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チート召喚魔導士は、だいたいどこかで詰みかける。  作者: 月野みみ
第1章 はじまりの”言葉”

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EP5「マジ?(1)」


ミーナとシャルルは街の中を見て回る。


カラフルな装飾の店。

ガラス越しに、光るペンや動く人形が並んでいる。


ミーナが立ち止まった。


「シャルル、ここ何?

Toy Store...おもちゃ屋さん?」


「うん、魔道具おもちゃの店だね。」


「魔道具おもちゃ?」


二人でショーウィンドウに近寄る。


「これ、魔力で絵を描ける魔道具だ。」


ガラスの向こうで、空中に虹色の線が浮かび上がる。


「わっ……塗り絵みたい!」


少しだけ、ミーナの声が弾む。


「このペンは魔力の入れ方で色が変わる。

濃さも調整できるな。」


「何色出るの?」


「基本は5色だって書いてある。

高魔力者なら……10色くらいは出せるかも。」


「すごい!絶対はやるじゃん、これ!」


ミーナは、教室でそれを使っている自分を想像する。


「これ、リコにプレゼントしたら喜びそう。」


「リコ?」


「うん、中学の友だち。

高校離れちゃったけど、親友なの。

今週末も会おうねって……」


言葉が、少しだけ止まる。


ショーウィンドウの中の光が、ふわりと揺れた。


「……あ。」


ミーナは軽く笑う。


「そっか。

今週末とか、ないか。」


シャルルは何も言わない。

ミーナはガラスから目を離す。


「ま、いっか。」


少しだけ強がり。

ミーナは歩き出す。

シャルルが横に並ぶ。


「……欲しかったのか?」


「うん。でも買えないし。」


「値段以前に、通貨が違う。」


「うん。知ってる。」


しばらく二人は無言で歩く。


少し歩いたところで、店の匂いが変わる。

香ばしい匂い。

ミーナのお腹が鳴った。


ぐう。


「……」


シャルルが見る。


「……聞かなかったことにする?」


「マジむりかも。」


ミーナはレストランの前で立ち止まる。


「パン以外の何か、食べたいぁ。」


「湖に戻ればパンあるよ。」


「パン、いーがーいー!!」


「美味しいじゃん。」


「今朝も、昨日も、一昨日も。

ずーーーっとパン。

パン、いーがーいー!!」


沈黙。


「……お金、使えないよね。」


「君の世界のものは使えない。」


スマホもあの日からずっと止まったまま。

ミーナは店の扉を見る。

少しだけ、ため息。


「……だよね。

ここ、違う世界だもんね。」


声は落ちているけど、涙は出ない。

寂しいけど、泣いていても仕方ない。


そのとき。

店の扉が開いた。


“Do you want to come in?”


明るい声。

ミーナが顔を上げる。


「え?」


女性がこちらを見ていた。


“ It's rare for someone your age to be so reserved.”


「あ、そうか…」


シャルルと過ごしていたから忘れていた。


「この世界、英語だ。」


ミーナはシャルルを見た。


「僕は普通の人にはただの猫だからね。」


「えっ?」


「僕の声はただの鳴き声にしか聞こえてないよ。」


「マジか……えっと…

リザーブ…予約?違うかな?」


なんか違う気がして、ミーナは改めて女性を見た。


“Are you a fieldwork student?”


「えっと…Yes, I’m a student.」


何言ってるのかは理解できなかった。

でも、生徒かと聞かれたのは分かった。


“OK! Come in!”


手招きして、女性は店の中へ入った。

シャルルが遠慮なく続くから、ミーナもついていくしかない。



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「…おじゃましまーす。」


レストランの中はとてもいい匂いに満ちていた。

カウンター席とテーブル席のある、普通のお店。


お昼過ぎの時間なのに、デーブル席はほぼ埋まっていた。

人のいないテーブルにも、カウンター席にも食べた後のお皿が残っている。

きっと人気のあるお店なんだろう。


“Sit here!”


女性はカウンター席の一つを指さして言う。

ミーナはどうしていいか分からない。


「ねぇ、シャルル。」


「なに?」


「私…なんかヤバい感じにならない?」


「ならない。…たぶん、きっと?」


“Come on!”


女性は変わらず笑顔で呼ぶ。


「うん!どうにでもなれってことで!」


ミーナは女性の笑顔を信じてカウンター席に座る。


“Emma, take this to table 5, please!”


厨房の奥から男性の声が聞こえた。

カウンターの一段高くなっている部分に、出来立ての料理が乗せられた。

それを横目にミーナは言った。


「それに、マジでお腹空いたし!」

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