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【8月6日電子書籍配信】辺境伯一家の幸せ家族計画【コミカライズ準備中】  作者: 氷雨そら


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婚約と王家と辺境伯一家 2


 楽しく踊って疲れたのか、ミッシェルは途中から踊りに混ざってきたジェフとレイと一緒にお昼寝している。


 ルネッタは王太子の婚約者教育の一環として、城へ行った。


 ウェンディは『参加する』と決めた社交に関する手紙が収められた箱の一番上にのせられた手紙を手にする。


「これだけは、すぐにディル様に相談しないと」


 日付は三日後……準備が間に合うかどうか。

 ディルが帰ってきたので、ウェンディはその手紙を手に彼を出迎える。


「お帰りなさいませ、ディル様」

「ただいま、ウェンディ」

「あの……相談があるのですが」

「もちろん、では部屋で待っていてくれるか?」

「はい」


 しばらく夫婦の部屋で待っていると、制服からシャツとトラウザーズというくつろいだ装いになったディルが入ってきた。

 ウェンディは立ち上がり、ディルに手紙を差し出した。

 封筒に押されているのは王家を現す封蝋だ。

 それを見て、ウェンディが急いでいたわけを察したのだろう。

 ディルは手紙を読み始めた。


「そろそろとは思っていたが、陛下もお人が悪い」

「聞いていらっしゃらなかったのですか?」

「今日もお会いしたにもかかわらず……これは、君に興味があるという意味だな」

「そうなのですか?」


 ウェンディは淡い紫色の目をパチパチ瞬かせた。

 確かに、元聖女である彼女のことは気になるかもしれない。

 けれど、ウェンディが思うよりディルの表情は深刻だ。


「――ジェフとレイだけでなく、ミッシェルも一緒に招待されています」

「そのようだな……直接俺に言えば断られると予想したのか」

「陛下のお誘いを断る……ですか?」

「打診の段階であれば断ることもできただろうが……」


 陛下の誘いを断れる者など、この国の貴族にはディルの他にいないだろう。

 学べば学ぶほど、バルミール辺境伯家の立ち位置は独自のものだということが理解できる。

 王国の一員でありながら、王国より長い歴史と独自の文化を持ち、ある意味では独立した立ち位置にある。それがバルミール辺境家なのだ。


「――それでも、ルネッタがお嫁入りするかもしれないのです。行くべきです」

「君の考え方はシンプルでわかりやすいな。しかし、その通りだ」

「でも、三日となると準備が……」

「予想はしていたから、装いは問題ない」


 ディルの言葉通り、家族全員お揃いの服が用意されていた。

 しかし今回も、彼の服だけが準備されていない。

 ウェンディは一緒に準備すれば良かったとため息をつきかけたが……。


   * * *


「ふふん、抜かりないわ」


 王城から戻り、ウェンディから相談を受けたルネッタは自慢気に胸を反らした。


「お兄様が申し込んでいたデザイナーに、お兄様の分の服も頼んであったもの!」

「さすがです、ルネッタ!」


 ディルはいつも通り辺境伯騎士団の正装で行くつもりだったようだ。

 しかし、家族お揃いであることに並々ならぬ情熱を持つルネッタにより、今回も一家お揃いの服装で王家主催のお茶会参加が決定するのだった。

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