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チート召喚魔導士は、だいたいどこかで詰みかける。  作者: 月野みみ
第1章 はじまりの”言葉”

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10/24

EP9「いけてる?(3)」


その日最後のお客さんが店を出て、

片付けが終わると、エマさんに声をかけられた。


“You did really well, Mina.”


「Thank you!」


スープを目の前に出された。


”はい、どうぞ。”


「えっ?」


“食べて!”


エマの言葉が、いつもよりはっきりと分かった。


「…気のせい?」


「気のせいじゃないよ。

前に言ったじゃん、そのうち君が理解できる形に変換されるって。」


ミーナは言葉が分かるようになったことに少しホッとした。

自分のお皿を受け取って、テーブルへと運んだ。

大きなテーブルに3人で座ると、シャルルもイスに座って丸くなった。


食べている間、エマは今日の働きをほめてくれた。


“Your spell was great!”


「ありがとうございます。」


アーサーもうんうんと、感心したように言った。


“That was my first time seeing someone use spells!”


「first time...はじめて?」


なにが「はじめて」なのかは聞き取れなかった。

一対一の会話は理解できることが増えてきた。

でも複数人の会話はまだ分からないことも多い。

それでもミーナはなんとか会話に参加しながらスープを口に運ぶ。


ミーナは、ふと気づく。


(……久しぶりだ。)


誰かと一緒に食べるごはん。

自分の世界では当たり前だった時間。


今は、少しだけ特別だ。


「……美味しい。」


エマが笑う。


"一生懸命働いたからだね!"


言葉の分からない世界で無我夢中で働いた。

でも、それだけじゃない。

ミーナは少し考えて言う。


「And because I'm eating with you, Emma and Arthur!

エマさんとアーサーさんと一緒だからです!」


イスの上で丸まっていたシャルルが鳴いた。


「Of couse with you too, Charles!

もちろんシャルルもね。」


みんなが笑顔になる。

ミーナにとってまた一つ、この世界が日常になった。


エマがミーナを見ながら、ふと思い出したように言う。


“By the way, what level is your Magic Power?”


「え?」


”You cast spells so natually, your Magic Power should be high!”


ミーナは首をかしげる。

今のは全く分からなかった。


「Magic Power...レベル?」


”Oh...magic power、分からないのかい?”


「I don't know.」


”ミーナ、charch、教会に行ってごらん。”


シャルルがスープ皿をぺろりと舐めながら言う。


「教会か、そういえばまだ行ってなかったね。」


シャルルはまたスープに戻る。


”教会は街の中心にあるからすぐ見つかるさ。”


アーサーから教会の場所を聞いて、ミーナは考える。


「街のことも知りたいし……I'll go!」


シャルルが小さくうなずく。



----------------------------------------------------------------------------



自分たちが使ったお皿も全て洗い終え、お店が完全にしまる。

ミーナは扉の前で振り返っておじきする。


「今日はありがとうございました。

明日も、よろしくお願いいたします。

I'll also do my best tomorrow!」


エマが首をかしげる。


”どこ行くんだい?”


「湖の小屋に戻ります。

Back to the lake, my house.」


”夜道は危険だよ。”


さらりと言う。


”上の部屋を使いなさい。”


「えっ。」


ミーナがシャルルを見る。


「どうしよう、シャルル?」


シャルルが目を細める。


「だいたいきみ、早起きできるの?」


「……」


にやぁお。


"See?

シャルルも眠いみたいだしね!"


シャルルの言葉はエマには通じてない。

でも早起きに自信がないミーナは、シャルルに同意するしかなかった。


"Come with me!"


エマの手招きについていって、木の階段を上る。

小さな部屋。

ベッドと机とイスと服をかけるハンガー…それぐらいしかない。

ミーナはベッドに座る。


「……なんか。」


「なに?」


「今日、いっぱいあったね。」


シャルルは窓辺に飛び乗る。


「まだ三日目だよ。」


「だね。」


ミーナは少し考えて、笑う。


「初めはヤバいって思ったけど、なんとかなってる!

英語も…前よりわかる!」


シャルルは小さく目を細めた。


「…またすぐヤバくなる、だろ?」


2人は声を上げて笑った。

ランプの光が、やわらかく揺れる。

ミーナは横になり、天井を見る。


知らない世界。

知らない街。

知らない部屋。


でも。


少しだけ、怖くない。


「おやすみ、シャルル。」


「……おやすみ、ミーナ。」

ここまでお読みいただいて、ありがとうございます。

初めてのブックマークを頂きました。

この感動は言葉では言い表すことができないものなのですね。

本当にありがとうございます。(2026.0305)

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