脱出するのは、その噴水からよ」

「俺は嫌だ」

 っていうか、やっぱり無理なことだ。

 思わず俺は立ち止まる。 

「ここまできてなに言ってんのよ」

 その雰囲気を察したのか、玲華も止まりながら振り向く。自然と皆を立ち止まらせてしまった。

「俺は別の道を探す。じゃあな」

 玲華がガタガタ言ってんのを無視して、俺は皆を追い越すように横を向いて通った。

 とりあえずこの先に比絽たちと合流した分かれ道が見える。あそこから横に入りしばらく隠れよう。皆が騒いでる隙に逃げればいい、ってところまで考えた。

 玲華の横を通り過ぎたところで、後ろから肘鉄を食らわせられた。

 マジで、普通に……ってか凄く痛い。

「なにすんだよっ」

「今さらなんなのよ!それで納得できるわけないでしょう!ちゃんと説明しなさいよ、ほら早く」

「だからって殴んなよ。痛いだろうが」

「わざとよ!あたしの溜飲を少しでも思い知れ!」

「…………」

 俺は面食らった。玲華の言うことはいちいちわからないけれど、とりあえずメチャクチャ怒ってるのは判った。

「あたしたちがなんのためにいま!ここまで!危険な目にあってまでここにいると思うの!全部あんたのためだって、あえて恩着せがましく言ってやるわよ!じゃないとまったくわかってないみたいだから!」

「なっ……」

「あたしだけがっ……あんた以外の誰が脱出できでも、この場合意味がないのよ、この馬鹿!!」

 玲華が涙目で訴えてきた。きっと彼女のなかでも無事に終わるかどうかに懸かっているときで、気持ちが張り詰めているんだとは想像できる。

(そんなこと言われても……)

 俺だって、さっさとこんなところから彼女を解放してやりたいと思う。それでも。

「あのな、俺は……」

「ちょっと待って、誰か来る」

 一番先頭にいた稔さんが、先のほうを見つめて言った。

 控え室からは真っ直ぐ一本道だったけれど、曲がり道が二箇所あった。だからその先は見えない。

 だけどずっと見ていたら、小さい人影が現れた。足が速く、すぐに姿が捉えられる。

「深影慎だわ!」

 玲華が真っ先にその名を口にした。

 初めて聞く名前だった。だけど俺以外のものから一斉に緊張感が伝わってきて、歓迎されない者だとはわかった。

「どうしてこんなところに?」

「あの岐路を曲がるしかない!」

 比絽の呟きに稔さんが瞬時に判断した。

「ええ……でも……」

 青ざめながら玲華が呟く。

 その男はその分岐ポイントを通過して、すでにこちらに向かっていたのだ。

「なにぼーっとしてるの?貸して」

 稔さんが強引に比絽を押し退け、前から手を伸ばした。

 突然のことに呆気に取られていた。この人が何をするつもりだとか、考えている余裕はなくて、強引に拳銃を奪い取られる。

 その間に稔さんはそのまま右腕を持ち上げ、迷いなく、引き金を引いた。すごく近い場所で高く大きい音を聞き、思わずびくりとする。

 深影という男は避けるように壁を駆け上がった。しかも数歩壁を走っている。銃弾はその速さについていけない。

 すごい身体能力だ。

 あっという間に俺たちの前に深影は立った。止まったときに風が起きる。

 深影はナイフを持っていた。拳銃じゃないところが意外だ。

 だけどその目は普通じゃなかった。ニタリと笑みを浮かべているのに、光がない。

「ようやく殺れる」

 男が言ったのはそれだけだった。それから後ろ足を引いた。

「やっぱり毅叔父様に命令されたから前回は殺さなかったのね」

 来る、と思う寸前に、自虐的な笑みを浮かべながら玲華が言う。前回という言葉が引っ掛かった。こいつには前科があったようだ。

「そうだ。あいつは脅かせとだけ言った。次回まで殺すのは我慢しろとな。そこからが長かったぞ」

 深影はナイフを舌舐めずりするように舐め上げた。

(なんだ、こいつ)

 いままで触れたことのない情念みたいなものを、この男は隠さず出していた。

 ずっと稔さんが銃口を向けているのに、御影には目に入っていないかのように気にしていない。そんなところも常人ではない気がして、気味が悪かった。

 だから動けない。

 逃げようとしてもこの細い道では団子状態で後ろを取られて全滅だ。かといって、前にも行くことができない。

「どうして命令に従ったの?」

 深影が動こうとする空気を発する前に玲華が続ける。それにクッと咽喉を鳴らした。

「あの人が一番有意義な命令を与えてくれる人だからだ。ただ殺せばいいってものでもない。長くこの()()を続けることが自分には最も大切なのだ。トップが不在なままでは俺の腕も鈍る」

「なるほどね。清志郎伯父様に加担したのでは先もないものね」

 なんか何気にひどいこと言ってる。

(それで、どうする?)

