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『やゆよ』

や『夜叉ヶ池・天守物語(泉鏡花)』

ゆ『夕凪の街 桜の国(こうの史代)』

よ『妖怪ビジュアル大図鑑(水木しげる)』


* * *


 好きだ(心底)

 泉鏡花はね~、日本の作家の中で一番好き! 群を抜いて好き!

 何なんでしょうね、めたくたにいかがわしい、妖しい、美しい人外! (あやかし)! みたいな話が多いのに、不思議とえげつない感じがしない(自分個人の感想ですが)どっかすきっと澄みきって、透明感があるんですよね。

 鏡花は随筆(ずいひつ)も好きなんですよ~、何て言うか……可愛い(断言)割といじられキャラっぽい感じで、さらさらっと奥さんとの仲良しなやりとりを書いちゃったりして、そして水場と蛇が怖い。鍋は食中毒が怖いからぐったんぐったんに煮くたして食う。ちなみに生煮えのまま作家仲間ががんがんハシをつけるんで、自分の食べるしおがなくなって「こっからこっち私の陣地ね!」って鍋の中にネギで境界を引いたという……可愛い(確信)

 いやいや、本の感想ですよね! 失礼! ついつい萌えがあふれ出して、筆がすべりまくってしまいました!

 正直泉鏡花の話は、何を読んでても甘くざわざわした気持ちでいっぱいになるんですが……。今回は「夜叉ヶ池 天守物語」という戯曲二本立てをセレクト。昔は夜叉ヶ池の方が好きだったんですが、今は甲乙つけがたい! なぜなら! 今は手元に「天守物語」の映画のDVDがあるから!

「お前それこそ本の感想じゃねーだろーが!!」と突っ込まれそうなんですが、映画について多めに語っても良いですか……! なんせ! あの! 歌舞伎の花形女形、坂東(ばんどう)玉三郎(たまさぶろう)様が監督! 主演! そして泉鏡花が原作! 自分天国の香りしかしない(じゅるり)

 でも正直、原作を読む限りではあんまり好みの作品ではなく……(ちょっとオチが尻切れトンボな印象があり……)「まあ、いっぺん観てみるか」ぐらいの気持ちで購入したんですけどね。

 開始五分で「すいません軽く見ていたわたくしをお許し下さい(土下寝)」くらいの心境に。ちょっと待って主人公の富姫(とみひめ)(もちろん玉三郎様)がちゃんと出てくる前に、何ですかおつきの御女中さま方~! 優雅! 上品! それでいてどこかしらほのかに妖しげで妙に色気があっていかがわしい! ちょっともし奥女中の(すすき)さん! どっからどう見ても「おばあちゃん」ってくらいのお歳でいらっしゃるのに、何ですかそのとろけちゃうほどの品の良さとほのかな色気とああもう! 自分の貧しい語彙力が恨めしい!!

 ……って具合にもう初手から萌えカウンターが針ふり切れて破損。その後豊姫さまがご登場なすって、訪ねてきた妹分の「亀姫(かめひめ)(この方は宮沢りえさま)」ときゃっきゃうふふと仲睦まじくじゃれ合うくだりは、「俺はもうダメだ……口から砂糖噴き出して死んじまう……だがな……正直、まったく悔いはねえぜ……」状態に。

 後半豊姫さまのだんな役にあたる「姫川(ひめかわ)図書之助(ずしょのすけ)(若き宍戸開さま)」が出てくる頃には、妖しいほどに美しい女性(にょしょう)祭りは終わってるんですが、またこのね! 図書之助さまの御声がね! ぴんと張った若々しくも男らしい声音だなあと思いきや、要所要所で富姫さまに甘えてすがりつくように、何とも母性本能をくすぐるような声音にふっと変わるんですよ!

 だぁああもうどうにでもして~! というかもう萌えすぎてめっちゃ疲れるんですけど! この萌え萌え地獄(むしろ天国?)はいつになったら終わるのか~!?

 という感じで最後の方はもう原作に忠実な「若干(じゃっかん)尻切れトンボのオチ(あくまで自分的に)」にがっかりするような余裕もなく、「エエもん観していただきました~」とディスプレイを拝む自分がいたのです。

 えー何と言うか、ね、好きです。全面的に好きです。ここまで書いて見直したけど本当に本の感想ではないですが! 暑苦しいくらいの「好き!」の気持ちは伝わったと思います!

 ちなみにまだ全然読めてないですが(一気に読もうとすると萌えすぎて苦しい)『泉鏡花集成』というシリーズも古本でそこそこ集めてます。中に4000円超える巻(古本なのに! 文庫なのに!)が入ってて手が出せないのが悔しいです~! 望む復刊! とネットのすみっこで愛を叫んでみるのでした~!!


