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24*避難所生活 /10/


諏訪さんの嫌いになりますからね?は効果抜群で、その後は目に見えて大人しくなった。

諏訪さんが居なくなった後、苦々しい表情を浮かべて居なくなったくらいだ。

……予想では、いない所では突っかかってくるかと思ったが、中々素直らしい。

後ろ2人も特に何も無く、帰って行った。




━━━━━━━




翌日。

俺は校長先生からの呼び出しを受け、会議室に来て、会議用の机を囲んでいる椅子に座っている。


集まっているのは、俺、涼葉姉、萌、WMHA防衛部隊18班、諏訪さんのチーム、琴葉、大学生3人組、知らない人11人。

恐らく、お偉いさんじゃないだろうか。


「で、こんな時間に集めて何の用ですか?」


俺は、寝ていた所を朝早くに起こされ、イライラしていた。

……実は、人に起こされると物凄く機嫌が悪くなるのだ。

現在時刻は大体午前三時過ぎ。

他の面々も、欠伸を噛み殺したりしていて、かなり眠そうである。


「それについては申し訳ない。あまり他の避難民には知られたくないのだ。」

「結局何をするんだ。」


知らない人が高圧的に言う。

……ただまぁ、今の俺と似たような物かもしれない。


「……それは、熊谷さんから説明をお願いする。」


……怪物関連か。


「実は、食屍鬼、ミゴの混合部隊がここに向かっている可能性があるらしい。」


ここに、向かって来ている?

……掃討作戦の時、急に数が増えたのもそうだが、怪物達は何かの大きな存在の指示に従っているような気がする。

単純にミゴと食屍鬼が共闘し、集団を作るならまだたまたまの可能性はあると思うが、「向かっている可能性がある」という事は、遠くから来ている可能性が高い。

ここを狙って。

となると、さらに上の指示があると考えた方がいい。

この避難所を壊滅させることを目的とした何か。

…まぁ、陰謀論に近いのだが。


「それで、結局どうするんですか?」

「それを、この会議で決める。」


……なるほど、避難民をパニックに陥らせない為には、この状況だと気付かれないのが1番簡単だろう。

だから、この時間な訳だ。


「…到着はいつ頃だ?」

「早ければ明日の昼、遅くとも明後日の朝には先鋒の化け物がたどり着くらしい。」


先鋒…?

もしかして、到着にズレが起きる程大規模なのだろうか。


「数は?」

「ハッキリと数えたわけではないらしいが、目測合計380。その内、約30がミゴらしい。」


………成程、ここまで多いからこそ、どうするか、逃げるか戦うかを決めるわけか。

確かに、食屍鬼掃討作戦では数が増えたとは言え、合計でも恐らく100は行かなかった。

それが380。


「先程先鋒と言いましたよね、大体何個の部隊に分けられているんですか?」

「見た限りでは、4つに別れているそうだ。」


戦うなら、4回の波が来るわけだ。


「まず戦うか逃げるかを決めましょう。今の情報を聞いて、戦うべきだと言う人の意見が聞きたいです。」


諏訪さんが、話しを進める為に仕切り始めた。

確かに、それを決めない限りは作戦も立てられないだろう。

誰も口を開かない。

……初っ端俺か。

まぁ、学校のスピーチみたいなものだと思えば大丈夫だろう。

その選択で、命を落とす可能性はあるが。


「はい。」

「蒼さん。」

「そもそも相手の目的が、この建物ではなく俺達だった場合、逃げても無駄です。その場合、この建物で戦った方が恐らくまだマシ、というレベルですが、いいと判断しました。それに、ここで逃げてもまた別の場所で今回の事が起きた時、何回も逃げ続けるのか?ってなりますからね。籠城戦がいいんじゃないでしょうか。」


それを言い終わり、もう話の続きはないと言う意思表示を込め、机に肘を着いて話を聞く体勢に入る。

1部「あー」や、「なるほど」と言う声も聞こえたし、全く的外れな意見というわけではないだろう。


「他に意見がある方………は、居なさそうですね。」


…いや、俺しか意見言わないのかよ。

会議ってなんだったのか。


「なら、迎え撃つと言う方向で良いですか?」

「「「「「異議なし」」」」」



…………………。

………………………………。


「能力者を前に出し、死人を少しでも減らすべきでは?」

「いや、能力者は防衛戦での主戦力だろう。失う訳には行かない。」

「この避難所の周りに落とし穴を掘るのはどうでしょう」

「ミゴは飛んでいるから落ちないし、そもそもここにある道具では舗装されたアスファルトを削り、落とし穴を掘ることは出来ないだろう。」

「虫対策のネットを張り、ミゴを侵入出来ないようにするのはどうでしょうか?」

「あの鎌で簡単に切られる。意味が無いだろう。」


何か意見が出れば、すぐに否定が出る。

これが会議は踊る、然れど進まずって状況か。


「ミゴ対策に、火元を確保して起きたいな」

「なるほど、それは大事だな。」

「普通にバリケードは作っておいた方がいいんじゃないでしょうか。時間稼ぎくらいにはなるかもしれません。」

「ここは学校だ。椅子や机を使えば簡単なものならすぐに出来るだろう。……意味があるかは、分からないが。」

「一応、石や瓦礫を集めておかないか?何かの役に立つかもしれない。」

「それで怯ませることが出来れば、非能力者も参加出来る。用意しておいて損は無いだろう。」


と言った感じで、2時間程会議は続いたが、今回決まった事は、3つだけだった。

ミゴ対策に、周辺家屋からマッチやバーナーと言った火種を出せるものを回収する。

周辺から石や瓦礫を回収し、集めておく。

役に立つかは分からないが、一応バリケードを作っておく。


……はぁ、眠い。

今日も朝の食屍鬼狩りはお休みか。

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