 きっと玲華は時間稼ぎをしているんだと思った。会話をすることで引き伸ばしている。だけどそれにも限界は来る。

「それでこの道はどうやってわかったの?」

「簡単だ。ひとつだけ別のところから銃声が聞こえた。そう、壁の中から。隠し通路があると予測できればあとは簡単だった。空気の流れを読めばいい。開け方がわからなくて、そこはぶっ壊したがな」

 やっぱり普通の人間じゃない。

 しかもなんか愉しそうに笑ってる。常軌を逸した目で。

「おしゃべりは終わりだ」

 深影のほうから断ち切ってきた。

 俺は玲華を庇うために全身に力を込めた。自分がどうなってもこいつだけは護る。

 一触即発の雰囲気の中、深影が動いた。しかしそれは攻撃ではなかった。

 素早い動きで後ろを振り向きつつ左側に寄る。そこへ一本の矢が通過して、俺たちからみて右側の壁に突き刺さった。

 それを確認するのと同時に、すでに深影は動いていた。俺たちとは逆の方へ走る。

「綾小路先輩……」

 飛んできた方を見ながら玲華が呟く。

 綾小路?そういえばあいつ、弓道やってるんだった。

 よく見ていると、確かに綾小路が岐路の中央から深影に向かって矢を放っていた。

 背中を向けているところに、稔さんの拳銃が深影を狙う。稔さんは走りながら距離をとりつつも寄っていった。

 しかし深影はジグザグに走り避ける。まず綾小路を仕留めようとしているのがわかった。一気に間合いを詰め、ナイフを持っている右腕を振り上げる。

「危ない!」

 接近戦で弓は不利だ。あんなやつでも死んでもらっては困る。俺は背筋が凍るのを感じた。

 綾小路はそれでも矢を放つ。荒っぽくて捨て鉢なその矢は、高すぎて丸で違う方向へ行った。援護するように稔さんが銃を撃つ。

「最後の一発だわ……」

 玲華が後ろで言った。

 こいつこんな大変な状況なのに、弾の数を数えていたのか。

「え?」

 音が鳴ると間髪入れずに深影はナイフを落とした。

「ウソ、だろ……」

 高めに描いた綾小路の矢に稔さんの銃弾が当たり、その弾は軌道を変え深影の腕に当たったのだ。左腕で抑えながらも、苦しそうな声ひとつ上げない。

 矢はどこかに突き刺さることなく、真っ二つに折れて落ちていた。

「なんつー神業……」

「見えたの?凄い目だね。普通に攻撃しても当たらないと思ったからね」

 飄々と稔さんは軽い口調で話した。

 その間に綾小路が素手で深影に殴りかかっていた。少しは動揺があったようで、それはクリーンヒットした。

 あ、と自分にも出来そうなことがあるって気づき、すかさず走ってナイフを取りに行く。

「悠汰!」

 ナイフしか目に入ってなかった俺は、拾う直前玲華の声を聞いた。

 ハッと顔をあげると、綾小路の何打目かを避けながら脚を振り上げている深影が目に入った。

 ――蹴られる。

 そう思った瞬間、体が勝手に動いていた。ナイフをつかんだまま、それを両手で向かってくる足に突き刺した。

 そのまま蹴り上げられ、衝撃が顎にくる。

(なんってやつ……!)

