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41*WMHA /2/


開発部は奥の方にあるようで、そこそこ歩いた。関係者以外立ち入り禁止の札がかかった扉を、容赦なく開く。


「…あ、いらっしゃいにゃ。」


中には、高そうなゲーミングチェアに座り、パソコンを操作している少女…いや、少年か?が居た。

黒い猫耳フード付きパーカーを目深に被っており、表情はわかるが目元が見辛い。

黒髪色白。手足は細く小柄で、保護欲を掻き立てられる華奢な人だった。


彼か彼女かは分からないが、この子が開発部のトップ…?


「連れてきたぞ。」

「ありがとにゃ〜」

「こいつの名前は徳宮 翼(とくみや つばさ)。開発部のトップで、5人目のトリプルアビリティだ。」


若しかすると、見た目より歳は取っているのかもしれない。

聞くと、13歳で中学生だったらしい。見た目からは全く分からないな。

因みに他のトリプルアビリティは赤城さん達1班の3人と2班のリーダーだけな為、唯一の裏方らしい。


「よろしくにゃ〜」

「あのさ、気になってたんだけど…その語尾なんだ?」


恐らく全員が思っていたであろう質問を、琴葉がする。

それを聞くと、うにゃ?と首を傾げ、こう言った。あざといな。


「ロールプレイみたいな物だにゃ〜」


キャラ作りの様なものらしい。確かに、覚えやすくはある…かもしれない。実際、初対面の人に語尾でにゃ〜を付ける人なんて、ほとんど居ないだろうし。


「そ、そうか…。」

「こいつの能力は━━「プライバシーの侵害にゃー!勝手に言っちゃダメにゃー」


能力をバラそうとした赤城さんの言葉に食い気味で反応し、被せる。

「そう言うのは仲良くなった人だけに教えるのにゃ」と言って、パソコンを弄り始めた。

どうやら、挨拶は終わりという事らしい。

……やはり、色んな人が集まっているようだ。



「お?蒼じゃねぇか。元気にしてたか?あ?」


解散し、割り振られた部屋に戻る途中。声を掛けられる。

この声は━━━━



声の主を視界に収める。

ヘラヘラと、こちらを見下したような目。

中一の時、俺を虐めていた奴。猪刈 大知(いかり たいち)だ。その横には、華蓮や1部のクラスメイト、元クラスメイトがいる。

よく、近くに2体の食屍鬼がいる状況で逃げ切れたものだ。


「あんまり。」


正直、早く休みたい。無視して行きたい所ではあるが、それをすると後々面倒な事になりかねない。

嫌々ながらも、返事をする。


「なんだよその態度。また虐められてぇのか?」

「そんな事は無いけど。」


言葉を返すと同時、大知の拳が顔面に飛んでくる。

それを左手で受け止めつつ、右手で腹を守る。こいつは毎回同じ攻撃しかして来ない。いや、遊びで手加減していただけかもしれないが。


今回も同じ所に大知の左拳が飛んでくる。しっかりと掴んで受け止め、大知を睨む。


「なんだよ」

「急にやめてくれない?」

「ちょっと2人とも!何やってるの!?」


突然の攻防に呆けていたのか、今更華蓮が止めに入る。何が2人ともなのか。どう考えても俺は被害者だと思うのだが…。


「何も。ただ挨拶しただけさ。な?蒼。」

「随分と暴力的だな。それでいいよ」

「……随分と生意気になったなぁお前。」


それを無視して、通り過ぎる。流石にそろそろ良いだろう。

一応能力を使わなくても受け止められる程度の手加減はしてくれていた様だし、特に今更言うことも無い。下手に突いて、涼葉姉や萌に何かあったら困るしな。


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