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第三章 ・・・ 6

「で?なんでこんなことになってんだよ」

 なんとか久保田さんを黙らせて、千石さんにはそのままこの部屋から出て行ってもらった。

 野菜の調達という意味でもなんでもいい。

 身振り手振りでとにかくこの部屋から追い出した。盗聴器とともに。

 すっごおおく複雑そおおおな顔を千石さんはしていた。

 申し訳なかったな、と思う。

 でも麻衣ちゃん無しで今後のことは語れないし、久保田さんの案も欲しかった。

 その後の第一声があれだ。

 むすっとした顔でソファに態度悪く座って、それでもあたしの話を聞いてくれていた。

 あたしは向かいに座り、麻衣ちゃんはあたしの隣にいる。

 その彼女はまた、少しビビっていた。あたしは許したけど、久保田さんが許すかどうかわからないからだろう。

 しかもこんな態度だ。

 足こそテーブルには置いてないけれど、ぐわって腕は広がって背もたれの後ろにまわされている。どこの(やから)よ、まったく。

 黙らせるときに手荒なことをしたから、それでちょっと怒ってるんだとあたしはみた。

「そりゃあ、また……。ぶっ飛んだ展開だな」

 もう何もいりませんって顔で、久保田さんはため息を上に向かって吐いた。

 ようやく納得したみたいだ。片腕だけ外して頭を抱え出した。

「でね、あたしとしては亜衣ちゃんも助けたいの。久保田さんよろしくね」

 うふっと笑って首をかしげながら、わざとぶりっ子をしてみた。

 そしたら本気でやめろって顔をされた。

 ふーんだ。

「それで、肝心のその子はどこに囚われてるって?」

「それはまだ聞けてなかったわ。麻衣ちゃん、どこ?」

「え、っと……助けていただけるんですか?」

 腑に落ちない顔で彼女は反問した。

「じゃないとわざわざ千石さん出したりしないわよ」

「あいつもつくづく可哀相な奴……」

 ぼそぼそっと久保田さんが呟いてたけど、あたしは聞こえないフリをした。

 千石さんといえば、あたしたちが寝室から出てみたら、キッチンが物凄いことになっていた。実際に料理をしようとしていたようなのだが、フライパンは海老と共に焦げてるし、パスタの麺は折れに折れて短くなった状態で鍋の中で泳いでいた。

 やっぱり知識だけあっても駄目なのだと再確認する。

 とりあえずそれはまだ片付けられていない。麻衣ちゃんは性分から何とかしたそうだったけど、そんな時間はないと無理矢理応接スペースまでつれてきたのだ。

「でも玲華様は、そんな余裕ないじゃないですか。昨日もわたしたち見てました。後ろの方で、ここで起こったこと、ちゃんと見てたんです。あの人、悠汰さん?彼が、大変なことになってるのに。こんなところで他人のことなんて……」

「まあね。順位をつけるなんて失礼なことだとは思うけど、悠汰は第一ね。当たり前だわ。だけどあたしはそれだけであとは適当になんてしない。欲張りだから、全部手に入れたいの」

 自分が後悔しない道を選ぶ。全力で、手は抜かない。

 そうしないと悠汰にも偉そうにいろいろ言えないじゃない?悠汰に、顔向けができないじゃない?

「っておまえが言うんなら、オレは従うしかないだろ」

 麻衣ちゃんが次に久保田さんの顔を見つめたとき、彼はぶっきら棒にそう返した。

 素直じゃない。

 けど、充分だ。彼は大人だから断るときはちゃんと断るだろう。実際口論もたくさんしたし。

「だってさ。だから信じて言って、麻衣ちゃん」

「はい……。清志郎様のお部屋です。わたしたちは密談するときは別の空室を利用していました。ですが断りをいれたところ、かなりお怒りになられて、そのままわたしたち二人とも連れて行かれてしまって」

「まさに真っ只中だな」

 嫌そうな顔のまま久保田さんが呟く。

「とくに昨夜はあんなことがあって。機嫌が最高潮に悪いときで」

「なんでそのタイミングを選んだのよ」

「見たあとだったからこそ、わたしたちも感情が高ぶっていたんです。どうしても言わなきゃって思ったら、そのまま止まれなくて……」

 あたしは頭が痛くなった。

(有り難いことなんだろうけどさ。感情のまま突っ込んで、結果とんでもない状態に陥ってるような人は一人で充分よ)

 悠汰の顔が浮かぶ。

「んで?清志郎はいまどうしてる?」

 久保田さんがとうとう呼び捨てになった。

 彼の中でかなりの格下になったようだ。当然というか、とっくにあたしもそうなんだけど、とりあえず伯父様とまだ呼んでおこうと思う。もう一戦、交えないといけないみたいだし。

