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VS光ヶ浜透流2

 透流さんを見た僕はすぐさま《劫心》を発動した。指向性を持った爆発が透流さんを頭上から襲う。しかし別れた波の一部が不自然に盛り上がり、爆発を防いだ。

「んな単純な攻撃が俺に通用するわけないだろ」

 透流さんが右腕を伸ばし、手で拳銃を形どる。その銃口は真っ直ぐ僕を狙っている。波が持ち上がり、透流さんの右腕に巻き付き、その指先までを覆う。

「《撃水(うちみず)》」

 その銃口からウォーターカッターのような勢いで海水が撃ち出された。僕は海面を滑るようにジグザグに飛行する。《撃水》は海面を斬り裂きながら僕をどこまでも追ってくる。透流さんが乗っている波、ひいてはその下の小さな海と言ってもいいほどの膨大な海水から補給され続けているのが見えた。

「残弾はほぼ無限か。……これをやるのも久しぶりだな《小爆連鎖》」

 僕は《撃水》をかわしながら透流さんのすぐ目の前に意識を集中する。小さい殺気の星が次々と現れ、順々に爆発していった。

「だーから効かないって」

 波の一部が素早くその爆発から透流さんを守る。しかしその小規模な爆発は一度では終わらない。次々と発生する爆発が透流さんの視界を塞ぐ。同時に僕は直角に進行方向を変えた。

「おっと……?」

 僕が進んでいた方向を《撃水》が追っていくが、そこに僕はいない。

「《劫心・閃》……ダメかッ!」

 〈操〉で衝撃波を一点に絞り込むのが上手くいかず、《劫心・閃》は暴発してしまった。さっきは極限まで集中していたから発動できたのだろう。

 透流さんは波を滑り降りて《小爆連鎖》から逃れる。殺気術を暴発させてあらぬ方向に《劫心》を放っている僕を見て、声を上げて笑った。

「ハッハッハッ、ぶっつけ本番が二度うまく行くほど、現実は甘くないってことさ。《撃水・群》」

 透流さんが僕に手を伸ばす。確かに殺気術を発動した感じはあったのだが、何も起きない。

 ……いや、周囲のいくつかのポイントで海水が凝縮されているッ!

「遅いぜ」

 海中から放たれた何本もの《撃水》が僕の全身を纏う殺気に突き刺さる。〈剛〉の出力を最大にして耐えるが、《撃水》に終わりはない。抜け出さなければ延々と殺気を削られ続ける。

「《爆心》、《劫心掌・翔》っ」

 最速で発動できる《爆心》を自分の身体を中心に発動。直後に上空に飛び上がって避けたが、僅かに間に合わなかった。攻撃したせいで薄くなった〈剛〉では防ぎきれず、左すねから土踏まずまでを貫かれる。

「うっぐ、痛っ……!」

「まずは片足か。俺の《撃水》はいつまでも追い続けるぜ?」

 空中にいる僕を狙ってウォーターカッターが縦横無尽に走り回る。周囲のビルや信号機、センター街の看板などが切断されて海水の中に落ちた。

「……一応言っておくが、俺の《撃水》は初期技みたいなもんだからな?」

 気がつくと進行方向に波の壁が見えた。僕を囲うように左右にも同様の壁がある。

「《海喰い》」

 それはまるで巨大な怪物の顎に飲み込まれるかのようだった。

 

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