 確かに刺した手応えはあったのに、まったく威力が弱まってない。

 倒れていくギリギリのところで、稔さんが深影を押さえにかかっていくのが見えた。そのまま俺は石の壁に頭を打つ。

「ちょっと!大丈夫?悠汰」

 気づいたときには玲華が寄ってきていて、ガバッと俺の上に体重を乗せてきた。

「また頭打って!どうしよう、益々おバカになっちゃったらっ」

「おい、本当に心配してんのかよ……」

 正直なところ、頭より顎の方が痛い。でもそんな反応されたら意地でも痛いなんて言いたくなかった。咄嗟に歯を食いしばったおかげで、舌を噛むなんてヘマは避けられたのだけれど。

「当たり前じゃない!バカ!」

 なんか必死な玲華の叫びを聞きながらも、俺はその向こう側を見ていた。稔さんと綾小路の二人でなんとか深影を抑えているけれど、やつは自分で自分の脛からナイフを抜き取っていた。

「早く!いまの内に逃げろ!」

 綾小路がそう指示する。比絽を先頭に皆右側から走ってきた。

 駄目だ、と思った。

 その瞬間二人の腕力をものともせず、深影は振り払い距離をとった。俺たちが進むべき控え室までの方向側へ。

「こいつ、痛みを感じてないのか……」

 その動作に稔さんが驚嘆の声を上げた。深影は不敵に笑いながら再びナイフを舐めた。自分の血がついているナイフを。

 気持ち悪い。

 ぞっとする感覚を抑えられない。

「まさか、あなたも薬物(ドーピング)を?」

 俺を抱き締めたまま玲華が首だけ深影を捉えていた。

「普通の奴らは使い方を間違っているんだ。俺くらいになれば上手くつかいこなせることが出来る」

「久保田さんが聞いたら発狂しそうな言葉ね」

 憎々しげに呟きながら先に玲華が立った。

「ここから先は通さない」

 血が流れてるのに、ひどく愉しげだ。

「悠汰、立てる?」

「当然」

 深影という人物に呆気にとられていただけで、足になどきていない。ただ鈍い痛みはあった。それを堪えて立ち上がる。

 それから玲華は稔さんと綾小路と目配せをして、小さく頷き合った。

 なんだ?って思っているところに、綾小路が弓矢を引く。

「みんな!走るわよ」

 そう叫び玲華が先頭をきって向かった先は、分かれ道を横に反れる方だった。

 慌てて皆で走り出す横で、綾小路が距離をとるための矢を放つ。後ろを振り返りつつ確認すると、そこにはピンク色の煙がたちこめていた。

 時間を稼ぐために、煙幕を矢の先に付けて放ったのだ。あんなもん持ってるなんて準備のいいやつだ。

 皆が通ったのを確認した後、稔さん、綾小路と続いた。

「こっちにきても中庭には出られないよね!」

 怒鳴るように比絽が玲華に確認する。

「仕方ないでしょ!三人がかりでも仕留められそうにないんだから!」

「なにそれ?計画ってそんな行き当たりばったりでいいわけ?」

「そう言うならあんたが戦ってくれていいのよ!その間にあたしたちは逃げるから!」

「冗談でしょ?ぼくは頭脳戦向きなんだよ」

 前の方でそんなやり取りが繰り広げられていた。友好的とはお世辞にも言えない内容だ。

「きゃっ!」

 小さな悲鳴が後ろから聴こえて、再び振り向くと亜衣が派手に転んでいた。

 その後ろには、煙をかいくぐり伸びてきた深影の魔の手。

「亜衣ちゃん!」

 悲痛な叫びを玲華がするのと、稔さんが拳銃をぶっ放つのが同時だった。

 その隙に俺は亜衣の元へ走った。

「大丈夫かよ?」

「もうだめです。走れません。置いていってください!」

「ああ?」

「亜衣は運動が人一倍苦手なんです」

 麻衣が律儀に説明する。そういえば毎度遅れそうになっていたし、何回かずっこけそうになっていた。そしていまはその足首が少し腫れていた。

(捻挫か)

 こんなときに。

 その間にも深影は弾を避けながら寄ってくる。

 さすがに怪我をしているせいか、深影に先程までの俊敏さがない。何度目かの弾が、稔さんの銃はやつの右腕に当たっていた。それでもなんでもないように歩いてくる様は、やはり不気味でしかない。

