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千物語  作者: 松田 かおる


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3/8

「好き」を伝える

僕には一つ悩みがある。

付き合っている彼女が、「本当に僕のことを好きなのか」がよく解らないでいるのだ。

彼女はいわゆる「クール系」とでもいうのだろうか、感情の起伏や表現がちょっと乏しい感じで、よく言えば「落ち着いた雰囲気」なのだけれど、裏を返せば「何を考えているのかよく解らない」のだ。

だからという訳ではないけれども、僕は彼女にいつも「好きだ」と自分の気持ちを伝えている。

彼女はその言葉を聞いて、

「ああ、ありがとう。私も君が好きだよ」

と返してはくれるのだけれど、なんというか「淡々と返事をしている」感じが拭えないのが正直なところだったりする。


もちろん、彼女の「好きだ」という気持ちは本当だと思う。

でも、たまには感情のこもった「好き」を伝えてもらいたくなる。

そこで僕は、色々と試してみることにした。

メール、電話、面と向かって。

我ながら少し恥ずかしくなる表現で彼女に「好き」を伝えてみた。

だけどどれも

「ありがとう。私も君が好きだよ」

という、いつもの反応が返ってくるだけだった。


こうなると、なんとかして彼女の感情たっぷりの「好き」を聞きたい。

そんな気持ちが止まらなくなってしまった。

ちょうど彼女の誕生日も近いので、僕はあることを考えて実行することにした。




「…これは一体、何の真似だい?」


彼女の誕生日。

デートの食事が終わるタイミング。

彼女は半分呆れた口調で僕に言った。

-そりゃそうだ、普通は呆れるよなぁ…-

そんなことを頭の片隅で考えながら、彼女の冷めた視線を正面から受け止めていた。

一体彼女は何に呆れているのか?

あろうことか僕は「フラッシュモブ」を使って、彼女に誕生日プレゼントを渡したのだ。


「…僕の『好き』がちゃんと伝わっているのかな…って」

おっかなびっくりに僕が言う。

「ちゃんと伝わっているよ」

彼女は答える。

「でも、きみはいつもクールな反応ばかりだから、ちゃんと伝わっているのかな…って気になってさ…」

「それならそれで、そう聞けばいいじゃないか」

「でも、いちいち聞くのもおかしいし…」

「…」

会話が止まる。


彼女が軽く溜息をつくと、

「ふむ…私の責任でもあったのか…それはすまなかったね」

彼女は少し申し訳なさそうに言った。

「いや、僕がそんなことを考えたりす…」

僕が反論しようとした瞬間、僕の口は彼女の唇で塞がれた。


しばらくして唇を離すと、彼女は

「これで解ってもらえたかな?」

と、にっこりと笑いながら僕に聞いてきた。

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