「どうでしょうか。とりあえずわたしがここに来る前は一旦落ち着いて、それでまた激怒されてましたけど……」

「なんでまた?」

「地下の鍵は毅様がいま所有なさってますよね。しかしその地下へと続く扉は、清志郎様の配下の方が護りになられてたんです」

「そうだったの?」

 それは知らなかったことだ。当然見張りはついているんだろうとは思ったけれど。

「ええ。すごくその間にもバトルはあったのですが、ひとまずその状態で落ち着いたんです。だけどなにがあったのか、直々に毅様がその場に来られて、強引に清志郎様の配下を追い出し、ご自分の手のものをそこに置いたのです。報告を受けた清志郎様はまた激しく怒り出して。それでわたしが一人、ここに来させられました」

「あら……」

 それはあたしのせいだ。まさかそんな流れが裏で起こっていたとは。

(因果ってあるのね、ほんとに)

 でも誰がそこにいても変わらない。見張りは必ずあたしが通ることを見逃さないだろう。

「地下と清志郎の部屋か……。二つ同時には無理だな。まずは清志郎をなんとかしよう。あちらの方がまだなんとかなりそうだ」

 久保田さんにはすでに考えが浮かんでいるようだ。

 麻衣ちゃんは隣で、またえっ?て反応をした。

「そんな。まずは悠汰さんをなんとかしてあげてください。わたしたちのことは自分たちの責任でこうなってるんです。最悪わたしたちは……」

「物事には順番ってもんがあるんだよ。二兎を得るものは一兎も得ずって昔の人はよく言ったよな。だから二兎得ることがどうしても必要な場合、少しタイミングをずらす。最もいいタイミングで狙うんだ。悠汰を先行したら君の片割れは助からない。かもしれない」