「亜衣が残るならわたくしも残ります。皆さま先に行ってください」

「出来るわけないでしょう!悠汰、おぶれる?」

「迷ってる場合じゃなさそうだな」

 こいつは小柄だし問題はなさそうだ。そう判断し、俺は頷く。

「乗れ!」

「ええええっ!できません」

「するのは俺だろ!おまえはただ乗ってりゃあいいんだよ!」

 なぜか顔を赤らめる亜衣に、無理矢理腕を引っ張って背中に乗らせた。

「すみません……」

 ボソッと俺にだけ聞こえる小声で謝ってきた。こういう言い方しか出来ない自分に腹が立ったけれど、後悔している暇もないので走り出した。見た目通り、亜衣は軽かった。

 深影は痛みを感じているのかどうか不明だが、あきらかにスピードが落ちていた。念には念をの精神なのか、稔さんも綾小路もたまに牽制している。

「つーか、弾切れだったんじゃないのか?」

 確かに玲華がカウントしたあと暫く撃ってなかったのに。

「さっき君たちが久保田くんと話している隙に頂戴したんだ。走りながら弾を詰めた」

「あっそ……」

 油断も隙もない人だ。

 そのまま進むと階段が見えてきた。玲華はそこを昇る。

「二階に行くのか?」

「そうよ。ちょっと!致命傷は与えないでよね、あなたたち!」

 玲華が思い立ったように怒鳴った。けっこう派手にやっているからかもしれない。

「わかってるよ、玲華」

「どさくさ紛れに動けなくしておいた方がいいと思うけど」

 綾小路は予想通りの回答だが、稔さんは恐ろしいことをあっさり言っていた。これは血筋だろうか。玲華もわりとこんな言い方をするときがある。

 重い仕掛け扉を開くとそこは長い廊下に出た。客室が並んでいる。

「そういえば、おまえ今までどこで何をしていたんだ?」

 俺が綾小路に尋ねると、それを聞いた玲華も再び参戦してきた。

「そうよ。あんた実はもっと前からあの通路にいたでしょ。もっと早く出てきなさいよ」

「玲華以外はとくに助けたくもないし。最大のピンチで登場するのが、この場合のヒーローのセオリーだろう?」

 本当になんてやつなんだ。しれっと言うな、そんなこと。

「だったらもうょっと完璧に助けろよ」

「貴様!誰のせいでこんな状況に陥ってると思ってる!」

「おまえには関係ないだろ!少なくとも」

「関係あるさ!だいたい僕は忠告しただろう」

「してねえよ!おまえが言ったのは教えるつもりはないってことだけだ!」

「うるさいわね!黙んなさい、あんたたち!亜衣ちゃんが逃げるに逃げれなくて怯えてるじゃない!」

「あ……」

 ちょっと後ろを見ると、亜衣は引きつった笑みを浮かべてはいたが、少し涙目だった。

「い、いえ……わたくしは、あの……」

「……悪い」

 またやってしまった。男の怒鳴り声にトラウマがあったり、慣れてない人には怖がらせるものだって、もう知っている。だから怒らないように気をつけていたつもりだったのに。

「玲華!僕はこの男に現実の厳しさを」

「あーもう!……っと、京香?」

 まだ食い下がろうとする綾小路に、なにかを言おうと振り向いた玲華がその途中で目線を止めた。

 麻衣が心配そうに京香を覗き込みながら走っていたからだ。京香は苦しそうに肩で息をしていた。目は真正面を見つめて動かないが、どこか虚ろだった。汗が半端ない。

「体力落ちてるわね。大丈夫?」

 深刻な顔で玲華は麻衣とともに京香を支えた。

「仕方ないね。じゃあおれが連れて行くよ。いいかな?比絽」

「どうしてぼくに聞くわけ?」

 これ以上ないってほどに比絽の機嫌が悪くなった。

(もしかして……)

 稔さんも知っているのだろうか。なぜ京香がいま、こんな状態でいるのか。

 稔さんは肩をすくめながら拳銃を玲華に渡した。

「これ頼めるかな?」

「撃てないわよ、あたしは」

 とかぶつくさ言いながらも玲華は受け取る。

「きみに預けるのが一番適任だと思う」

 そう言うと稔さんは京香を横抱きに持ち上げた。所謂お姫さま抱っこというやつだ。

「いやあ!」

 弾かれたように京香は悲鳴を上げて暴れだした。

「触らないで!」

「大丈夫だよ。なにもしないから安心していい。もう走らなくていいからね」

 京香の耳元で稔さんは囁く。京香が震えながらもしっかり稔さんを見た。少しずつ大人しくなっていく。

(やっぱり、知ってるんだ)

 なんか様になってる。間違っても自分もしようなんて思わないけど。

 比絽はそっぽを向いていた。

(もうどうでもいいのか?比絽……)

