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13*避難所生活 /7/


「おはようございます。」

「おはようございます。晃峰さん。」


避難所に来てから、今日で丁度1週間だ。

特に目立ったことも無く、今の所は平和…と、言えなくも無いだろう。


…最近は些細ないざこざが増えて来て、いつ萌や涼葉姉が巻き込まれるか気が気でないのだが。

特に萌は可愛い系の美少女だし、涼葉姉はクールビューティ系の清楚系美人だ。

いつ碌でもないやつに狙われるか分からない。


そうそう、“店”の死体蹴りポイント入手の時間リセットは午前4時であることが分かった。

…因みに、俺は時計代わりとしても使っている。

細かい時間は分からないが、4時になったタイミングはわかるため、早朝の狩りでお世話になっている。


ここ1週間は早朝狩り、朝能力の練習、集会、死体蹴り。

昼~夜は短刀の素振りや能力の反動を抑える為に訓練をしている。

具体的には、武の極み発動時の力の入れ方をトレースするのだ。これが結構キツかったりする。


あとはまぁ、普通に筋トレだ。

そもそも体力と筋力がないとどうしようもない。


……今、この避難所が1番苦しんでいるのは、食料と水の問題だろうか。

電気も一昨日止まってしまった為、冷蔵庫が使えなくなってしまった。

そうなると、腐らせるより食べてしまった方がいいと言うことで、一昨日昨日と肉、魚、肉である。

…まぁ、タンパク質を取れるのは有難いのだが。


因みに、既に食べきれなかった肉、魚は腐ってしまって、廃棄予定だ。

野菜関連もそこまで持たないのでは無いだろうか。

水に関しては、4日前に降った雨のおかげで何とか耐えているという状況だ。

……こうなると、夏であることがかなり辛い。

脱水症状の懸念も出てくるし、ここままだとまずいかもしれないな。

食事も味気ない物になり、モチベーションも下がると思われる。


「どうぞ。」


俺は校長から着替えを貰い、食屍鬼の頭を切る前に着替える。

返り血対策だ。

……俺の早朝の狩りは、涼葉姉にバレていたらしいのだ。

食屍鬼の返り血のせいで。

細かい所まで意識出来ていないのは、反省すべき所だろう。


「よし。」


俺は、並べられた食屍鬼の頭を順番に切って行く。

この作業も慣れたものだ。

最初は時間がかかっていたし、一体の頭を切るのにも何回か赤城さんに貰った短刀を振るっていたが、今では一刀両断出来る。

これも、筋トレと武の極み発動時の力の入れ方をトレースする訓練、素振りのお陰かもしれない。


スパッザシュッスパッスパッ。


そうそう、諏訪さんはあれ以降、俺がいる時は1度も呼ばれて居ない。

と言うより、俺が来るタイミングは席を外している。

校長先生の気遣いだろうか。

それとも、単純にきらわれているのだろうか。

……まぁ正直、関わらずに済むならどうでもいいな。

そろそろポイントも貯まってきたし、萌と涼葉姉にプレゼントを上げてもいいかもしれない。


「お疲れ様です。」


15体切り終わると、校長先生からタオルを渡される。

…まるで部活のマネージャーだな。


「ありがとうございます。」


受け取ったタオルで返り血を軽く拭き取り、元の服に着替える。

……あぁ、風呂は3日に1度だけ入る事が出来る。

この学校に、元々着いているのだ。


…ただ、水の消費が激しい為、決まった日にちに1人何分と時間を決めて入っている。

順番はWMHAの人、俺や萌、涼葉姉等の何かしらで避難所を支えている人とその家族、それ以外と言った感じだ。


最初は金持ちの人や権力者の多くが反対していたが、なら出て行けと言われて渋々引き下がっていた。

一応、自分達だけでは外で生きていけないことを分かっているのかもしれない。

…同じく衛生面の服の洗濯は、その風呂の残り湯でやる。

かなり汚いが、それでもやらないよりマシと言った感じだ。

……そもそも、大部分が外に出ないのだから、服は基本返り血を浴びる役回り、例えばWMHAの人くらいしか汚れる事は少ない。


「今日は、交換して頂きたいものがあるのですが。」


成程。


「あぁ、水と嗜好品ですか?」

「はい。」


なぜこのタイミングか。

それは、今日の午後から、ある作戦が始まるからである。

恐らく、参加者全員に渡す事はポイント残量的に不可能な為、特に活躍した人に報酬を渡すのだろう。

そうして、低コストでモチベを上げる。

因みに、校長先生側が使えるポイントは残り15ポイントしかない。渡せても3人だろう。


俺は校長先生に15ポイントで購入出来る水、食料系の嗜好品等を伝える。

因みに、水は1ポイントで100ml、2ポイントで250mlだ。

貯めてから買った方がお得である。


「決めました。250mlの水を3人分、残り9ポイントは個人に聞くことにします。」

「分かりました。」


校長先生はかなり長考した結果、それぞれ3ポイント分で買えるものの中から選んでもらう様だ。

俺は注文通りの物を買い、“倉庫”から取り出す。


この“倉庫”に関しても、新しくわかった事がある。

それは、一度に持てる量なら一度に出せるという事と、外に出しておくより劣化が遅いという事だ。

時間の進むスピードはだいたい3分の1くらいだろうか。

そのため、倉庫に閉まっておいた方が腐りにくい。


ただこれ、一度に大量の物を入れると俺に負担がかかるのだ。

具体的には、吐き気を催したり、頭痛がしたり、気絶したり。

1度、肉や魚を閉まってみた時に起こった症状だ。

校長先生はひとしきり謝っていたが、そもそも能力の説明に入れておいてほしいものだ。


「どうぞ。」

「ありがとうございます。」


俺は、購入した水をしっかりと校長先生に手渡し、席を立つ。


「それでは。……あぁ、そうそう。俺も食屍鬼掃討作戦、参加しますから。」

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