「なに弱気になってるのよ、最後で」

 断言すれば格好良かったのに。

 うるせえと久保田さんは悪態をついた。

 もしかしたら彼だって悠汰のことを先行したい想いがあるのかもしれない。しかし迷いは失敗を生む。

「だったらそうしましょう。久保田さんにはもう何かしら考えがあるんでしょう?それでいいわ」

「おまえ、何も聞いてないうちから……」

「ダテに朝からいなかったわけじゃないんでしょ?これでなにもなしじゃあ久保田さんの面目が丸つぶれだもんね」

 ふふん、とあたしは笑う。

 信じるわ。久保田さんを。

 昨日から何か考えていそうだったから。じゃないと、あそこで悠汰を売るような真似をしたことが許せなくなる。

「現金すぎる奴だな、おまえ」

「ずっとこれで生きてるんだもの。そう簡単には変われないわ」

 もう、迷わない。

 もう大丈夫。

 今のあたしは無敵なんじゃないかと思えた。悠汰との誤解はすでに解けている。それがこんなにも違うんだって、それが凄いと思った。

「なんか……お二人ともわかりません。お人好しなのか厚かましいのか……全然わかりません」

 口元を押さえて、震えながら麻衣ちゃんは言った。

 また、涙ぐんでいる。

 あたしはホワイトブリムを避けて、頭の下の方をくしゃくしゃっと撫でた。

「悪かったわね、ふてぶてしくて」

「二人って、オレも入ってるわけか?」

 不満げに久保田さんがぼやく。

 端を発した張本人が何を言ってるんだか。自覚してもらわないと困る。あたしが認めたんだから。

「いいんじゃないの?皆で勝ちに行けば。あたしは何も譲る気はないわ」

 そう言って、力づけるように麻衣ちゃんの背中を叩いた。


   * * *


 それから久保田さんは作戦を語りだした。

 今日、得たものを聞きながら練らていく作戦。ちゃんと悠汰のことまで考えている。

 だけど。

「久保田さんって絶対長生きしないタイプだわ……」

「うっせえな、嫌ならやらねえぞ」

 拗ねた久保田さんを何とか宥めているうちに、千石さんがそーっと帰ってきた。

 そういえば帰るタイミングを教える時間も手段もなかったけど……。それはもう、充分すぎる時間だった。

 盗聴器を麻衣ちゃんに渡して、彼女にはとりあえず帰ってもらった。

「なんか知らないけど、怪しまれて食べてもらえなかったって言うのよ。絶対バレたなんて思わせちゃ駄目。まだチャンスはあると思わせるの」

 前もってそう指導したから大丈夫だと思う。彼女ひとりのことなら返したくないけど、亜衣ちゃんがあちらにいるからそうもいかない。

「行く場所がなくなりました」

 その後、千石さんが少し冷や汗をかきながらそう言ってきた。

 本当に悪いことをした。根が真面目な人だから余計にそう思う。

 それから千石さんを交えて更に深いところを打ち合わせする。最後の方はまだ麻衣ちゃんには聞かせられないところがあった。

 そう、あたしの本来の目的に関するところだ。その話も出た。

「では、彼にも協力してもらうということですね?」

「そうだ。だからまずは悠汰に会うことだな。やつにも作戦の一部は知っておいて貰わないといけない」

「悠汰ねえ。やってくれるかしら」

「やらせるんだよ、おまえが。大丈夫だろ?お嬢が言えばなんでもするだろう、いまのあいつなら」

「確かにそう言ってたけどね、昨日は」

 なんでもやってやるからって、言ってくれた。

 こんなに嬉しい言葉だとは思わなかった。心苦しくなる前に、素直に感激した。

「でもねえ。これはねえ……」

「なんだよ?」

「できればあたしが見たくないっつーか、やりたくないっつーか……」

「グチグチ言うな。だったら他にいい方法あるのかよ」

「……やるわよ、やればいいんでしょ」

「ああ。それにあいつらオレたちを一歩も出さないつもりのようだぜ」

 苦々しい顔で久保田さんが言う。

「なによそれ?」

「今朝正面玄関に十人ぐらい黒服軍団がいた。出かけるフリをして近づいて行ったんだが、みごとに止められた。オレも含め玲華嬢が逃げ出さないようにするためだろうな」

 ちっ。

 やっぱりという思いはあるけれどムカつくわね。これではただ外に出るだけでも骨が折れる。

 だけど先ほど麻衣ちゃんから聞いた裏口の情報があった。他にも選択肢はあるのだ。ここからはこれからの状況を見ながら進む必要が出てくる。

 あたしも腹を据える必要があるようだ。

 って、すでに何度もそういう覚悟は決めてきたはずなのに。悠汰が絡むと途端にあたしは弱くなる。悠汰は強いって評価していたけど、あたしにだって弱点はあるのだ。

 だけど、それさえも誇らしい気持ちも確かにあった。

 それが悠汰で良かったって思えるから。

(待ってて、悠汰)

 何度も思った言葉。

 だけど今回は少し意味合いが違う。

 逢いにいける。すぐに、今夜。

 まずはそこが楽しみになった。不謹慎で、そういう気の高ぶりは良くないことだと解るのに、高揚が止まらなかった。

 そう、久保田さんは今日、ちゃんと悠汰までの道のりを見つけてきたんだ。

 怪しいと思う箇所は前からあったんだそうだ。

 そういうの、どうやって見つけるの?って訊くと、久保田さんは仏頂面のまま答えた。

「違和感がするんだよ。部屋と部屋の中を見て、それから廊下に出ると、そごだけなんか無駄に壁が広かったりする。あとは排気口がやたらと大きいと、入れそうだなって眺める癖がもともとあるんだ」

