『こんにちは、ノムーラはん』外伝~新コロ奇譚
「ノムーラはん、こんにちは」
「あ、モルーカスはん、こんにちは」
「ここもすっかり変わりましたな」
「ほんまやでェ。新コロのせいでなァ」
「2月にナゾの中国人来てましたな」
「『だいじょーぶアル』言うて歩きまわってたわ」
「まあたしかに国内はダイプリ以外ちょぼちょぼでしたわな」
「けど、EUや米で大爆発。株価めちゃくちゃ。ドッカン下げや」
「樹海行きのバスが大渋滞」
「バスは危ない言うて歩いて行くヤツも、ぎょうさんおった」
「騒ぎが収まった思たら、ここらロボだらけなりましたな」
「イナゴまでロボやでェ」
「なにが起ころうと取引所はあいてますからな。代理や」
「生身のヴァーチャ、わてらぐらいになってもた」
「わてらももうテレワークにしたほうがええんちゃいまっか」
「せやな。けど、もうすぐアベはんからマスク届くやろ」
「え~、それ待ってるんでっか。2枚でっしゃろ」
「2枚でも布のやつや。洗って再利用でけるんやで」
「郵便でーす。ほい」
「お、噂をすれば。来たな。ほい、ごくろはん、わ」
「わ。ああああああ、わあああああああ」
トどこから湧いたか、大群衆がどどどどどどと群がり来て、二人はあっという間もあらばこそ、取り込まれてもみくちゃにされ、ボロカス状態で跳ね飛ばされました。
「うううううう」
「ぐぐぐぐぐぐぐぐぬう」
「だいじょうぶでっか、ノムーラはん」
「痛ててて。モルーカスはん、なんや、あいつら」
「外出自粛で板のなかに隠れてた連中ちゃいまっか」
「うーん。マスクて聞いて突進してきたんか」
「板に居ればみんな配達されまんのにな、って。あれ?」
「うん? なに?」
「マスク2枚を1住所、ってありまっせ」
「へ?」
「1住所に2枚でんがな。取引所ぜんたいで1住所ちゃいまっか」
「あちゃ~」
了