prologue「言の座」
静かな光に満ちた空間――“言の座”。
揺らぐ光の中、四柱の神々が集っていた。
エスピラは、満面の笑みで両手を広げる。
「というわけで、もう召喚の準備、できてるから!」
「えっ、えええっ!?」
テリオンが目をまん丸にした。
「ちょ、ちょっと待ってください、エスピラ様!
本当に……本当に大丈夫なんですか……!?
もっと慎重に、審査とか、吟味とか、そういうのを――」
「いいのいいの! こういうのは勢いが大事!」
エスピラはケラケラ笑う。
「ピンときたんだよ。“この子なら、絶対面白い”って!」
クロネルが、ふわりと微笑んだ。
「あら……面白そうじゃない。
この世界に、どんな言葉を紡いでくれるのかしら。
――少し、楽しみね。」
ノエシスの低い声が、静かに響く。
「……選んだ者には責任がある。
その覚悟、忘れるな。」
エスピラは親指を立てた。
「もちろん! ちゃんと面倒見るって!」
テリオンが、まだ不安げに言う。
「で、でも……その子って……
“英語が得意”なだけなんですよね!?
本当に、呪文世界でやっていけるんでしょうか……っ?」
エスピラは、にっこりと笑った。
「だいじょーぶ。
“得意”なら上等だよ!」
クロネルが目を細める。
「“得意”と、“生きるための言葉”は、別のものよ。
それでも…きっと彼女なら何かを見つけられそうな気がするわ。」
ノエシスが静かに告げる。
「言葉は、知っているだけでは意味を持たぬ。
今、この世界では、言葉は”道具”としてしか使われていない。」
「だから呼ぶんだよ!
言葉を”使う”子じゃなくてーー」
エスピラが中央の光に手を伸ばす。
「言葉で”生きている”子を!」
テリオンはまだ不安そうにする。
「だからといって、いきなり異世界から人を召喚するなんて!」
エスピラは止まらない。
「彼女が、自らの内に“生きた言葉”を育むかどうか――
それを見届けようじゃん!」
エスピラがパチンと指を鳴らした。
光が満ちる。
「さあ――ミーナ・アカヅキ、
こっちへおいで!」
はじめまして、月野みみです。
言葉と魔法をテーマにした物語です。
楽しんでいただけたら嬉しいです。