「どういう癖よ、それ」

「野生児というか、犯罪をして逃亡する男の心理ではないですか?そこまでいくと」

 千石さんにまで呆れさせてしまっては終わりだと思う。

 家中をうろついている間、そんなことをしてたのか。

「せめてスパイ大作戦と呼べ」

「また古いものを……」

「オレだってリアルタイムじゃないぞ、別に」

 千石さんの呟きに、久保田さんは丁重に訂正していた。

 確か昔の映画よね。あたしはよく知らないけれど。

 探偵ってスパイの別名だったのかしら。それも知らなかったわ。

「おい、おまえはまたなにを真剣に考えてんだ」

「なんでもー」

「そういえば貴方は何歳なのですか?」

「おまえよりは上。だから敬え」

「敬ってないように見えますか?」

「見える。だから敬え」

「なに二人で遊んでるのよ、いまは作戦会議に集中しなさいよ」

「どこが遊んでるように見えるんだよ。おまえの頭はどうなってんだ?」

「そうですね。私の不覚でした」

「おい、てめえ」

 うーん。これは仲が良くなっているのだろうか。確かに今までにはないやり取りではあるけれど。

 とりあえず二人とも全く笑顔はない。気が合ってる感じも全くない。

 だけど、出会いが最悪だったようで、お互いピリピリしていた当初のことを考えると、きっとこういう親睦の深め方もあるんだと思ってしまう。

「まあ、作戦に支障を来さなければいいわ」

「なんの話だ」

「あんたたちの仲よ」

「おまえも敬えよ、少しは」

「悠汰がちゃんと敬ってるじゃない。それで充分でしょ」

 実はこっそりだけど、少しだけだけど、ライバル意識を持っている。

 この夏休みにやたらめったら久保田さんの事務所に行きたがっていたから、ちょっとムカムカしてたっていうのはここだけの話だ。

 そんなところで意識持ってるなんてあたしらしくない。

 出会い方は、あたし的にも最悪だった。あれは久保田さんが一方的に悪い。

 本当は尊敬できるところもあるけど、なぜか隠したいと思わせるものが久保田さんにはある。

 なぜだろう……。

 千石さんじゃないけど、確かに久保田さんはある意味不思議な人だった。


   * * *


 計画の打ち合わせが終わって、それを実行に移すまでのときだった。

 ちょうど時計の針は午後七時を告げていた。

 夕食をどうしようかという話になっていた。麻衣ちゃんには、あたしが「来なくていい」という命令を出したということにしてある。

 亜衣ちゃんと離れない方が良いと思ったし、近くにいて出来れば敵の情報がなにか得られるかもしれないと思ったんだ。

 あたしたちはダイニングに雁首そろえながらも、一応話し合いというものをする。

「おまえ何が作れるんだよ」

「久保田さんは?」

「オレは何でも適当にできる。なにせ一人暮らしが長いからな」

「適当ねえ。一人暮らしっつってもお弁当とかでしょ」

「馬鹿。栄養バランスはバッチリ考えてる」

「なに威張ってんのよ。じゃあキッシュつくってよ」

「あ?何語だ?それは」

 期待したあたしが馬鹿だったわ。ほんとに……。

 一日ぐらいならあたしだって贅沢は言わない。だけど久保田さんに任せて、本当に大丈夫なのかも果てしなく不安だ。

「麺ブームなんだろ。ラーメンつくってやるよ」

「インスタントは嫌よ」

「馬鹿か、おまえ。最近のインスタントなめんなよ」

「じゃあ、一応言っておくわ。ここにインスタントものは一つとしてないわよ」

「はあ?まじかよ?困ったときにはインスタントって相場は決まってんだぞ」

 どこの相場なのかしら。

 別に知りたくもないけれど。

「ちなみにおまえ、インスタントものって食ったことあるのか?」

「興味本位で一度だけね。悠汰が作ってくれたのよ」

「ちっお嬢が」

 けっと久保田さんは吐き捨てる。

 大人の男の僻みって嫌な感じね、まったく。

「では私が……」

「ああ、おまえはいい。座ってろ」

 ここで千石さんの出番はないようだ。あのフライパンの残骸を久保田さんも目にしている。

 これじゃ埒が明かないって状況になったときだった。

 部屋の扉がノックされた。

 さっと久保田さんも千石さんも立ち上がって警戒する。あたしも何者かすごく気になって扉の方を凝視した。

 すると、誰も応じてないのにその扉が開く。

「あれ?どうしたんだい?玲華。ずいぶん清々しくなったね、ここの出入り口」

 ……綾小路だった。

 制服姿で、ものすごく懐かしく感じる。

 はああああとあたしは息を吐き出した。大の男二人も、なんともいえない顔つきをした。

 紛らわしいったらない。綾小路先輩は、なぜか毎回突然の登場をする。

「なにしてんの?あんた」

 ダイニングから結局立つこともなく、呆れながら訊いた。

「ずっと毅さんに止められていたのに、今日はすんなり入れてくれたんだ。聞いたよ、神崎のこと。あいつはやっぱり馬鹿なままだったな」

 白い歯を見せながら綾小路は近寄ってきた。

 まあ、一応この人もちょいちょい協力をしてくれてはいたんだし。ここの人間は顔見知りも多くて、あたし以外にも情報源はあるだろうし。

(だから怒ってはだめよ)

