『たちつてと』
た『短歌ください(穂村弘)』
ち『ちょっぴりHなおんなのこの描き方(方天戟)』
つ『TUKIKAGEカフェ(川原由美子)』
て『ティータイムのその前に(磯淵猛)』
と『永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢(重松清)』
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た『短歌ください(穂村弘)』
これはねえ、センスの塊です! 歌人の穂村弘氏が選評した、いろんな方の紡ぎあげた言葉の宝石の群れですよ! これは読まな分からんと思うので、いくつかセレクトして引用を!
*ごめんなさい。絶対告白しないから、どうか近くに置いて下さい (百舌・男・18歳)
*一人でも眠れる僕は狂ってる熟れたベリーの果実を握って (小林晶・女・26歳)
*一秒でもいいから早く帰ってきて ふえるわかめがすごいことなの (伊藤真也・男・35歳)
*楽園じゃないと言ったろ血へどまできらめくただの死なない国だ (原田・女・36歳)
……どうですか? このいくつかで「ぴん!」とクるものがあったなら、きっとこの本にハマれます! 歌の一つひとつにちゃんと穂村氏の選評がついていて、これがまたそれぞれの歌により深みを持たせるのです! 短歌に興味があったらお試しを!
※ネットで「短歌ください」で検索かけたら、自作の短歌を応募も出来ます! 「我こそは!」という方はぜひチャレンジを!(←今のところ全敗の私からエール!)
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ち『ちょっぴりHなおんなのこの描き方(方天戟)』
はいエロい(断言)
これはね~、本屋で買うのちょっと恥ずかしかった; 発売日前から目をつけていて、近所の本屋に行きましたよ、発売日。実際ぱらぱらめくってみて、だいぶ気圧された。
「うっわ思った以上にむっちりもっちりなボディやな……いや自分さすがにここまでの肉感は求めてないんやけどな~……」とちょっと引き気味の感想が。いったん止めて本屋出たけど、どうにも気になる→翌日また本屋に行く→「いややっぱ無理やろこのボリューム感! ちょっと生々しすぎるわ!」と買わずに帰宅→だが気になって数日後再び本屋へGO……! というのを何度か繰り返し、発売日から十日後くらいにやっと購入。
買った後もしばらく放置してたんですが、ふとその気になって模写し出す(顔は自分絵に変換しながら)。またその時期夏場で暑かったですからね! 「このくそ暑い中、何故に私はむっちりボディーを……」と自問しながらも、もくもく描き写す。腕の汗で張りつくコピー用紙を古いタオルで防御しながら、ひたすらに描き写す。
そのうち自分の中で、じわじわとスイッチが切り替わっていったのですよ……。そう! 知らん間に手に頭に「むっちりボディー」が染みついてなじみまくっていったのです! 一冊写し終えた頃には、一から自分絵で女体を描くと自動的に「むっちりボディー」が出来上がるというほどに!
その前は同じシリーズ(玄光社『超描けるシリーズ』)の細身のキャラ主体の本(三冊くらい持ってる)が本棚のお気に入りだったのですが……ひととおり「むっちり」の模写を終えて眺めてみたら「うっわこのヒトたち細っ! 大丈夫!? 軽~くひざカックンしたら関節砕けちゃわないの!?」という感想しか浮かばなくなりましたから! まさに洗脳!
やばいですね、この本は! うかつに手を出すと「己の好みのイラスト体型」に大変革が起きかねない! 細身が好きで「でもこういうもっちりボディーも描けるようになったら、イラストの幅広がるかな」と思ってらっしゃる細身スキーの方々は、「細身好きな今までの自分」を捨てる覚悟でいった方が良いかもです。
もしこの本を気になってる方がいらしたら、『方天戟』って作者名で検索かけると出てきます。カラーイラストもたくさん見れるけど、本の方は線画が大半。そして何故か線画の方はカラーに比べて三割がた「むっちり度」がアップしたように見えるので、そこはご注意を。あとネットでイラスト見る時は背後に注意。ふっつーにR18イラストばんばか混ざってますからね(笑)
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つ『TUKIKAGEカフェ(川原由美子)』
これはね~、一言で言うと「続きは?」
そう、2012年に一巻目が出たっきり続刊が全く出ないんですよ~! 今感想書くために本棚のすみから引っぱり出して、ついでに検索かけたんですがま~二巻の「に」の字もない! ぐおお続き読みたい……!
