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「アンナリーゼ様、お気をつけて……」


今日はレンブラントとお茶をする約束をしている為登城しなければならない。侍女達に見送られてアンナリーゼは馬車へと乗り込んだ。


馬車の窓から外を覗くと、侍女達は皆一様に心配そうにこちらを眺めている……予々思っているが、どうも自分の周りの人間は過保護過ぎる気がする。公爵家の1人娘故仕方がないのかも知れないが、たまに疲れてしまう。


「そんなに心配しなくてもいいのに……」


城は目と鼻の先と言っても過言ではない。歩いた方が早いのでは?と思う距離だ。何しろほぼ隣だ。


やはり婚約した11年前の事だ。公爵家の屋敷は元々王都の外れに建っていたのだが、レンブラントの一言で公爵家は引っ越す羽目になった……。


『アンナリーゼに会えない時間か辛い。僕のもっと近くにいて欲しい』


これだけの事で、城の真隣には元の屋敷よりも更に立派な公爵家の屋敷が建設された。無論前代未聞だ。ありかなしかと問われたら、普通ならなしだろう。だが彼はありにしてしまった。横暴というか、強引というか……。


考え事をする暇もなく、馬車は城門へと到着した。










「レンブラント様、遅くなり申し訳ございません」


まだ約束の時間は過ぎていないが、レンブラントは既に席に着いていた。王太子である彼を待たせるなど失礼にあたる。だが、アンナリーゼがどんなに早めに到着しようとも彼はいつも先に席に着いて待っている。


以前思い切って一刻も早く来た事があった。だがどういう訳か、レンブラントは席に着いてアンナリーゼを待っていたのだ。流石にあの時は驚愕して、暫し立ち尽くしてしまった。


……一体どうなっているのかしら。未だに分からない。


「君は本当に律儀だね、アンナリーゼ。まだ約束の時間は過ぎてないんだから謝る必要などないのに。まあ、そんな所も可愛くて仕方ないんだけどね」


「ありがとうございます……」


アンナリーゼはレンブラントから爽やかな笑みを向けられ、頬を染めた。実は彼、かなりの美男子だ。女性ならば誰しもが、胸をときめかせるだろう。


「さあ、お茶にしようか。そうだ、アンナリーゼ。この菓子、新作なんだ。この前君が食べてみたいって話してたから作らせたんだ」


それはまさかの……お菓子の城だった。テーブルに収まるギリギリに置かれたそれは、かなり大きい……。


よく見るとティーセットは急遽用意されたであろう他のテーブルに置かれていた……。


確かに先日話した。絵本に出てきたお菓子の家が食べてみたいと。嘘ではないが、まさか本当に用意するなんて……彼はこういう人でした。


アンナリーゼは戸惑いながらも、席に着くのだった。





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