 何とか自分を抑える。あきらかに悠汰を馬鹿にしてる感じが伝わってきたけれど。

「あんた、馬鹿ねえ。このタイミングで来るなんて……」

「れ、玲華こそ、そのタイミングで馬鹿と言わないでもらえるかな……。あいつと同類みたいに聞こえるから」

「心配しなくても質は全然違うわよ」

 どちらがどうとか説明してないのに、なぜか綾小路は満足そうだ。まあいいか……。

「おい、こいつにも協力してもらうのか?」

 久保田さんがつまらなさそうに提案してくる。

 協力者が増えると思えば助かるけれど、命の危険が脅かされる人が増えるのは問題だ。

 人が増えるとそれだけ穴もできる。

「なんだい?玲華のためになることならなんでも言ってくれ」

 そのために来たんだから、と綾小路先輩は続けた。

 試しにあたしは言ってみる。

「じゃあ悠汰を助けて」

「…………」

 あからさまにイヤそうな顔になった。こいつ……。

「他にできることはあるかな?」

「かな、じゃないわよ。それが最大級のやるべきことなのに、そこで協力できないなら用はないわ!さっさと帰ってくれる?」

「それがそうもいかないんだよ、玲華」

 かなり真面目な顔で綾小路が言った。

「なにがよ?」

「ここに入るときの条件でね。一度入ったら事が終わるまで出すことは出来ないがそれでもいいか?ってさ。もちろん僕は二つ返事でオーケーと言ったよ」

 バカ……。なにがオーケーよ、バカ。

 あたしは思わず久保田さんと視線を合わす。あちらも頭が痛そうな顔でいた。

「しょうがねえな。こいつも一蓮托生か」

「はあ……」

 まあ、なにか役に立つかもしれないしね。一応出来る男ではあるし。

 ふと、あたしはある考えにたどり着く。

「ところでえ、綾小路先輩?」

「なんだい?玲華」

「あなた、料理はできて?」

 ぶりっこをして満面の笑みで聞いてみた。

「ああ。そんなこと……。もちろん出来ないさ。僕には必要ない技術だからね」

 ふっと前髪をかき揚げながら、格好つけている。

 やっぱりね……。万が一にでも期待したあたしがバカだったわ。

「仕方ないわね。あたしが作るわ」

「食えるもん。頼む」

「食べられるわよ!作ったことあるわよ!キッシュは!」

 まったくもう!作る気が失せるようなこと言わないでほしいわ。

 お昼は結局、残った時間で綺麗に片付けたあと、麻衣ちゃんが手際よく作ってくれたから、食事の心配をする必要はなかったのだ。

「なにか手伝えることはありますか?」

 気を利かせて尋ねてくれたのは、千石さんだけだった。

「ないわ。こっちはいいから綾小路先輩に今までのこと話してあげて」

 あたしがテーブルの方を振り向きつつ言うと、すでに難しい顔をしながら久保田さんと話し合いが行われていた。

 やることが早い。

 こういうときの男性は羨ましさを感じる。女性のように感情で会話をしないから、やるべきことがあれば建設的な行動に出る。

 千石さんも混ざり着々と今後のことを話しているようだったけど、あたしには会話を聞いている余裕はなかった。

 秀和に教わったことを思い出しながら、あたしはそれを忠実に再現していく。

 キッシュだけでは足りないので、悩みに悩んだ挙句、祥子さんから一度教わったオムライスを作ることにした。これなら久保田さんの口にも合うだろう。

 そして出来上がった頃には、すでに綾小路はすべてを把握していた。

(二時間もかかっちゃったから当然か)

 無駄な動きはなかったと自負しているが、もっと素早く作れるようになりたいものだ。

「だったら僕も協力するよ。玲華は僕に護らせてもらえないか?」

「おまえの戦力をオレは知らない。だから組み込むにはどこまで出来るのか把握しておきたい」

「そうだな……。とりあえずあちらが銃を出してくるのなら、僕は弓で対戦できる。感謝するといい。今日はとうとう断りきれなくなって、部活に久々にでていたんだ。そのまま来たから愛用の弓を持っている」

 ちょうどこんな話をしている最中だった。

 確かに綾小路先輩は弓道部に入っていて、その腕は全国レベルだ。

 だけど矢を構えてる間に撃たれるんじゃないの?と思う。もし本気で銃撃戦になれば、だけど。

 そのままの流れで食事会になった。

「ありがとう。玲華。すごく美味しいよ。まさか君が料理まで出来るなんて知らなかったよ」

 ものっすごく感激してくれた綾小路先輩の言葉で、雰囲気がガラッと変わった。

「ありがとう。いっぱい食べてね。久保田さんはどう?」

「初めて食ったから比較ができん。あと出来れば量がもう少し欲しい」

(こーいーつー)

 量があればそれでいいのかっ!これが美味しいかどうかは言えるんじゃないの!オムライスなら比較できるでしょ!

 言いたいことをあえて抑える。絶対、意見を言うのが面倒くさかっただけなのだ。ここで言い合うのは時間の無駄だ。

「相変わらず失礼なやつだな、貴様」

「おまえもな」

 綾小路と久保田さんは、計画の話以外はやっぱり気が合いそうではなかった。

(でも綾小路先輩が、ここまで年上の人にぶつかるのも珍しいことだわ)

 ある意味、素直に。

 久保田さんがそうさせてしまう人柄なのかもしれない。

 ただ嫌いなタイプっていうことだけならば、綾小路先輩は非の打ち所がないくらい、隠して付き合うことをするだろう。そうやって大人たちと渡り歩くことが多いから、そういう術は身につけているはずだった。

(ずっとあたしの傍にいるから、焼きもち……とか……?)