* * *


ゆ『夕凪の街 桜の国(こうの史代)』


 これはね、あれです。一時期めっちゃ話題になったアニメ映画『この世界の片隅に』と同じ漫画家様の、「ヒロシマ」を描いた作品です。

 正直自分としては、原作だけで語るならこっちの作品の方が好き。いや、『この世界の~』は「さぞや資料を山積みにして……」と思うほどめちゃくちゃきちっと描かれてるんですが、それゆえに逆にちょっと難しいところがあったりするので……(『夕凪の街~』も全然負けないくらい、めっちゃ資料調べたんだろうな~という印象が強いですが! こっちはすごく短編なので!)あと主人公の義理のお姉さんのきつめのキャラもちょっと……(それには理由があったのだと、話の終わりごろでちゃんと明かされるのですが)

 と言う訳で、もちろんどっちの本も(映画のDVDも!)本棚に住んでもらってるんですが、今回はこっちの本をチョイス。個人的な好みとして、短い話の方が好きっていうのもあります。

 話は「あの日」から十年後の広島が舞台の「夕凪の街」と、それから時が過ぎ、被爆二世の女性が主人公の「桜の国」との二編です。……やばいなこうやってぱらぱら見返しながら感想書き出したとこでもう涙腺が……。

 まず初読では、「夕凪の街」で号泣。そして「桜の国」を見たところで、「……ん? こっちの話よお分からん。この話なくても別に良いんちゃうの?」と見誤る。

 し・か・し! この本の真価は何度も何度も読み返す・読み込むことで分かるのです! なんせ小さな仕掛けがあっちこっちにこれでもかと仕込まれていますから! 例えば「夕凪の街」に出てきた髪留めが「桜の国」にもさりげなく……とか、例えば「桜の国(一)」と「(二)」の(←間にちょっと時間の開きがあって、この二つに分かれてます)アパートとホテルの部屋番号が同じ……とか。

 その何でもないような描写にいっぺん気がつくと、もう感情がぐーっと本の中の世界に持ってかれて、「もう止めて! もう涙腺はぼろぼろよ! もう涙腺のHPはゼロよ!」状態に! 正直何べん泣いたでしょうね、多分これ書いた後また読み返して涙します。

 またこの本はね~、実写映画も良い(断言)何せテーマが重いので、うかつに観出すと精神的にけっこう負荷がかかるんですが(観るたびに色々考えさせられる。いや、そういうことをちゃんと考えるのは良いことなんですけどね!)やっばいですね、ちゃんと前述の小さな仕掛けを拾い上げて、より分かりやすい形で提示。あ~涙腺が! 涙腺がもう死屍累々!(意味不明)状態に。

 そんな訳で、これ映画館じゃ絶対観られないからDVDになるのずっと待ってたんですよ~。(田中麗奈氏と麻生久美子氏が出てくる方)待ちに待ったブツが届いて、自室にこもってノートパソコンで一人で視聴。もう涙腺決壊。でも誰にも見られてないし大丈夫! いや~また一つ宝物を手に入れた!

 と大満足してその後ふつーに外出したら、通りすがりのおばあちゃん(知らない方)に真顔で二度見されました。え? 何その表情? 私何か変なことした……? と思った後にようやく納得。あ~、泣きすぎて目が腫れまくってたのね……。

 結論・この本は良い。DVDも良い。何ならお金に余裕があったら『この世界の片隅に』の上中下巻とDVDもそろえると良い。ただし、涙腺は大事にするが良い――。(意味不明お告げ風!)


* * *


よ『妖怪ビジュアル大図鑑(水木しげる)』


 これは近所の個人書店さんでぽっと出逢った、ハンディサイズの「大図鑑」!

 言わずと知れた妖怪・おばけまんがで有名な「水木しげる」御大(おんたい)のオールカラー妖怪画集! これは水木先生ファンの方なら買って損はありません。だって妖怪ですから(謎)しかもオールカラーですから!

 その分文庫ったってイイ値段しますがね、本体1200円! でもその値段で水木御大の妖怪333体が、オールカラーで見れるのだったら安いもの!

 個人的に好きなのは「川男」。人間に似た姿かたちで性格もおとなしく、(かわ)()に二人並んで物語を語ったりしながら日々を過ごす……うわ萌える!

 あとお気に入りは「(ちょう)()(しん)」。蝶(蛾?)がカットいっぱいに乱舞する、妖しく美しい絵に添えられた文章の最後の一文……「女は死んで蝶になったのだ。」うわ~しびれる……! たまらんわ!

 で、正直世界がコロナ禍に見舞われる何年も前に購入したので、こうして感想書くために見返すまで全く意識してませんでしたが……そう! 今有名なあの妖怪! 「アマビエ」ちゃんもいるのです! これは買いだな!(確信)

 ちなみに自室の壁にもいます、アマビエちゃん。この前近所のスーパーで「アマビエ力餅」を買ったおまけにもらった「アマビエ塗り絵」に色鉛筆で色を塗り、それを部屋に飾ったのです! 塗り絵の上に色塗りは自分ですが、ちょっとでも効き目があると良いな!


 追記・あと自室の本棚には『水木しげるの泉鏡花伝』もいるのです。泉鏡花という作家の人生そのものを描いたパートと、鏡花作品「黒猫」「高野聖」を描いたパートに分かれます。

 この本を買った当時は未読だった「黒猫」という話を知り、「うわ~面白い! 原作も読みたい!」と切望したものでした(今は手持ちの文庫に収録されているので……やっぱり面白かったです!)

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