 いいのか、本当にこのままで。後悔しないのか。

 届く当てのない問いかけを、胸中で繰り返す。

「てめえら。生きて帰れると思うな」

 すぐ近くに深影が来ていた。銃弾を二発受け、俺の刺した傷でもう血塗れだった。

(血のにおい……)

 こんなんで、どうして動けるんだ。いくら走って切り離しても、気づけば後ろにいる。物凄いほどの執念。

 臭いよりもそんな男を目にしなければならないことのほうが、堪えられなかった。

 俺の背中から小さく悲鳴が聞こえた。亜衣も怯えてる。

(もっと離れないと……)

 姿が見えなくなるまで。徹底的に突き放さないと駄目だと思った。

 だけど先頭の玲華は追い越せない。道を知らないだけでなく、玲華を後ろに置くのは絶対にしたくなかった。

「スピード上げるわよ!悠汰、大丈夫?」

 なんで真っ先に確認するのが俺なんだ。確かに気力が人並み以下であることは、玲華にはバレている。

「つーか、どこまで逃げればいいんだよ!」

「もう少しよ!もう少しで目的の部屋につくわ!」

 目的の部屋。玲華はただ闇雲に走っていたわけではなかったんだ。

 さすが、としか言いようがない。ならばこの大きすぎる建物が悪いのだ。

(くらくらする……)

 目眩を起こしそうになるのは、この臭いのせいか、電池(スタミナ)が残り僅かなのか。

 拳銃を握ったまま玲華は大振りに腕を動かす。

 そんな扱いをして大丈夫なのかと、心配がないわけではない。でもきっと自分より知識を持っているはずだ。離せというにはあまりにもこの状況には不似合いだった。

「麻衣ちゃんは大丈夫?」

 玲華はもしかしたら余裕があるのかもしれない。周りを気遣ってばかりだ。

「ええ。わたくしは運動が出来るかわりに勉強はまったくダメなんです。その代わり勉強は亜衣が優れてるんですよ」

「充分個性別れてるじゃない。自信もちなさいよ!」

「はい!」

 なぜか麻衣が満面の笑みになった。っていうか、このままでは女子より先に音を上げそうだ。

(音を、上げるだけなら、まだいい……)

 ちらりと沸き上がる不安。それを胸の中だけで打ち消す。

 こんなところで昔の症状を出してたまるか。俺だけならまだしも亜衣がいるんだ。ぶっ倒れたくはない。

 途中で警備員の服を着た人が立っていた。っていうか警備員だ。

「怪我したくなかったら退いて!」

 当初は足止めをさせようと厳しい顔で立ちはだかっていたが、あまりに人数が多いのと、玲華の勢いある一言から直前で諦めた。

 いいのかそれで、と思ったが、本気で気迫を出している玲華に敵う人はいない。

「止まれ!おまえら!京香をどこに連れて行く気だ!」

 しばらく走ると、太ったオジサンが一人前方に立っていた。すごい汗を掻きながら、余裕のない顔色だ。

 俺たちは思わず立ち止まる。というか玲華が止まったから、自然に止まらざるを得なかった。深影はまだ遠くを歩いている。

 隣にいた比絽がこっそり俺に言った。

「京香のお父さんだよ」

「ああ……」

 あまり似てないけど、こういう状況なら頷ける。

 あれが、玲華と比べてばかりいる父親。頭が薄くて五十歳くらいに見えた。

「和志伯父様……いままで目立ったことはしてなかったのに……」 

 玲華が厄介だと言わんばかりに呟いた。

 肝心の京香は稔さんの腕の中から、そちらを向いているけれど特に何も言わない。

 どういう感慨でいるんだろうと気になった。無感動なわけは絶対にない。きっと比絽の次か、それ同等の執着があったはずだから。

「京香!そいつから離れろ!おまえ!何をたぶらかしている!?」

 一方的な物言いだ。

 なにも状況を知らずに、一方的に京香に命じ、稔さんを責めている。

 こういう親は、身近に知っている。俺の父親と同じタイプだと思った。

 理事長とか、拓真の親みたいな人もいるのに、どうしてこういうタイプもいるんだろう。(はた)で見ているだけで嫌悪感を覚える。

 玲華が数秒考え込んでから、行動に出た。きゅっと表情が変化した瞬間を見た。俺に対するものから、大人に対するものの違いだと思った。言葉では上手く言い表せないけれど、顔が僅かに引き締まっている。

