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くしゃみで勇者を炙った件について

異世界転移から、今日でちょうど一週間。

あいかわらず俺はツッコミだけで生きている。


 


名前はイチノセ・レンジ。

元・司法浪人、現・異世界で“弁論術士ルール・ロジシアン”をやっている。

要するに、この世界の裁判で屁理屈をぶん投げる専門職だ。


 


異世界っていうと、普通は剣とか魔法で戦うイメージだろ?

だがここでは、すべての争いは「裁判」で決着をつける。

ルールは絶対。契約は神の名のもとに。言葉が武器で、屁理屈が魔法。


 


だから俺は、剣も魔法も使えないけど──

ツッコミだけで毎日命がけだ。


 



 


「お願いだ、人間! 弁護を引き受けてくれ!」


 


そう言って俺の事務所の壁をぶち破って現れたのが、ドラゴンだった。


 


「入ってくる時にノックしろォォォ!!」


「壁にノックする概念はないッ!」


「そもそもドアがあるのに何で壁から来た!?」


「つい、くしゃみが……」


 


なるほどね?

物理的にも社会的にも破壊力すごいな、くしゃみ。


 


 


「で? なんで俺に弁護を頼む気になったんだ?」


「うむ。噂に聞いたぞ。屁理屈だけで無罪を勝ち取る男と」


「やめろ、その言い方だと詐欺師みたいだから!」


 


とにかく話を聞くに──どうやらこいつ、

“くしゃみ”の勢いで火を吹いて、たまたま通りがかった勇者を炙ったらしい。


 


「当たり所が悪くて、髪が──ほんの少し──チリチリに……」


「いやおまえ、勇者の命より髪の毛の心配してるのか?」


「だがあれは事故だ! 花粉のせいだ!」


「何の花粉だよ。ドラゴンに花粉症あんの!?」


 


 



 


──というわけで、

俺は今、火を吹いたドラゴンの弁護を引き受けている。


次の裁判の争点はひとつ。


「くしゃみで火を吹くのは、果たして罪なのか?」


 


答えはまだわからない。


でもこの世界で無罪を勝ち取る方法はひとつしかない。


屁理屈で、ねじ伏せるんだ──!

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