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千物語  作者: 松田 かおる


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5/8

アクトレス

今日、これから私は結婚式を挙げる。

でも、この結婚はあまり祝福されていない結婚でもある。

なぜならこれは「略奪婚」なのだから。




元々私には別の婚約者がいた。

だけどその彼から私を、今の夫となる男が奪ったのだ。

それこそ「カネの力」を最大限に利用して、ありとあらゆる手段で元婚約者との間を壊し続け、最終的に彼から私を奪ったのだ。


噂に聞いた話では、その後の彼はそれはひどい有様だったそうだ。

心身ともに、そして社会的にも痛めつけられ、もう人として再起不能になるのでは…と言われたくらいだったけど、なんとか持ち直してギリギリ生活を送れる状態に戻っているとのことだった。


その話を聞いて私は確信した。

『やっぱりカネの力はすごい』と。

どんなにきれいごとを並べても、それは理想論にすぎない。

結局最終的には「カネの力」がモノを言うのだ。

「カネの力」の前に人生を歪められた有様を目の前で見せつけられた私は、最終的に夫となる男に略奪される道を選んだ。

やっぱり「カネの力」は、何ごとにも代えがたい力になるのだ。




『私が元婚約者を捨てた』という話はあっという間に周りに広がり、昔からの友人たちはみんな揃って私をなじり、責め、そして去っていった。

だけど私は、そんなことは一向に気にしていなかった。

「友情」など、「カネの力」の前では取るに足らないことなのだ。

私は「友情」よりも「カネの力」が欲しいのだ。


両親も夫となる男のカネの力に目を眩まされてしまったのか、最終的に私の結婚に賛成はしてくれた。

別に両親に反対されたとしても、こちらから縁を切ってしまってもいいくらいだった。

ただ、式に「新婦の両親」がいないと何かと面倒なので、縁を切るようなことがなくなったのは助かった。




控室のドアをノックする音がした。

迎えが来た合図だ。

「…よし」

私は鏡をもう一度見て、控室を出る。


式場の入口には父がいた。

一緒にバージンロードを歩くためだけど、少し複雑な表情だった。

式場の扉が開き、バージンロードの先には夫となる男が私を待っている。

彼は嬉しそうに私を見ている。

それはそうだろう、文字通り湯水のようにカネを使って私を略奪したのだから。


だから私も彼の妻となったら、「カネの力」を存分に使わせてもらおう。

元婚約者にしたことへの復讐をするためだけに。


そして私は、友人を捨て、そしてこれからの私の人生すべてをかけ、誰が見ても非の打ちどころのない「良妻の私」を演じ続けよう…

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