 そして稔さんの隣に立って、横から京香の手を握った。

「あら、伯父様。たぶらかすなんて言葉が悪いわね。あたしたち友達なのよ。友達になったの、いま」

「そんなわざとらしいことを、真に受ける奴がいると思うのか!おまえがようやく死んだと思ったのに……気を持たせるようなことをしやがって!」

「それはご愁傷様と申し上げるわ。他人が落ちることでご自分が躍進なさると思ってらっしゃるようだけど、それは大きな勘違いですわよ」

(……なんか)

 丁寧な言葉だけど、これでもかっていうほど、すごく馬鹿にしている。

 こういう態度に出るからひんしゅくを買うのではなかろうか。

「なんだと!おまえらみたいなもんは一人残らず絶えてしまった方が世のためになるんだ!ならばお望みどおり俺がこの手でやってやる!」

 ああ。やっぱり。

 いまさらこの人が拳銃を出したところで、すでに驚かなくなっている自分が悲しい。

 驚かないからといって脅威が減るわけでもないが。

「あなた、昨夜京香がどういう状態でいたのか知っているでしょう?このままここにいれば、間違いなく京香のためにならないことぐらいわからないの?」

「黙れ!それもこれもすべておまえが悪いんだろう!人のせいにするな!おまえがいなければすべて丸く納まるんだ」

「あなたはご自分では一向に動こうとなさらない。今回も清志郎伯父様みたいに野望に燃えるわけでもなく、周りの動きばかり気にして様子を窺っているだけでしたでしょう?いつも京香に命令して(けしか)けるばかりで。そんな人の思い通りにはならないように世の中なってるってご存知かしら」

「黙れと言っている!この銃が見えないのか!」

「玲華、撃って」

 眉根に皺を寄せて稔さんが囁いた。こちら側にしか聞こえない声で。

 俺もハラハラしていた。京香の父親は力んでいてブルブル震えていて、いつ引き金を弾いてもおかしくないほど取り乱している。そしてその先は玲華なのだ。

(でも……)

「撃たなければ撃たれる」

「嫌よ。出来ないわ」

 俺の予想通り、玲華は首を横に振った。

「亨くん!」

 稔さんがすかさず綾小路に顔を向ける。綾小路はすでに矢筒から矢を一本引き抜いていた。構えるところに玲華がカッと言い放つ。

「駄目!あの人を傷つけたら絶交よ!もう二度と口をきかないわ!」

 絶交って、拓真みたいなことを言う。

 だけど綾小路には最も効く言葉だった。情けない顔をしながら、弓を引く力が弱まっている。

「ははっ!仲間割れか!所詮おまえの周りにいるのはその程度の輩なのだ!」

「やかましいわね!あたしは京香の前だからやめさせただけよ!勘違いしないで!」

 玲華の感情が大爆発してしまった。いままでの鬱憤をもすべて吐き出したような勢いだった。

「ゴチャゴチャ言ってるけどね!じゃあ自分はどうなのよ!なりたい自分がいるなら、もっと努力することに目を向けなさい!いい加減鬱陶しいのよ、そういう嫉妬!いくら恨んだって、出生の環境なんて産まれてしまったら変えようなんてないじゃない!結局そこからどうなるかなんて自分でしか決められないのよ。人間の感情なんて自分の意識で変わろうとしなければ変わらないわ!だからあたしはいちいち相手になんかしない、あなたたちのことは。悪いけど、あたしはあたしで幸せになるんだから!」

 その内容は京香にも向けて言ってるんじゃないかって、勝手に思った。先ほどまでとの態度の差がそう思わせた。本気で訴えているから。

 だけどそれよりも、すごく俺の胸にも響く言葉だった。

(いくら、現在(いま)ある状況を恨んでも、自分を変えなきゃ変わらない)

