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ガンギマリズム  作者: 九空のべる(旧:ジョブfree)
第一章「便利屋のやべーやつ」
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9-1.会敵!街中での乱闘!


昨日のリンチの影響はどこへやら、漆紀は事務所を出て街を歩き商店街にあるラーメン屋に辿り着いた。魚介ラーメンを推しているラーメン屋で、吹っ切れた甘みが旨いラーメンゆえ漆紀は気に入っていた。

(ゾクどもなんかにラーメンの良し悪しなんかわかんねーだろうなぁ。味の濃い薄いとか、しょっぱい甘い辛いとかそんな程度だしここには……)

ここにはいない。そう確信していた漆紀であったが、店内に入りカウンターに視線を移した瞬間に硬直した。

「えっ……?」

ラーメン屋には一般客も数人いるが、圧倒的に暴走族の者が席を占めていた。彼らが着る黒い特攻服の袖には銀色の刺繍で「夜露死苦隊」と堂々と書かれていた。

「あっ、例の便利屋……」

「ソイツじゃねえか!」

「おい! お、コイツ!」

彼らの反応からして間違いなく「夜露死苦隊」の暴走族だと漆紀は理解出来た。同時に自分の面が割れていて、下っ端らしき構成員にまで情報が行き渡るほど彼らが必死なのも理解できた。

(逃げよ)

漆紀が踵を返してラーメン屋から出ると、店内からは怒号が聞こえる。夜露死苦隊の「追うぞ」という言葉だけでなく店主の「金払え!」という至極尤もな声も聞こえるが、直後に「黙れ店潰すぞ!」と聞こえると店主の声は止んだ。

ラーメン屋から商店街の路上に出た漆紀は元来た道を引き返す。

「おいおいおいなんであいつらココに居んだよクソ!」

漆紀は必死に走るが、夜露死苦隊はバイクに乗る時間も惜しいのか一刻も早く漆紀を捕まえるべく己の脚で全力疾走して追って来る。

「てめえ便利屋だな待てコラァ!」

追手の夜露死苦隊の構成員達は9人で漆紀を追って来ていた。

(逃げてどうすんだ、なんで俺が逃げなきゃいけない! ムカついてきた!)

漆紀は振り返って追って来る夜露死苦隊を見据える。

「二度と関わるなって言ったのにコレか馬鹿どもぉぉぉぉおおおおお!!」

怒りを露わに叫びながら漆紀は先頭の男に向けて走り出し、距離が僅か4mほどの距離になると漆紀は飛び上がって両脚を振り上げピンと真っ直ぐに張った。

「ボグッ!?」

先頭の男の顔面に漆紀のドロップキックが勢いよくぶち当たった。先頭の男が斜めに倒れ、漆紀は受け身を取ってすぐに立ち上がる。ドロップキックからの受け身の際、手の平を強く打ちジンジンと痛むが後続の夜露死苦隊を睨み拳を構える。

「調子乗ってんじゃねえぞカタギごときがぁ!」

夜露死苦隊の男達がタイミングなど合わせぬままに殴りかかって来る。

「こんのぉ!」

近くに停められている自転車を掴んで夜露死苦隊の男達に向けてぶん回す。

「近づくんじゃねぇ! 俺に関わるなって昨日言ったばっかだろうがよぉぉぉおおお!」

激怒しながら漆紀は自転車を夜露死苦隊の男達の顔面目掛けて力一杯ぶん回す。

「うげっ!」

「痛ってェなコラ!」

ジャイアントスイングの要領で自転車を振りながら何度も漆紀は回転し、夜露死苦隊を寄せ付けないようにする。

(次はどうする!? このままあと何時間もジャイアントスイングなんてしてらんないぞ! どうする……どうする……)

「お前ら、突っ込め!」

他の構成員と違って金色の刺繍がされている特攻服の男が突撃命令を下す。おそらくはあれが隊長なのだろう。

「あっ! 私の自転車!」

恐らく自転車の持ち主であろう主婦が、この場に戻って来たのだ。その一声を聞いて夜露死苦隊の者達の視線が一瞬主婦の方に向く。

(今だ!)

隙を見た漆紀は隊長目掛けて自転車を放り投げた。

「痛てッ!」

自転車をぶつけられた隊長は後ろに倒れて怯むが、他の構成員達が顔を真っ赤にして襲いかかって来る。同時に主婦が「なんでー!?」と嘆く声も聞こえてくる。

「やべっ」

漆紀はすぐさま逃げ出し、近くに利用できそうな物を探す。

(だめだ武器になりそうなモンがない! また袋叩きに……ふざけんなクソ!)

恐れて逃げ出したかと思えば、再び怒りが湧いて当たって砕けろと言わんばかりに向き合う。

「ふざけんなよクソがああぁぁぁああああ!」

ドロップキックはしない。助走をつけ、真正面から先頭の男の顔面へ拳を突き出した。

「ボグッ!」

「てめっコラーッ!」

「くたばれ!」

とはいえ、素人の漆紀が集団相手に素手で勝てるわけがなく、最初に倒した構成員と先程倒れた隊長は除いても他の7人が袋叩きにして来る。

周囲の通行人も喧嘩が始まったと知ると、警察に通報する事をせずそそくさと逃げ去っていく。

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