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20*食屍鬼掃討作戦 /7/


助けてくれる…?

そもそも、この人って強いのだろうか。


………いや、ミゴの事を羽虫と言っていたし、怪物は知っている筈だ。

その上で、それを聞いても表情1つ変えずに淡々と言っているということは、強いのだろう。

正直、今は戦力が欲しい。協力してくれるのは、有難い事だ。


「それは、アイツらを殺す事に協力してくれるって事ですよね」

「フッ。そうだ。」


俺がそう聞くと、フレディさんは肯定した。

………一瞬笑ったか?


「なら、早く行きましょう。かなりまずい状況なんです。……えっと、降りるのってどっちですか?」

「いや、降りる必要はない。」


そう言うフレディさんの手には、いつの間にか豪華な装飾の施された本が現れていた。

………それが、フレディさんの能力だろうか。


「Flight」


フレディさんがそう小さく呟くと、俺とフレディさんの体が宙に浮く。

そのまま、勝手に窓から外に出て行く。


透明な何かに包まれて持ち上げられている感覚で、そこそこのスピードが出ている。

ほとんど身体は動かないが、代わりに武の極みを発動していなくとも、体制を崩す事は無い。

………ふと下を見ると、眼下には、物凄い力で潰され、無惨な姿になった車や、そこら中に破損がある道路。

何十体もの食屍鬼の死体、おびただしい量の血が流れており、凄惨な光景があった。

潰された車や道路の破損は恐らく、食屍鬼がやったのだろう。

だが、血の池と言ってもいい量の血は、そこに倒れている食屍鬼の物だろう。


……全て、フレディさんがやったのだろうか。

そうだとすれば、赤城さんレベルの強さかもしれない。

そんなことを考えているうちに、もうミゴ達が居る近くまで来ている。

…………見えた。


「あそこです。」

「あぁ。……これから落ちるが、何とかしろよ。」

「……えっ?」


俺が、その言葉を理解した瞬間、支えていた物が無くなり、凄い力で押され、体が宙に投げ出される。

……俺が慌ててもどうしようも無い…か。涼葉姉が助けてくれる事を祈るしか無い。


……どうやら、ミゴの真上に当たる所に押してくれた様だ。

俺の前には、一体のミゴ。能力を発動し、スピードそのままで突撃する。


狙いは、ミゴの身体の中で1番脆そうな羽。

高所からの落下で、涼葉姉の突風に任せた時よりも勢いが着いている。

全体重を乗せ、叫びながら短刀を振る。


「あぁぁぁあああ!!」


刃は狙い違わず付け根に当たるが、それでも……切れない。切り離すことが出来ない。


……だが、傷は付いた。

……なら、勝てる可能性はある!


俺はその事を確認し、下の状況を見るため視線を向けると、どうやら食屍鬼達が俺を殺そうと、落下地点に集まって来ているようだ。

能力を解除し、そのまま落下していく俺を、食屍鬼が腕を伸ばし捕まえる…直前、風が吹き、俺の体が持ち上げられる。涼葉姉だ。


本当に、感謝してもしきれない。俺は静かに地面に着地し、辺りを見回す。


どうやら、俺が飛ばされた後、諏訪さん達が合流し何とか持ちこたえていた様だ。

幼女と諏訪さん達のチームが、それぞれ食屍鬼を5体ずつ担当している。

フレディさんは……上空を見上げると、2体のミゴを焼いていた。

……もしかして、火に弱いのだろうか。

…………可能性はある。


「琴葉!協力してくれっ!」


あの幼女は確か、ナイフを燃やして攻撃していた。

俺より対ミゴに向いているかもしれない。


「誰だか知らんが私を呼び捨てにするなっ!」


とは言いつつ、自分達の上空に居たミゴが倒されているのを見てか、こっちに来てくれている。


「呼び捨ての事はすまない。ミゴは火に弱い可能性がある。羽を切ってくれないか?」

「いいけど。どうやってあれを切るんだ?」

「俺の仲間が風で飛ばしてくれる。回収もしてくれる筈だ。食屍鬼は任せろ。」

「了解。」


話が早くて助かる。

ソロ気質かと思ったが、そうでも無さそうか?

単純に、気が合う人が居なかったのかもしれない。


「涼葉姉!」


それだけ叫んで、食屍鬼に突撃する。

さっき足を切り損ねた食屍鬼は……あれか。

食屍鬼の中で、一体だけ血を流している奴に狙いを定める。

再び武の極みを発動し、同じ場所に向かって刀を振るう指示を出す。

……恐らく、武の極み発動中でも、俺が動かすのと能力に任せるのを比べれば、まだ能力に任せた方が強い。


ゲームで例えるなら、手動とオートの様な感じだ。

能力がどの様に力を入れればいいのかは大体やってくれるが、行動や角度は俺自身がやるのが手動。

ある程度の目標、行動を決めて細かい事は能力任せなのがオート。

まだ、オートの方が恐らく切れる。切りやすい角度、力の入れ方は分かっても、実行出来るかは話が違うからだ。


………オートでやると、手動の方より恐怖が襲ってくる為、本当ならあまりやりたくないのだが。


「はァっ!」


食屍鬼の、皮膚が切れている部分に吸い込まれた短刀は、俺が振った時よりも滑らかに、食屍鬼の足を切断した。

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