 まさか、そこまで馬鹿じゃないだろう。たぶん……。

「玲華様。キッシュの焼き加減もちょうどよく、卵の半熟さ加減もまさに完璧です。微塵のズレもありません」

「……ありがと」

 千石さんの評価は、どれも専門的な箇所だった。

 三種三様とはこのことだ。全く面白いほど三人ともバラバラだ。

 これで上手くいくのだろうか。

 こっそりあたしは先が思いやられる気持ちになった。


   * * *


「え?」

 誰かに、呼ばれた感覚がした。

 後ろを振り向いても、そこには誰もいない。

「どうかしたか?お嬢」

「なんでもないわ」

 なんとなく胸騒ぎを感じたけれど、あたしはそれを呑み込む。

 こんなところで止まってなんかいられない。

 だって作戦はもう始まってるんだ。

 あたしはいつものワンピースやスカート姿をやめて、Tシャツにジャケットを羽織り、デニムのパンツを穿()いていた。動きやすくするためだ。

 髪も後ろでひとつに束ねる。

「じゃあ、行くか」

 あたしの準備が出来るのを待って、久保田さんが言った。

 あたしは頷く。

 久保田さんが先頭に立って前の状況を確認してくれた。人に見られることがあれば、この作戦は止まる。

 まずは稔叔父様と通ったあの道を目指した。

 地下と直結こそしてないけれど、こちらを利用したほうが人目につかない。

 だからかもしれない。その道に入ると少しホッとした。

「気を抜くなよ、お嬢。稔にバレたんだ。他にも知られていると考えたほうが無難だ」

「抜いてないわよ!」

 とことん信用してないわね。あたしの稔叔父様の評価を。

 でも確かに稔叔父様が言わなくても、情報はどこから漏れるかわからない。

 久保田さんと角度は違うけれど、あたしも気を引き締めなおした。

 結局誰にも会わずに、食道の隣にある厨房のすぐ近くの壁に出る。そのまま厨房に入ると、そこには誰もいなかった。

 その中から天井裏にいく。そこから地下牢がある党に移るのだ。

 打ち合わせ済みだから、とくに久保田さんとの会話は不要だった。

 でも。

「想像したより汚いわね」

「厨房の煙全部吸ってるからな。これでもちゃんと掃除してあって綺麗なほうだ」

「げっ」

 これ以上汚いところを知っているということか。つくづく使用人の人には感謝だ。

「嫌なら帰れ」

「行くわよ」

 小声でもしっかりとあたしは答える。あたしが行かなくてどうするのだろう。

 いくつもあるコンロの上に飛び乗り、ガタガタと久保田さんは天井に取り付けられた蓋を開けた。

「こういうところに出入りしてんのに、その割に服は綺麗なままよね」

 今日は久保田さんも動きやすいデニム姿だけれど、いつもはスーツだった。

 てゆーか、あたしがいっぱいスーツの替えを用意してあげてたのに、毎日同じスーツだった……。

 見かねてあたしがそのことを指摘すると、インナーのシャツとか下着は替えてるからいいだろ?って偉そうに言われた……。

 んなのは当たり前よ!って怒鳴ったんだけど……。

「ああ。上に行くときはさすがにジャケットは脱いでた。あとここを通るのは初めてだ」

「……なんですって?」

 本当にこの人についていって大丈夫かしら?

 あたしは一抹の不安を覚えた。

「大丈夫だ。ここから地下に行けるのは間違いない」

 言ってる間にも蓋は開き、久保田さんは懸垂して上に登っていく。

 梯子(はしご)もないのに器用なものだ。

 感心していると、上から顔と腕が伸びてくる。

 ……間違いない。あたしもこうやって登らないといけないようだ。

「ちょっと!あたしが運動神経良かったことに感謝しなさいよ!」

「当たり前だ。それを見越しての作戦だ」

 微塵にも悪びれず、久保田さんは言う。

 もっとちゃんとここの部分を確認しておけば良かったわ。

 久保田さんを信頼しすぎちゃいけない。それを改めて知った。

 それでも今さら帰ることはあたしの頭にもなくて、仕方なく久保田さんの手を取る。

 物凄い力で引っ張りあげられる。あたしも少しは懸垂しないといけないと覚悟してたのに、あっさりあたしは上にいた。

(あら……)

 最初からちゃんとこの人、自分だけでもなんとか出来るっていう判断だったのだろうか。

 少し見直しかけたけれど、そのなかを見ただけでそんなことは払拭された。

 真っ暗で埃っぽくて何より狭い。これでは歩くことができない。

「ほら」

 茫然としているあたしの頭に、ダサくて昔ながらのライトを躊躇うことなく乗せると、さっさと久保田さんは先に行く。匍匐(ほふく)前進で。

(ああ!もう!)