 どうして玲華はいつも正しいことを言えるんだろう。正しいと思ってもここまで言い切れる人はきっと少ない。

 きっと玲華が常に努力を怠らない人だからだ。

 京香の父親は絶句したようで、すぐには反論しない。

「お気をつけて。あなたも深影の視界に入れば、いまなら殺されてしまいます。大人しく去ることをお勧めするわ」

 そしてまた、凛とした表情になった。これで、京香の父親は完全に恐れをなしてしまったようだ。固まったまま二、三歩後退する。

「行きましょう。悠汰、あたしたちが行くのはちょうどあの部屋よ」

 厳しい顔のまま目線でその場所を指し示した。京香の父親が後ずさり、扉までの道が出来たその部屋のようだ。

 後ろを向くとフラフラになりながらも、しっかりと地に足をつけて歩く深影がいた。

 もう京香の父親は撃たない。

 俺も直感でそう思っていた。だから一歩ずつ皆でその部屋に近づいた。

 京香の父親は、怯えながらも視線をこちらから外そうとしない。いや、京香を見つめていた。たった一日で変わってしまった娘の姿を。

「パ、パ……?」

 玲華と比絽が中に入り、稔さんが入ろうとしたときだった。最も父親と近くになったときに京香がポツリと呟いた。

 ハッと彼は顔を上げる。

「京香!無事か?」

 そして駆け寄ろうとしたが、不意に固まった。京香は一瞬だけで、もう脱け殻のような状態に戻ってしまったからだろう。それをあの父親も感じとってしまったのだ。

「すみません」

 一言だけ稔さんは口をついて断ち切った。ここで京香の復活を待つ時間はない。

 でもきっといま、彼女は揺れている。その心情までは計り知れないけれど、あのままではいられないから。

 部屋に入ると、そこは空室だった。玲華が窓際で立っていた。

「ここは稔叔父様の部屋の真下の二階にあたるの」

 近づいていくと、徐々に噴水が見えてきた。

(そういうことかよ……)

 つまりここから飛び降りるということか。

「あの……ありがとうございました。もう大丈夫ですので」

「あ、ああ……」

 俺は亜衣をおろした。軽いと思っていた少女だけれど、おろしてみるとすごく身軽さを感じる自分がいる。

 改めて窓から下を覗くと、遠くの方でまだ銃撃戦が繰り広げられていた。久保田さんたちの姿は見えないが、たくさんの護衛たちが丸見えだった。

「光泉寺様と松倉様もいらっしゃったんですね」

 麻衣が呟くと、玲華も頷いた。

「毅叔父様がいないわ」

「まずいな。深影から情報をもらってるのかもしれない」

 稔さんも京香をおろして、硬質な声を出した。

 玲華が背中を向けて、大人しめのドレスの胸元からなにやら取り出したようだった。

「ジップロック……?」

 それは袋状のジップロックだった。あの冷凍庫に入れて保存するのに最適なものだ。

 なんでこんなものこいつが持ってるんだ。しかもわざわざそんなところに入れてまで。

「綾小路先輩には渡したわね。はい、皆にもあげるわ。これに携帯をいれてチャックすれば濡れて壊れることもないから」

 なるほど、という空気になった。本当に玲華はいつも用意が良い。

 そう早口で言いながらひとりひとりに渡していく。だけど俺は飛ばされた。まあ、俺は携帯もってないし濡れて困るものもない。

 早く行こうという空気になるまえに、俺には言わなければならないことがあった。

「なあ、俺はやっぱり独自で逃げるよ。他に隠し通路があったら教えてくれ。壁よじ登るから」

 玲華が信じられないという顔で俺を見た。

「そこまで言うのなら、ちゃんと説明してくれるんでしょうね?」

「言いたくない」

「なに言ってんのよ!壁にはセキュリティあるって言ったでしょ!」

「大丈夫だろ?センサーに触れたところで、そのまま走って逃げれば良いんだから」

 かつて拓真に言った通りのことを言った。しかし玲華はキッと睨む。

「じゃあ教えてあげるわ。停電してない状況でそんなことをするとどうなるか。センサーが反応したら家の壁に備え付けられているレーザーが自分に向くの!焼かれて丸焦げよ!」

