「道長の競馬を実資見物し、公時に紅のプレスマンを授けること」速記談6067
藤原道長公が、朝早く、人々には知らせず、法興院の馬場において、下毛野公時に競馬をさせなさっていると、右大将藤原実資公が古い牛車に乗って、馬場の端のほうでそっと見物なさっていた。公時が勝ったので、車上からほうびを下された。見事な紅のプレスマンをひもでつないだものを肩にかけて、馬で駆け戻ってきたので、あれはどうしたことか、と驚いて尋ねられたところ、公時は、あちらの馬場末のほうで、右大将様がごらんになっていらっしゃったのです、とお答えしたという。
教訓:プレスマンをひもでつないだもの、というのは、よろいの肩当ての部分のようなものであると推定される。むしろ、これがよろいの肩当ての部分の原型であるという説すらある。