 あたしは今までとは違う種類の覚悟を決める。

(うえーん。油っぽくって気持ち悪いよー)

 こんな姿で悠汰に会わなくちゃいけないんだ。

 なんだかそれが一番キツいものに感じる。

 あたしは肘と膝だけで支え、腕と脛は決して下に着けないように気をつけて進んだ。

 しかしその状態でいけるのも途中までだった。いきなり細くなり、あたしでも寝転がった状態ではないと通れない幅になったのだ。

「これで行き止まりだったらマジぶっ飛ばす」

「安心しろ。ここは地下の悪い空気も併せて外に出している構造だ。どこに通じてるかも把握している」

 つい怒りからボソボソ呟いたら、久保田さんに聞こえたようで、あちらもボソボソ返してきた。

 ちゃんと根拠があってやってることぐらいは解る。しかし愚痴りたくなる気持ちは止められない。

「言っとくが、ここ以外に道はないからな。好きでこんなところ選んだとか思うなよ」

 そこまで言われては文句も出せなくなる。仕方がないので黙って進んだ。

 しばらく行くと久保田さんが止まった。見えないけれど前の方でなにかしている。あたしには音だけが聞こえてきた。ガンガンと叩いているようだ。

 六回くらいで開いたようで、また久保田さんは前に行った。

 どういう仕掛けなんだろうか。

 あたしは通り掛かるときに、ちらりと見てみた。そしたら普通の一枚の衝立(ついたて)で、ただ単に立て付けが悪かっただけみたいだ。それでも黒いそれは一見行き止まりに見えて、先があるようには思わせない。煙が通るように穴が小さく開いているだけだった。

 そこを通り過ぎると久保田さんが言った。

「あっち側に別の道があるだろ?あそこを通ったときにここを発見したんだ」

 本当だ。同じ方向になるように遠くにも道が見えた。一瞬だけ隙間があって垣間見える程度だけど。

「こんなに空間だらけでこの家、耐震とか大丈夫かしら」

「そこはちゃんと考えてあるみたいだな。綿密に構成されてあるとしか思えないぐらい、肝要なところに柱がある」

「ならいいけど」

 久保田さんは、建築のことも詳しいようだ。

 不意に気づいたことがあった。少しずつだけど、下がっている。下り坂みたいになっていた。

「もう油っぽくないだろ。厨房の煙は全部上に向かっていってんだよ」

「………あ、本当だわ…………」

 いつの間にか地につけてもベタベタしない。

「にしてもなんでこんなに変な造りなのよ。なによ、このカーブは」

 下の方から強い風が吹いてくる。間違いなく作り物の風ね、これは。

「ここも逃走に使うんだろ。敵の手に堕ちて、牢屋に捕らわれたときに脱出するために」

「どこのお城の話よ、それ。昔話を読みすぎだわ」

「同意見とは意外だな」

「いちいちうるさいわね」

 一言が余計なのだ、いつも。

「ついたぞ、ここが地下の天井裏だ」

 最後は一メートルくらいの段差になっていた。

 もう距離が得られなかったのかしら。案外抜けてるわね。

 でも脱出には充分だ。本当に久保田さんの言うとおりの狙いなら。

 そこからまた細い道になって、同じようにもう一段降りた。そこから更に進み久保田さんが止まった。

「ここだ。もう声を出すな」

 ジェスチャーでそう言っていた。

 でもそこには先ほどのような蓋はない。でも何か手作業をしてそっと久保田さんが開けたようだった。光が漏れる。

 同じように続いていたのに、久保田さんの頭の中身はどうなっているのだろうか。すべてここの方向や部屋割りを把握している。

(さすが、と言うしかないわね)

 ここの人間よりもたった一ヶ月足らずでここまで把握できるとは。

 迷いなく久保田さんは飛び降りた。

 着地の音が小さい。

 あたしが続こうと除き込んだら、そこは拷問部屋だった。

 お祖父様が趣味で集めた道具が密集している。

(ほんと、悪趣味)

 何回見ても嫌な気持ちがする。ここにいる頃はしょっちゅうお祖父様に進言していたのに、まったく聞き耳を持ってくれなかった。

 あたしも飛び降りようとしたけど、久保田さんが手を伸ばしてきた。

 どちらが意外だろう。

 ちゃんとフォローはしてくれるのだから。喋らなければもっといい男だと思う、ほんと。

 そう思いながらあたしはゆっくり降りた。フォローが上手くて衝撃を感じない。

 だけどあたしが着地すると、さっさと自分は先へ行く。

(読めない)

 いろんな人格を持ってると冗談めかして言っていたけれど、仕事になると本当にそういうところが見えてくる。だからいまも仕事モード最高潮ってところだろう。

 考え込む時間もないので、あたしも続いた。だけど久保田さんが角のところで止まっている。

「久保田さん?」

「しっ」

 鋭く制止されて、でもその先を見せてくれた。

 ひとつの牢の前に護衛役の人が立っている。一番手前の向かい側。

 おかげであそこに悠汰がいるんだってすぐにわかった。

 確認すると久保田さんは少し中に戻る。そして小声で呟いた。

「まずいな。あんなところで立たれているとは」

 麻衣ちゃんの情報では、地下に降りるところにしか警備していないと言っていたのに。

 だからわざわざこちら側になるように、久保田さんも考えたんだろう。

 でもこれでは近づけない。

 あたしたちがここに来たことが完全にバレないようにすることが、これからの作戦にも生きてくるんだ。

(あと少しなのに)

