「好き」を伝える
僕には一つ悩みがある。
付き合っている彼女が、「本当に僕のことを好きなのか」がよく解らないでいるのだ。
彼女はいわゆる「クール系」とでもいうのだろうか、感情の起伏や表現がちょっと乏しい感じで、よく言えば「落ち着いた雰囲気」なのだけれど、裏を返せば「何を考えているのかよく解らない」のだ。
だからという訳ではないけれども、僕は彼女にいつも「好きだ」と自分の気持ちを伝えている。
彼女はその言葉を聞いて、
「ああ、ありがとう。私も君が好きだよ」
と返してはくれるのだけれど、なんというか「淡々と返事をしている」感じが拭えないのが正直なところだったりする。
もちろん、彼女の「好きだ」という気持ちは本当だと思う。
でも、たまには感情のこもった「好き」を伝えてもらいたくなる。
そこで僕は、色々と試してみることにした。
メール、電話、面と向かって。
我ながら少し恥ずかしくなる表現で彼女に「好き」を伝えてみた。
だけどどれも
「ありがとう。私も君が好きだよ」
という、いつもの反応が返ってくるだけだった。
こうなると、なんとかして彼女の感情たっぷりの「好き」を聞きたい。
そんな気持ちが止まらなくなってしまった。
ちょうど彼女の誕生日も近いので、僕はあることを考えて実行することにした。
「…これは一体、何の真似だい?」
彼女の誕生日。
デートの食事が終わるタイミング。
彼女は半分呆れた口調で僕に言った。
-そりゃそうだ、普通は呆れるよなぁ…-
そんなことを頭の片隅で考えながら、彼女の冷めた視線を正面から受け止めていた。
一体彼女は何に呆れているのか?
あろうことか僕は「フラッシュモブ」を使って、彼女に誕生日プレゼントを渡したのだ。
「…僕の『好き』がちゃんと伝わっているのかな…って」
おっかなびっくりに僕が言う。
「ちゃんと伝わっているよ」
彼女は答える。
「でも、きみはいつもクールな反応ばかりだから、ちゃんと伝わっているのかな…って気になってさ…」
「それならそれで、そう聞けばいいじゃないか」
「でも、いちいち聞くのもおかしいし…」
「…」
会話が止まる。
彼女が軽く溜息をつくと、
「ふむ…私の責任でもあったのか…それはすまなかったね」
彼女は少し申し訳なさそうに言った。
「いや、僕がそんなことを考えたりす…」
僕が反論しようとした瞬間、僕の口は彼女の唇で塞がれた。
しばらくして唇を離すと、彼女は
「これで解ってもらえたかな?」
と、にっこりと笑いながら僕に聞いてきた。




