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32*避難所防衛戦 /7/


さて。いよいよだ。

勝利条件は、萌と涼葉姉を守り切りつつ、敵の殲滅。


現在、俺はギャラリーから外の様子を確認している。

既に外には熊谷さん達が銃を構え、その後ろには能力者集団が。

奥には敵の集団が見え始めた所だ。このまま何もしなければ、10分も経たずにここまで来るのでは無いだろうか。


道路は食屍鬼で埋め尽くされ、未だに奥から湧き出すように続々と見えてくる。

その上空には、ワラワラと集る虫の様にミゴが固まっている。

どちらも集団恐怖症の人が見れば逃げ出すような光景だ。まぁその全てが自分の命を狙って来るのだから、集団恐怖症じゃなくても逃げ出したいと思う。


「……撃てー!」


熊谷さんが合図した瞬間、18班の面々が一斉に射撃を開始する。

撃ち出された弾丸は、前に出ている食屍鬼達を次々と倒して行く。

ただ、貫通は出来ていない為、そこまで多くの数は倒せないだろう。良くて300くらいか。

銃撃が止まったタイミングで能力者集団が能力を発動。そして直ぐに銃撃が再び始まる。


今の所、食屍鬼とミゴしか見えていない。

猟犬は後ろの方だろうか。それか、食屍鬼の集団に隠れているのかもしれない。

ムーンビースト、新種の怪物はそこそこ大きいらしい。食屍鬼で見えないと言うことは無いだろう。

という事は、更に後ろの方にいるはずだ。


「……なんだあれ?」


食屍鬼の集団の中に、漆黒の、光沢がある球体の様なものがある。

あれが、新種の怪物なのか?


「なっ!?」


俺がそんな呑気に考えていると、その球体が唐突に割れた。

その中からは、緩慢な動きで何かが出て来ている。


━━━━球体と同じく漆黒の体を持つ、竜。

竜と言っても、ファンタジーで格別の強さを持つあの竜のような翼があるタイプではなく、見た目は蛇に近い。

特筆すべきはその巨体だろう。食屍鬼の2.5倍くらいの大きさだろうか。数百いる食屍鬼の集団の中で、物凄い存在感を放っている。


その竜が、近くに居た食屍鬼を、投げた。


「はっ?」


野球ボールを投げるかのように、簡単に。あの巨体を。

こちらに飛んでくる食屍鬼。着地地点は…校庭の端あたりか。

そのまま落下で潰れてくれるならいいが、無傷でなくても動けるレベルのダメージだと困る。

見に行かないと。


俺はギャラリーからおり、校庭の方に急ぐ。放置すれば、下手しなくても避難所内が崩壊する。

校庭に出ると、丁度こちらに歩き近付いて来ている、黒い巨体。

………やっぱり、落下じゃ死んでくれないのな。


━━━発動。


建物内に入れる訳には行かない。

そんな事になれば、混乱で銃撃所じゃなくなるだろう。それに、涼葉姉と萌が居る。

出来るだけ、早く倒したいが…。


「オートは辛いな…」


オートだと、未だにかなりの激痛が走る。毎回そんなダメージを負っていれば、直ぐに動けなくなるだろう。

それはまずい。守らなくてらならないのだから。


地面を蹴って接近し、食屍鬼の攻撃を誘う。


━━━右ストレート。


顔を狙った攻撃を屈んで避け、走りながらさらに接近し左腕を切り付ける。

そのまま離脱。

少しだけ、攻撃のスピードが遅い?

……若しかすると、落下のダメージ自体はしっかりあるのかもしれない。

地面を蹴り、再び接近する。


「っ!」


振りかぶる動作は、なぎ払い!

足を止め、薙ぎ払い後の隙を狙う。


「らァ!」


右腕を切る事に成功。

左腕にもダメージは入っている筈。後は首を切るだけ…!


「━━━━━!!」

「うるせぇよ!」


食屍鬼の声はかなり恐怖を煽って来るが、気を強く持てば動けない事は無い。

警戒していれば大丈夫。

それに、叫んでいる間は恐らく攻撃出来ないのだ。

咄嗟に踏み込み、食屍鬼の首に刀を滑らせる。

切った!


手応えを感じた為、跳んで距離を摂る。

解除。別の個体が飛ばされて来ていないか、辺りを確認する。

……………良し、次のは飛んで来ていない。大丈夫だ。

戻ろう。

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