まあ、とりあえずは一巻の感想をば。まんがなんですけど「モノクロのミニ画集」といっても良いくらいの芸術性。黒のインクと紙の白だけで紡がれるお話は、大人のための絵本のよう。筋としては「月のひと(要するに亡くなって天へのぼったひと)」たちがお茶を飲みに来る不思議なカフェを軸にして、淡々と紡がれるお話です。
ま~今までに語った「私の好きなまんが」の例にもれず、良い意味で地味です。すごく綺麗なんですが、アクション皆無! 濃厚な恋愛要素もなし!(淡く上品な恋愛のエピソードならあり)お宝探し? 出世譚? なにそれ美味しいの? みたいな淡く甘くてほろ苦い話……お菓子で例えるなら、ココア味のウエファースみたいな感じでしょうか。
午後の三時に、甘いミルクティー飲みながらゆるっとしみじみ読みたいまんが。さっきアマゾンでチェックしたらもう紙媒体は、古本しか残ってないと……。時の流れを痛感。同作者の「観用少女」みたいに、大判&保存版とか出ないかなあ……。
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て『ティータイムのその前に(磯淵猛)』
はい、お茶つながりでもう一冊。
つ『TUKIKAGEカフェ』に出てくるのはおそらく中国茶なんですが、こちらは紅茶に関しての本。紅茶のプロがひたすら紅茶について語った、「淹れ方」&「紅茶のエッセイ」って感じですかね。
磯淵猛氏の本は何冊か手もとにあるんですが、これは『て』が見つかんね~! ってなってた時に本棚の奥からやっと見つけた本なので、結果的にこの一冊をチョイス。
以前「紅茶の本」をネットで探してて発見し、出来れば新品が良かったんだけど、古本しか見つからなかったので古本を注文……という一冊です。いや普通に良いです。挿絵もカラーが多くて(後半からはモノクロ)ほのぼのとしたタッチでお洒落で、本棚に置いとくだけで良い気分。
この文だけで「買って良かった!」と思ったのは、次のひとくさり。
『紅茶を渋くなく、おいしく入れるポイントは、葉は少なめに、お湯は多めに、そして薄いかなと思ったら、むらす時間を長めに。これが「渋くなっちゃわない」秘訣。』
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と『永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢(重松清)』
これは人前じゃ読めない(断言)
いや別にエロいと言う訳ではない! 特に私みたいに涙腺緩い人は大号泣必至! 短編どころか「掌編」と言っても良いくらいの短い話の詰め合わせなんですが、まあどれもこれも読む側の涙腺を全力で攻め立ててくる訳ですよ!
なんでも元はゲームのおまけ(?)的な位置づけとして、「この条件クリアしたらこの話読める」みたいに配置されてたみたいなんですが……。話の軸としては、「カイム」という千年生きてきた男(傭兵。何らかの理由により何があっても死ねないらしい)が経験してきた話、という設定です。
でもまあ「泣かせの名手」(勝手に命名)の重松清氏のことですから! まあどの話もどの話も映画一本観たくらいにがんがん泣かせに来るわけです! 自分、一時期「目にゴミ入って取れない時」に必ず本棚からこの本取り出して何話か読んでましたから! したら百発百中で涙でゴミ取れましたから!
まあ自分の涙腺がゆるゆるに緩いのもありますが、やっぱり人前で読むべき本ではないと思います。病院の待合室、電車の中などで涙をこらえて読むのは軽めのセルフ拷問です。
正直ある事情がありまして、2011年の大震災からしばらくして、重松氏の本には手を出すの止めたんですが……。本棚にあった本も古本屋に売ってしまったんですが……。この一冊だけはどうしても、どうしても手放せなかった。
アマゾンで初めてレビューしたのもこの本で、その時本心から書いた通りに、この本には一生本棚に住んでもらうと思います。がんがん涙出して琴線震わせられまくって泣くのが、だんだんしんどい歳になって来たんで、めっきり読まなくなりましたが……。
この文庫は、どうしてもこれだけは手放せない「重松清氏の本が好きだった自分」の思い出となって、本棚のすみで今日も佇んでいるのです。