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21*食屍鬼掃討作戦 /8/



切った勢いのまま、食屍鬼の攻撃が届かない所まで走る。

……よし、これであの食屍鬼は激しい動きを出来ないだろう。

これを後4回…。

多少無理をすれば何とか、って感じか。


「わぁぁぁああああ!!」


そこまで考えた所で、上から悲鳴が聞こえて来た。

見上げると、落ちてくる幼女が。

思わず親方!と言いたくなるが、そんな場合では無い。

ミゴの方を見ると、辛うじて未だ飛んではいるが、片方の羽が焼け落ち、フラフラと体勢が崩れていた。


………やはり、弱点は火か。

…………………いやまぁ、幼女の力が物凄かった可能性もあるが。

幼女がミゴにダメージを与えた事で、ヘイトが俺から外れる。

その幼女は、しっかりと涼葉姉の風で回収された様だ。

地上で走り回っている。


「幼女!少し時間を稼いでくれ!」

「幼女って言うな!後理由を言え!」


幼女が何か言っているが、完全にミゴと食屍鬼にロックオンされている。

………念の為、すぐ近くの崩壊した建物に身を隠しつつ能力を解除し、目を閉じる。

発動。


視界にはそろそろ見慣れそうな文字の羅列。

ミゴが居るおかげで、ヘイトの管理がしやすいのは有難い。

……そう言えば、最初警戒していた遠距離攻撃が来なかった気がする。

涼葉姉が防いでくれていたのだろうか。

……いや、今は、アイツらを倒す事を考えないと。

俺はすぐ様火が起こせる物に限定し、ポイントを見る。


…火炎放射器、600ポイント。

足りない。

…火起こし棒、10ポイント。

直ぐに起こせないし、素人が直ぐに起こせる物ではないと思う。

…マッチ、10本入りで15ポイント。

これだ。


俺は、設定で購入した物を手に出すようにしてからマッチを購入する。

倉庫から出すより早い。

本当なら、買いたいあるものの為に貯めておきたかったが、幼女にばかり負担をかけられないからな。

能力を解除し、マッチをする。


………だがまぁ、これまでマッチ等1回も使った事がない。

雨は5日前から降っていないし、風も涼葉姉のお陰かあまりない。

かなりいい条件の筈なのだが、当然1回では成功せず、何回か試した末、何とか火がついた。

意外と難しいんだな…いや、俺が不器用すぎるだけかもしれないが。

それはいい。


俺は思考を中断し、ミゴと幼女の方を見る。

どうやら、涼葉姉のサポートを貰って避け続けて居るようだ。

……俺より幼女の方が、スペックが高くないか?

……駄目だな、思考がズレる。今は集中しないと。


…よし。


俺は頭を振り、気合いを入れ直す。

ミゴを視界に入れ、能力を発動し、力加減、投げ方は部の極みに任せる。

この辺は住宅街の為、木造の物も多くあるのだ。

外したら火事になりかねない。

そんな事になれば状況が悪化しかねないし、左腕が使い物にならないのだ。

片腕では当てる自信もない為、自分の能力に丸投げする。

……恥ずかしい限りだが、恐らく、最善なのではないかと思う。


俺……と言うか武の極みに寄って投げられたマッチは、見事ミゴの背中に当たり、燃え移った。

実際当たっているのだし、これで良かったのだろう。

……少しずつ、頼る所を減らしていかないと身体が持たないが。


燃え移ったと言う事は、片翼だけ綺麗に燃え落ちていたのは、全体に炎が燃え移るのを危惧したミゴが自ら切り落としたのかもしれない。

……どうやら、ミゴは可燃性の様だ。

既に全体に炎が回ろうとしているし、意識には勿論入れておくが、今注目すべきはミゴよりも食屍鬼の方だろう。

ミゴは燃えている自身に集中していて、指示する暇すらないようだ。

未だに幼女を追いかけ回している。


幼女には悪いが、後ろから一体ずつ不意打ちで倒して言った方が結果的に消耗が少ないかもしれない。

そう判断した俺は、連続使用で痛みを訴えて来た頭を無視し、オートで足を切りに行く。

後少し。




…………………。

…………。




その後は、他の食屍鬼を倒し切った諏訪さん達が合流した事もあり、特筆すべき点は無く勝利を収めた。

まぁ、能力を解除した瞬間倒れた為、さらにその後は聞いた話しか分からないが。

どうやら、西以外の方向は食屍鬼だけだったらしく、男子大学生3人組が頑張ったらしい。

熊谷さん達も相当倒していたが。


戦闘的には俺達のあのミゴ三体と食屍鬼が最後で、帰ったのも最後だったらしい。

男子大学生達を送るか悩んでいたそうだ。

フレディさんは、いつの間にか居なくなっていた。恐らく、ミゴ2体と食屍鬼を5体倒した後は、直ぐに居なくなったと思われる。


諏訪さん達が戦っている所に唐突に現れ、食屍鬼五体を数秒で屠って行ったそうだ。

かなり助けてもらったが、お礼を出来ていない。

暇があればあのビルに行けたらいいなとは思うが、歩いて行くとそこそこの距離があるのがネックで、そもそも静かな所が好きと言っていたし、嫌がられるかもしれない。


起きた後は熊谷さん達に頭を下げられ、幼女に怒られ、涼葉姉と萌に怒られた。

で、今は避難所のベットで寝ている。

骨折&気絶で流石に休めと言われた訳だ。


わかった事は…諏訪さんの能力は念話で、喋らなくても意思を伝えることができる能力らしい。

指揮官に向いている能力かも知れないな。

相手に高い知能がある場合、叫んだりして作戦を共有すると敵にバレる。

それを防げるのは、相手によってはかなり良い能力かもしれない。


それと、あの幼女の苗字が判明した。

沙恵 琴葉(さえ ことは)と言うそうで、萌の友達になったらしい。

お見舞いに来た萌が、治癒で俺を回復しながら、嬉しそうに報告してくれた。

あまり目いっぱい遊べる状況では無いし、友達が出来るのは良い事だ。

少しはあの幼女を気に掛けることにする。

……まずは、幼女と呼ぶのを辞めるべきか…?

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