 悠汰はもう、目の前にいるのに。

「迷っている暇はないな」

 少し考えたあと、久保田さんは決断したような顔つきをした。

「どうするの?」

「俺が戻って表で騒ぐ。ここまで聞こえるようにな。時間稼ぎしておくから、その隙にお嬢は悠汰と話せ」

「そんな……」

「それしかない。いまあいつを倒すことは簡単だが、ここにオレたちがいた証拠にもなってしまうから、それは避けたい」

「……捕まらないでよ、久保田さん」

 ここで久保田さんまでいなくなったら、あたしはもう打つ手がなくなってしまう。

 それだけじゃない。悠汰ならともかく、久保田さんはすぐにでも罰が与えられそうで、それも怖かった。

「当たり前だ。オレを誰だと思ってる」

 久保田さんはいつも通りの力強い言葉を残して、素早く上に戻った。そして一度もこちらを見ないまま、もう行ってしまったようだ。

 本当にスマートな対応で驚く。

 どれだけの想いをして、その術を身につけたんだろう。

 きっと生半可なものではないはずだ。

(だから悠汰も憧れるんだわ)

 見抜いていたんだ、悠汰は。あたしよりも久保田さんといた時間が長いから。

(喋らなければね)

 そこは間違いなくある。

 あたしはそう納得すると、気持ちを切り替えて角に身を潜めた。

 それから、騒ぎが聞こえてくるまで本当に長く感じた。

 実際には十数分だと思う。

 ここまで喧騒が伝わってくる。男の人の怒鳴り声と、それから銃声も何発か聞こえた。

 護衛役もただならぬものを感じたようで、予測どおり飛んで行く。

 心配する気持ちはあったけど、それよりも。

(悠汰!)

 満を持してあたしも飛び出した。

(!)

 だけど。

 あたしはすぐに立ち尽くした。

 悠汰はこちらに背を向けて、だけどちゃんとそこにいた。居たのだけれど。

 その背中が。

(どうしたの?)

 悠汰は耳を両手で塞いでいるようだった。

 そして、とても小さく、心細そうに見える背中。

 震えていた。

「悠汰?」

 あたしが声をかけると、ビクリとして。それからすごくゆっくり振り向いた。

「あ……」

 小さくもれる息。見開かれた目。

 とにかく、尋常ではないくらい驚いてるみたいだった。

「どうしたの?顔が真っ青よ」

 なにがあったの?そんなに辛い目に遭わされたの?

(あたしのせいで?)

 その考えに至って、あたしはいてもたってもいられなくなった。急いで悠汰の前まで駆け寄る。

 すると悠汰もギリギリまで近くに来た。

 そして手を伸ばして、柵ごとあたしを抱き締めた。とても、力強く。

「待って。あたし汚れてる……」

「いいっ!そんなんっ……全然いい!」

 どうしてあたしがここにいるのかとか、どうやって来たのかとか、そういうことが悠汰から吹っ飛んでいるみたいだった。

 柵が鎖骨に当たって痛い。

 だけど離れちゃいけないと本能で思う。だから少しだけ、すっぽりと悠汰に収まるようにずれた。そのまま手を中にいれて、悠汰の背中に回す。

 そしてもう一度呼びかけた。

「悠汰?」

「比路が……ここに来た。……さっき」

「なんですって?」

 毅叔父様の馬鹿。動いてくれるっていったのに、阻止しきれなかったようだ。

「それから京香も……。京香は……辛いのに、辛いままで……。比路は……なんとかしたくて、俺。余計なこと、言って……。そのせいで玲華が死ぬって……思って。……そしたら……」

 悠汰の喋り方は要領を得なかった。

 いや、それよりも。

 悠汰の呼吸が乱れている。時々すごく苦しそうな息の吸い方をする。

(過呼吸?)

 あたしが悠汰の過呼吸を実際に見たのは二度だ。学校と病院で。どちらもすごく苦しそうで、何度も何度も息を吸っていた。そしてどちらも、そのまま気を失うほどひどいものだった。

 でも今はそこまで壮絶なものは感じない。ちゃんと吐くこともしている。

(でもきっと、これも過呼吸だわ)

 小発作なのか、もう落ち着きかけているときなのか、それはあたしにはわからない。

 ……最近、起きていなかったのに。

 あくまでもあたしが知る限りは、だけど。

「落ち着いて。もう大丈夫だから」

 よくわからないけど、あたしはそう言った。

 たぶん、あたしのことでこうなってると思ったから。

「あたしは死なないわ。悠汰をおいて死なないから」

 なるべくたくさん悠汰の背中をさする。

 すると悠汰は、小さく消え入りそうな声で、うんって呟いた。

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