「だったら、ここに留まる。俺は捕まった段階でいつ死んでもおかしくなかったんだ。頼むからおまえだけ逃げてくれ」

「ずいぶん、見くびられたものね。ここであたしが言うとおりにすると思うの?あんたは!」

 玲華が怒っている。それで俺は、なるべく言いたくなかったことを言おうと思った。言いたくない想いがあったせいか、相乗効果なのか俺もついヤケ気味に怒鳴る。

「仕方がねえだろ!泳げねえんだよ、俺は!言っとくけど水恐怖症なんだからなっ!風呂も普段シャワーまでだ、悪かったな!」

「――ええっ!」

 玲華が……あの冷静な玲華が度肝を抜かれたようだった。

 だから言いたくないんだ。拓真には言ったけど。

「なんでそういうことを毎っ回言わないのよ!あんたは!」

「聞かれなかったからだ!」

 一字一句しっかりと俺は発音した。

 嘘じゃないぞ。だいたいどこの誰が聞かれないのに自分の弱点を人に言うんだよ。

 小さい頃、親に風呂に投げ込まれたせいだとか、言い訳にもならないだろ。今となっては。

 あの、運動に力を入れている学園の一番すばらしいところは、なぜかプールの授業がないところだ。もちろん飛び込み台までついているデカいプールは設備されているけれど、それは水泳部用だ。部活にはとことん金をかけてる。たまたまか誰かの差し金かは知らないが、体育の授業はなぜか球技が多かった。

 だから玲華も知らなかったし、俺も言う必要はなかったんだ。

「夏休みに海に行こうって誘っても頷かなかったのはそのせいだったのね。水着が恥ずかしいのかインドア派なんだと思ってたわ」

「勝手に思ってんなよ、そんなこと……」

 あのときは、強引に連れまわされている印象があったけど、気づけば絶対嫌なことは避けてくれている。自然とそうなっていて本当に今頃気づいたけど、合わせてくれていたんだ。

「ねえ。二人の思い出話なんてどうでもいいよ。それでどうするの?行くの?」

 比絽が催促する。

 ちょっと待て、まだ覚悟決めてないって。

「しょうがないわね。あんたはただ息を止めてジッとしていればいいわ。あたしが一緒に泳いでいってあげるわよ」

「そんな情けない真似できるか!」

 そこまでしてもらうと本当にただの足手まといになってしまう。それだけは避けたい。

(ホントに……自分が嫌になる……)

 ゴクリと俺は唾を飲み込んだ。 

 そっと噴水の中を見つめる。雨とかシャワーは息できるから問題ないんだ。顔を洗うのはちょっと気合が必要だったりする。そのレベルだ。顔にちょっとでもかかったら駄目だとか、そこまでじゃない。

(多分、息が出来ないのが……)

 水中で過呼吸になったらどうしようとか、そういう不安から起因してたりするんだ。

 だったら大丈夫だ。過呼吸にはならない。

(押さえつけられて無理矢理沈まされるわけじゃない)

 あの頃とは違う。

 逆に、助かるためにすることなんだ。

 思い込みでもなんでも良い。すこしでも前向きに向かえるように俺は想い続けた。挑戦的な姿勢をつくりだすように。

「あまり悩んでる時間はないみたいだよ」

 稔さんが出入口を見ながら言った。

 俺はそちらを振り向く。すると深影が到着してしまっていた。扉に片手を置き、俺たちを見て冷笑している。

「どうした?もう逃げないのか?」

 もう一方の手には拳銃。警備員の人から奪い取ったようだ。

「もうフラフラじゃない。大人しく病院行った方がいいわよ」

「ぬかせ」

 拳銃が玲華に向いていた。それで俺は手近にあった高価(たか)そうなソファを持ち上げ、深影に投げつける。もう形振り構ってなどいられない。投げると同時に玲華を引き寄せて俺の体で隠す。

 深影は奇怪な笑い声を上げながらバンバン撃ってきた。

 その殆どがソファの底側に当たる。

 そしてその間に綾小路は弓矢を引いていた。最後の一本だった。

「玲華、すまない。きみの意向には応えられない」

 そう言いながらいっぱいに引く。

 玲華の意向。つまり致命傷を与えるということか……。

 綾小路もとんでもないやつだ。ここにいる人たちと同類の人種だと思った。こんな静かな目で人を殺そうとしている。

(でも、俺より玲華のために役立っている)

 ふと思い付いた事実にドキリとなった。

 ここにいたのが俺と玲華だけだった場合、玲華を無事にこの部屋まで導けたのかわからない。

 玲華はなにも答えなかった。仕方ないと諦めたのか、言うべき言葉がすぐに出てこなかったのかは不明だ。

 しかし。

 綾小路が放つまえに、少し遠くから発砲音がした。そのまま深影は膝をつくことなく倒れる。

 真っ先に玲華に腕をぎゅっと握られた。

 そこに、二十人くらいの部下を引き連れた毅さんが立っていた。

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